QUESTION

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後継者を頼りなく感じる。M&Aで解決できる?

現在、息子が後継者として会社に入っていますが、頼りなさを感じています。かといって、社内に息子以外で事業を任せられる従業員もいません。

M&Aをして外部から経営者を招聘するのも一つの手段ではないかと考えていますが、従業員を不安にさせたり、息子を蔑ろにするのも本意ではありません。何か良い方法はないでしょうか。

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後継者を信じて任せることが大切です

中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」によると、後継者を決めてから事業承継が完了するまでの移行期間は、3年以上を要する場合が全体の50%を上回り、10年以上を要する場合も少なくありません。したがって、できる限り早い準備が必要になります。

まずは後継者の方を信じて、任せてみるのはいかがでしょうか。ご子息に頼りなさを感じるのは、後継者に対して、ご自身と同じ経営者のタイプを求めるからかもしれません。しかし、会社のステージによって求められる経営者のタイプは異なります。例えば、創業間もない会社であれば、強いリーダーシップを備えた経営者が求められますが、安定期に入った会社であれば組織体制の整備を得意とする経営者が求められることもあります。つまり、ご自身とタイプが異なったとしても、ご子息は今の会社にとって必要なタイプの経営者だという可能性もあるのです。

信じて任せるのは大変困難かと思います。しかし、任せないと育たないことも事実です。ご自身の役割をご子息一人に任せるのではなく、ご子息を含めた幹部社員2~3名に分けて任せるという方法もあります。腹を決めて、一度任せてみることを強くお勧めいたします。

M&Aを通じて後継者を支える体制をつくることも可能

とはいえ、ある程度任せてみたにも関わらず結果が出なかった、あるいは3年以上信じて任せる時間がないということもあると思います。その場合は、事業承継にM&Aを活用することも選択肢の一つです。

近年では、M&A後に社内の人材(ご子息や従業員)を後継者として擁立し、その不足する機能をお相手(譲受企業)から補うというケースが増えています。例えば、ご子息が後継者として経営全般と営業を担当し、譲受企業から配置された取締役が財務経理や銀行折衝、人事労務、IT導入等をそれぞれ担当するといったやりかたです。この場合は、リスク分散と会社の組織化及び仕組化が期待できます。経営者に万が一のことがあった場合は会社の危機となり得ますが、担当が分かれていると一極化しているケースに比べてリスクを軽減できます。また、専門のノウハウを担当の下(担当部署)に蓄積しやすく、これを活用した戦術を立てやすくなります。

何より、ご子息が後継者として残ることで従業員の皆様の不安を和らげることができます。これは譲受企業の望むところでもあります。

なお、後継者のお考えによっては既存ビジネスの幅が広がるとしてM&Aを好意的に受け取るケースもあるため、一概にM&Aがご子息を蔑ろにするものではありません。

10年先、20年先の会社を考えて、どういった選択がベストか検討してみてください。M&Aを活用する仕組みは複雑ですので、経験を積んだM&Aアドバイザーにご相談されることをお勧めいたします。