M&A GUIDELINE

1.中小M&Aガイドラインについて

2020年3月、中小企業庁より「中小M&Aガイドライン」が公表されました。本ガイドラインは、M&Aに関する経営者の不安を払しょくし、M&A市場を健全に発展させることを目的に「後継者不在の中小企業向けの手引き」「支援機関向けの基本事項」という内容で構成されています。また、2023年9月、中小企業庁より「中小M&Aガイドライン(第2版)」が公表され、仲介契約等の締結前に書面による重要事項の説明を行う旨が明記されました。
事業承継型M&Aを検討されている経営者およびM&A業務を営む支援機関それぞれにとって有益なガイドラインとなっております。

「中小M&Aガイドライン」の概要

中小企業庁『「中小M&Aガイドライン」を改訂しました』(2023年9月22日)

2.M&A支援機関に係る登録制度について

2021年8月、中小企業庁は「M&A支援機関登録制度」を創設しました。本制度は中小企業が安心してM&Aに取り組む基盤を構築することを目的としております。M&A仲介業務又はファイナンシャルアドバイザー業務を行う者を対象とし、同庁が策定した「中小M&Aガイドライン」を遵守することを要件としております。

「M&A支援機関に係る登録制度」の概要

中小企業庁『M&A支援機関に係る登録制度の創設について』(2021年8月2日)

3.当社における取組み

当社は、中小企業庁が創設した「M&A支援機関に係る登録制度」に登録をしております。当社は、「中小M&Aガイドライン(第2版)」を遵守し、ご相談者様から日々寄せられる一つ一つのご依頼に対して、真摯に対応して参ります。

Ⅰ 支援機関としての基本姿勢 当社の方針

1 依頼者(顧客)の利益の最大化

  • 仲介者・FAや士業等専門家は、重要な判断を依頼者(顧客)に求める場合には、十分に説明して納得を得た上で進める必要がある。
依頼者に重要なご判断をいただく場合には、内容の説明をより丁寧に行い、ご納得をいただいた上で手続きを進めることを徹底しております。

2 それぞれの役割に応じた適切な支援

  • M&A専門業者は、マッチングやその後の諸手続の進捗管理等、総合的な支援を行う。
  • 中小M&A支援に携わる者は、本ガイドラインで示した基本的な事項を適切に実施するとともに、必要な研鑽を重ね、中小M&A支援の質の向上に尽力することが望まれる。
社内研修や自己研鑽によるアドバイザーの知識・技能習得、業種別施策の実施、社内専門家(弁護士、司法書士、会計士、税理士等)による支援などを通じ、業務品質を向上させるべく日々努めております。

3 支援機関間の連携

  • 各支援機関は、自ら全てを抱え込むのではなく、必要に応じ、他の支援機関と積極的に連携することが望まれる。
金融機関、士業等専門家、事業承継・引継ぎ支援センター、M&Aプラットフォーマー等と積極的に連携し、1組でも多くのM&Aを成約に導くよう努めております。
Ⅱ M&A専門業者 当社の方針

1 M&A専門業者による中小M&A支援の特色

  • M&A専門業者は、M&Aの仲介業務やFA業務に従事する専門業者であり、中小M&Aの実現にとって重要な役割を有する支援機関である。
  • M&A専門業者は、依頼者との契約に基づき、善管注意義務や忠実義務を負う。また、M&A専門業者には、契約上の義務に限られない職業倫理の遵守が求められる。
  • 中小M&Aを支援する際には、マッチング能力や交渉に係る調整ノウハウ、更に、財務・税務・法務といった分野の専門知識が不可欠となるケースが多くあるが、支援経験や知見の乏しいM&A専門業者等の場合には、適切に業務を進められないおそれがあると言える。
  • 仲介者及びFAは、M&A支援に携わる人材の知識・能力の向上及び適正な業務遂行のための取組を通じて「支援の質の確保及び向上」を図る必要がある。
当社は「M&Aは、人の想いでできている。」をコーポレートスローガンに、 1997年の創業以来、多くのM&Aを成約に導いてきました。これからも依頼者の真の希望を叶えるため、一つ一つのご依頼に対して、真摯に対応して参ります。

2 支援の質の確保・向上に向けた取組

  • M&A専門業者が善管注意義務を履行し、職業倫理を遵守して支援を行うため、すなわち支援の質の確保・向上を図るためには、知識・能力の向上や適正な業務遂行を図ることが重要であり、そのための取組が求められる。
  • 代表者は、知識・能力の向上と適正な業務遂行を通じて、質の高い支援をすることが重要である旨のメッセージを社内・外に発信する。また、発信したメッセージと整合的な取組を実施する必要がある。
  • M&A専門業者の支援の質の確保・向上の一助として、又はM&A専門業者ごとの業務の範囲・ 内容等を踏まえて、他の支援機関と積極的に連携することが望ましい。
  • M&A専門業者が、業務の一部を第三者に委託する場合、外部委託先における業務の適正な遂行を確保する必要がある。

善管注意義務及び忠実義務を履行すると共に、職業倫理を遵守して業務を行います。

代表者は、知識・能力向上や適正な業務遂行を図ることが不可欠であることを認識しており、当該取組が重要である旨のメッセージを発信しています。また、知識・能力の向上のための取組を会社として継続的に実施しています。

Ⅲ 各工程の具体的な行動指針 当社の方針

(1) 意思決定

  • 当該中小M&Aにおいて想定される重要なメリット・デメリットを知り得る限り、相談者に対して明示的に説明する。
  • 相談者の企業情報の取扱いについて善管注意義務を負っていることを自覚する。
専門的な知見に基づき、M&A以外の選択肢(親族内承継、社内承継、株式公開、清算・廃業等)との比較などを丁寧にご説明し、M&Aについてご理解いただくよう努めております。
情報管理の重要性について、社内教育を徹底しております。

(2) 仲介契約・FA契約の締結

  • 業務形態の実態に合致した仲介契約あるいはFA契約を締結する必要がある。
  • 仲介者・FAは、契約締結前に当該中小企業に対し契約に係る重要な事項について明確な説明を行い、当該中小企業の納得を得ることが必要である。具体的には、契約に係る重要な事項を記載した書面を交付して、説明しなければならない。
  • 説明は、契約を締結する権限を有する者に対し行う必要がある。また、説明後、依頼者が契約内容を理解し、契約締結について適切に判断するために、依頼者に対し、十分な検討時間を与えるべきである。
  • 重要事項を説明する者は、依頼者からの質問や意見にも適切に対応できるような、十分な経験・能力を有する者が行うことが望ましい。
  • 書面等に記載して説明すべき重要な点は以下のとおりである。
  • 仲介者とFAの違いとそれぞれの特徴
  • 提供する業務の範囲・内容
  • 手数料に関する事項
  • 手数料以外に依頼者が支払うべき費用
  • 秘密保持に関する事項
  • 直接交渉の制限に関する事項
  • 専任条項
  • テール条項
  • 契約期間
  • 契約終了後も効力を有する条項
  • 契約の解除に関する事項及び中途解約に関する事項
  • 責任(免責)に関する事項
  • 依頼者との利益相反のおそれがあるものと想定される事項
仲介とFAの違いを含め、重要な事項について書面を交付して明確に説明することを徹底しております。
説明は十分な知識・経験を有する者が実施し、依頼者にご納得いただいた上で、一定の期間後に契約の締結をお願いしております。

(3) バリュエーション

  • バリュエーションの実施に当たっては、評価の手法や前提条件等を依頼者に事前に説明し、評価の手法や価格帯についても依頼者の納得を得ることが必要である。
  • 仲介者は、確定的なバリュエーションを実施すべきではない。
  • 仲介者は、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝える必要がある。
  • 仲介者が参考資料として自ら簡易に算定したバリュエーションの結果を両当事者に示す場合には、参考資料として簡易に算定したものであるということを明示する。
仲介案件において当社が実施するバリュエーションは、参考資料として簡易に算定したものである旨を明示しております。また、算定手法や前提条件をご説明し、他の専門家の意見を求めることは差し支えない旨をお伝えしております。

(4) 譲り受け側の選定(マッチング)

  • 秘密保持契約締結前の段階で、譲り渡し側に関する詳細な情報が外部に流出・漏えいしないよう注意する必要がある。
  • 依頼者にはマッチングの進捗等について遅滞なく報告することが望まれる。
  • マッチングには当初の想定以上に長期間を要することもある。そのような場合には、月額報酬制を採用しているM&A専門業者は、必要に応じて依頼者と協議し、月額報酬の適正な金額への減免等に応じることが望ましい。
詳細情報の開示前に秘密保持契約を締結することを徹底しております。また、マッチングの進捗状況については依頼者に適時共有を行っております。
当社は基本合意報酬と成約報酬のみをいただいており、原則として月額報酬は発生いたしません。月額報酬が発生する場合には、依頼者の同意を得ることとしております。

(5) 交渉

  • 中小M&Aにおいては、慣れない依頼者にも中小M&Aの全体像や今後の流れを可能な限り分かりやすく説明すること等により、寄り添う形で交渉をサポートすることが必要である。
  • 特に、譲り渡し側・譲り受け側の経営者同士の面談(トップ面談)は、面談を円滑に進められるよう当日の段取りを含め丁寧にサポートすることが望まれる。
  • 仲介者は、一方当事者の利益のみを図ることなく、中立性・公平性をもって、両当事者の利益の実現を図る必要がある。
依頼者のご希望に沿うように事前のご説明や準備を十分に行い、交渉をサポートいたします。
当社は仲介者として、公平・中立な立場から両当事者の利益の最大化を図るよう努めております。

(6) 基本合意の締結

  • DDに進む前に譲り受け側に独占的交渉権を付与する等の趣旨から、原則として基本合意を締結することが望ましい。
  • 譲り受け側からの意向表明書に対する応諾書を譲り渡し側が提出することにより、基本合意とほぼ同様の合意を締結したものとして扱うこともある。
DDに進む前に基本合意締結もしくは意向表明に対する応諾を行い、譲り受け側に独占交渉権を付与することを原則としております。

(7) デュー・ディリジェンス(DD)

  • 譲り渡し側に対しDDで要求される資料の準備を促し、サポートすることが必要である。
  • 当事者を依頼者とする仲介者はDDを自ら実施すべきでなく、DD報告書の内容に係る結論を決定すべきでない。
  • 仲介者は依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝える必要がある。
  • 仲介者は、譲り渡し側に過大な負担が生じないようDDの調査対象を適切な範囲内とし、DDの結果を譲り渡し側にも開示して情報共有するよう、譲り受け側に対して働き掛けることが望ましい。
仲介案件において当社が自らDDを実施することはありません。
依頼者に対し、他の支援機関(弁護士、会計士、税理士等の専門家等)によるDDを実施することを推奨しております。当社はDDが効果的・効率的に実施されるようサポートしております。

(8) 最終契約の締結

  • 最終契約の締結に当たっては、契約内容に漏れがないよう依頼者に対して再度の確認を促すことが必要である。
  • 最終契約は、可能な限り、中小M&Aに関する知見と実務経験を有する弁護士の関与の下で締結することが望ましい。
弁護士等の助言を受けることを依頼者に促しております。
契約内容確定後、依頼者に必ず最終確認をしていただくようお願いしております。

(9) クロージング

  • クロージングに向けた具体的な段取りを整えた上、当日には譲り受け側から譲渡対価が確実に入金されたことを確認することが必要である。
  • クロージングにおいて登記必要書類の授受等を行うこともある。専門的な知見を要すると判断した場合には、司法書士等の士業等専門家等にも関与を求めることが必要である。
クロージング当日の入金確認を徹底しております。
登記が必要な場合、司法書士に関与を依頼しております。
Ⅳ 仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策 当社の方針
  • 仲介者であるということ(特に、仲介契約において、両当事者から手数料を受領することが定められている場合には、その旨)を、両当事者に伝える。
  • バリュエーション、DDといった、一方当事者の意向を踏まえた内容となりやすい工程に係る結論を決定しない。依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝える。
  • 仲介契約締結に当たり、予め、両当事者間において利益相反のおそれがあるものと想定される事項について、各当事者に対し、明示的に説明を行う。また、別途、両当事者間における利益相反のおそれがある事項を認識した場合には、この点に関する情報を、各当事者に対し、適時に明示的に開示する。

仲介契約において、両当事者と契約を締結する旨を明示しております。当社は仲介者として、公平・公正な立場で業務を行っており、いずれか一方の利益の優先やいずれか一方の利益を不当に害するような対応は行いません。

仲介案件において確定的なバリュエーションやDDを自ら実施することはありません。依頼者に対して、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるようお伝えしております。

仲介契約締結に当たり、予め、両当事者間において利益相反のおそれがあるものと想定される事項について、各当事者に対し、明示的に説明を行います。また、別途、両当事者間における利益相反のおそれがある事項を認識した場合には、この点に関する情報を、各当事者に対し、適時に明示的に開示します。

Ⅴ 専任条項の留意点 当社の方針
  • 仲介契約・FA契約の専任条項には、一定の合理性が認められる。
  • 専任条項を設ける場合、その対象範囲を可能な限り限定する。依頼者が他の支援機関の意見を求めたい部分を仲介者・FAに対して明確にした上、これを妨げるべき合理的な理由がない場合には、依頼者に対し、他の支援機関に対してセカンド・オピニオンを求めることを許容する。ただし、相手方当事者に関する情報の開示を禁止したり、相談先を法令上又は契約上の秘密保持義務がある者や事業承継・引継ぎ支援センター等の公的機関に限定したりする等、情報管理に配慮する。
  • 専任条項を設ける場合には、仲介契約・FA契約の契約期間を最長でも6か月~1年以内を目安として定めるべきである。また、依頼者が任意の時点で仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する条項等も設けることが望ましい。
専任条項についてガイドラインに沿った運用とし、他の支援機関(弁護士、公認会計士、税理士等の専門家、事業承継・引継ぎ支援センター等の公的機関等)の意見を求めることは差し支えない旨を契約書に明記しております。
また、中途解約条項についても契約書に明記しております。
Ⅵ 直接交渉の制限に関する条項の留意点 当社の方針
  • 直接交渉が制限される候補先については、依頼者が「自ら候補先を発見しないこと」及び「自ら発見した候補先と直接交渉しないこと」を明示的に了解している場合を除き、当該M&A専門業者が関与・接触し、紹介した候補先のみに限定すべきである。
  • 直接交渉が制限される交渉は、依頼者と候補先のM&Aに関する目的で行われるものに限定すべきである。
  • 直接交渉の制限に関する条項の有効期間は、仲介契約・FA契約が終了するまでに限定すべきである。
直接交渉の制限について、相手先、交渉の目的、有効期間のいずれもガイドラインに沿った運用としております。
Ⅶ テール条項の留意点 当社の方針
  • 仲介契約・FA契約のテール条項(当該契約終了後一定期間内に、譲り渡し側が譲り受け側との間でM&Aを行った場合に、当該契約等は終了しているにもかかわらず、当該M&A専門業者が手数料を取得する条項)には、一定の合理性が認められる。
  • テール条項の期間は最長でも2年~3年以内を目安とすることが望ましい。
  • テール条項の対象は、あくまで当該M&A専門業者が関与・接触し、譲り渡し側に対して紹介した譲り受け側のみに限定すべきである。
テール条項の期間、対象いずれもガイドラインに沿った運用としております。