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以前は赤字会社の繰越欠損金を有効活用するために積極的に赤字会社を買収する企業が多かったように思いますが、今は税制が改正され一定の制限が課せられています。また、節税目的のM&Aについては国税庁等の監視が厳しくなっていますので、お勧めしません。ただ、節税目的ではなく赤字会社を買収するケースもあるかと思いますので、税制で課せられている一定の制限について触れたいと思います。

債務超過の会社を買収して合併

組織再編のうち2つの会社を1つにする合併については、税制上で適格とされる合併を行った場合には、合併される側の会社が有する繰越欠損金を原則的には引き継ぐことができます。それに対して、税制上で適格要件を充足しない非適格合併を行った場合は、繰越欠損金を引き継ぐことはできずに、その欠損金は切り捨てられてしまいます。

以下のイ~ハのいずれかに該当する場合は適格合併にあたり、そうでない場合は非適格合併になります。

イ 当該適格合併がみなし共同事業要件を満たす場合。
ロ 被合併法人と合併法人との間に当該合併法人の適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続して支配関係がある場合。
ハ 被合併法人又は合併法人が当該5年前の日後に設立された法人である場合であって、当該被合併法人と当該合併法人との間に当該被合併法人の設立の日又は当該合併法人の設立の日のいずれか遅い日から継続して支配関係があるとき。

上記イ~ハのいずれかに該当すれば未処理欠損金を制限なく引き継ぐことができます。つまり、みなし共同要件(イ)を満たすか、他社を買収して5年間経過するか(ロ)、被合併法人が設立したタイミングで合併会社が支配関係にある、または合併法人が設立したタイミングで被合併法人を支配している関係にある場合(ハ)です。一方で、イからハのいずれの場合にも該当しないときには、合併法人は、被合併法人の未処理欠損金額について引継制限を受けます。

みなし共同事業要件とは

みなし共同事業要件とは、簡単にまとめると以下の通りです。

①「事業関連性要件」「事業規模要件」「被合併事業の規模継続要件」「合併事業の規模継続要件」を満たす

②「事業関連性要件」及び「特定役員引継要件」を満たす

①または②が満たされれば、合併法人は被合併法人の未処理欠損金を引き継ぐことができます。

事業関連性要件

被合併法人が適格合併の前に営む主要な事業のうちのいずれかの事業(被合併事業)と合併法人が適格合併の前に営む事業のうちのいずれかの事業(合併事業)とが相互に関連するものであること

事業規模要件

被合併事業と合併事業のそれぞれの売上金額、従業者の数、被合併法人と合併法人のそれぞれの資本金の額又はこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと

被合併事業の規模継続要件

被合併事業が被合併法人と合併法人との間に最後に支配関係があることとなった時からその適格合併の直前の時まで継続して営まれており、かつ、その最後に支配関係があることとなった時とその適格合併の直前の時における被合併事業の規模(ロで採用したのと同じ指標)の割合がおおむね2倍を超えないこと

合併事業の規模継続要件

合併事業が合併法人と被合併法人との間に最後に支配関係があることとなった時からその適格合併の直前の時まで継続して営まれており、かつ、その最後に支配関係があることとなった時とその適格合併の直前の時における合併事業の規模(ロで採用したのと同じ指標)の割合がおおむね2倍を超えないこと

特定役員引継要件

被合併法人の適格合併の前における特定役員(社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいいます。以下同じ。)である者のいずれかの者と合併法人の適格合併の前における特定役員である者のいずれかの者とがその適格合併の後に合併法人の特定役員となることが見込まれていること

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