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純資産法とは

会社の財産価値をある一定時点で評価することにより、企業価値・事業価値を算定する方法です。コストアプローチ(ネットアセットアプローチ)による企業価値評価手法で代表的なものは、時価純資産法です。

時価純資産法は、会社が保有している資産の時価から負債を控除した額をもって企業価値とする方法です。3つの企業評価方法の中でも、「最も単純にして客観的な評価方法」です。

時価純資産法の注意点

ただし、中小企業の多くは税法基準で会計処理をしていたり、不良資産をそのまま資産として計上していたりするので、必ずしも資産・負債の各項目が、企業価値算定時点での時価を表していないケースが多く見受けられます。そのため、M&Aの世界では、企業の持つすべての資産と負債を時価で再度評価しなおすことになります。再評価に際しては、資産・負債の各項目を精査して時価ベースに置き直します。

では、どのようにして時価に置きなおすのでしょうか? 資産・負債を時価評価する際に注意すべきポイントの一例を示してみましょう。

勘定科目 ポイント
受取手形 不渡手形、ジャンプ手形はないか。
売掛金、貸付金 回収不能と見込まれる債権がないか。貸倒引当金の計上不足はないか。
棚卸資産 滞留品・販売中止予定品・赤字販売見込品はないか。
固定資産 含み損益はないか。遊休資産等はないか。
投資有価証券・子会社株式

時価のあるものについて、時価で評価されているか。

時価のないものについて、出資先の会社の財政状態はどうか。

ゴルフ会員権 含み損益はないか。
買掛金・未払金 計上漏れはないか。
未払法人税等 計上額は十分か。税務リスクはないか。
引当金
(賞与引当金、退職給付引当金等)
引当金の計上不足はないか。退職年金制度の積立不足はないか。
偶発債務 訴訟等のリスクはないか。

純資産法のデメリット

ここまで読まれて、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、純資産法にはある重大な欠陥があります。純資産法では、M&Aの際に重要なポイントになる「のれん」が加味されません。これでは将来性のある企業や優良企業のオーナーは売却に応じる気になれないでしょう。

では、どういった場合に時価純資産法が用いられるのでしょうか?

たとえば、グループ内で株主変更を行なう場合や、現物出資をする際には純資産法が優れています。なぜなら単なるグループ内での移動の場合では、いちいち「のれん」を考慮する必要がなく、客観的な評価方法でないと税務上も問題があるからです。

のれんについては、別記事で解説しております。

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