M&A相談所
QUESTION
オーナー一族における
親族間の株式承継(親族間譲渡)の最適解は?
親から子への株式譲渡を考えています。「無償(贈与)」が一般的でしょうか?贈与税を考えると「有償」のほうがいいのでしょうか?
節税の観点だけでなく、
会社の規模や成長性、円滑な事業承継を考えたうえで判断を
株式の承継には、主に「相続」「贈与(生前贈与)」「売買(有償譲渡)」の3つの選択肢があります。実務的な観点から言うと、経営の承継と財産の承継は分けて考える必要があり、一概にどれが正解とは言えません。
計画的に進める場合には、経営者が無償で後継者に株式を譲渡する生前贈与が一般的によく検討されます。暦年課税や相続時精算課税、事業承継税制を活用します。特に会社が成長して企業価値が上がっていく局面や、毎期安定した配当があるケースでは、株価が低いうちに早めに贈与を開始することで、将来の相続財産を圧縮し、後継者に財産を蓄積させることができるという大きなメリットがあります。
有償譲渡は、経営者が売主、後継者が買主となって株式を有償で譲渡する方法で、最大のメリットは「争いなく承継者を確定できる」点です。贈与や相続でも承継者を確定することはできますが、他の法定相続人から遺留分を主張されて揉めるリスクがあります。適正価格での有償譲渡であれば、そのリスクを回避できます。
デメリットは後継者(子)の資金負担です。借入をして株式を買い取る場合、その後の利息負担や会社の業績リスクを後継者が背負うことになります。
税務面で考えると、親にかかる譲渡所得税は比較的税率が低く抑えられます。しかし、親がその資金を使わずに亡くなった場合、残った現金に対して今度は子に相続税がかかり、家全体で見ると“二重課税”のような状態になる可能性があります。そのため、目先の税率だけでなく、家族全体での税負担をシミュレーションすることが重要です。
◆判断のポイント
譲渡の方法を「税金(節税)」だけで判断しないことが大切です。会社の規模、成長性、現在のご年齢、後継者が経営を引き継ぐタイミング、そして親族間の関係性(相続人は何人いるか、将来揉める火種がないか)を総合的に判断する必要があります。
例えば過去の事例でも、株主が代々の相続で分散し、対応に苦慮した結果、第三者への譲渡を決断されたケースもあります。生前贈与であれば、時間をかけて少しずつ株式を譲渡できるため税負担を抑えやすく、譲渡のタイミングも自らコントロールできます。
事業承継は「いつか」ではなく「今」考えるべき課題です。親族内承継が難しい場合、MBO(経営陣買収)や第三者へのM&Aなど、別の選択肢を視野に入れる必要もあります。ご自身が健康で若いうちに、また会社が堅調なときに計画を立てることが重要です。最近は財務ツールやAIなどで簡単に税金計算ができる時代ですが、AIにはご家庭の複雑な事情や会社の将来性まで計算することはできません。ご自身も会社もお元気で選択肢の多いうちに、ぜひお早めに我々のような専門家にご相談ください。
親族間で株式を譲渡する3つの方法
| 方法 | メリット | デメリット |
| 贈与(生前贈与) | ●暦年課税、相続時精算課税、事業承継税制など選択肢が多い ●承継のタイミングを自分でコントロールできる |
★暦年課税で節税しようとすると、時間がかかる ★他の相続人から遺留分を主張されるリスクがある ★事業承継税制は手続きが複雑でランニングコストも発生 |
| 売買(有償譲渡) | ●承継者を確定しやすく、遺留分トラブルを回避できる ●譲渡にかかる所得税は、相続税・贈与税ほど税率が高くならない |
★後継者に株の買い取り資金が必要 ★借入の場合、倒産時のリスク負担が大きい ★親が代金を使わず残すと二重課税のようになる可能性がある |
| 相続 | ●3つの中で税負担額は最も低くなりやすい | ★いつ発生するかわからず計画を立てにくい ★株主が分散し、経営の意思決定が困難になるリスクがある ★「最終的な手段」と位置づけられており、積極的な事業承継対策ではない |
個別の質問にも回答させていただきますので、詳しくは当社のM&Aアドバイザーにお気軽にご相談ください。







