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廃業かM&Aかは、引き継げる事業の価値、残された時間、関係者への影響、手取りと責任、希望条件を同じ前提で比較して判断します。資産を個別に処分する廃業・清算では、事業を続けることで生まれる価値を回収しにくい一方、M&Aではその価値が評価される可能性があります。

ただし、M&Aが常に廃業より有利とは限りません。買い手が見つからない場合や、条件が合わない場合もあります。大切なのは、廃業を決めてから別の可能性を探すのではなく、事業に引き継げる価値が残っている段階で両方を比較することです。

本記事では、譲渡を検討する中小企業経営者に向けて、廃業と会社・事業の譲渡の違い、判断基準、比較の進め方を解説します。

この記事で分かること

  • 廃業、株式譲渡、事業譲渡・会社分割で何が変わるか
  • 廃業かM&Aかを判断する5つの基準と手取りの考え方
  • 廃業・閉院などを検討した50案件の成約記録
  • 結論を出す前に整理しておきたい資料と条件

黒字でも廃業するのか――会社をたたむ前に比較する意味

黒字でも、後継者不在や経営者の健康などにより事業の継続が難しくなることがあります。東京商工リサーチによると、2025年の休廃業・解散は67,210件で、そのうち直近の損益が判明した企業の52.8%が黒字でした。「黒字企業の半数が廃業した」という意味ではありません。利益が出ているうちに承継の可能性を確認することも、選択肢を残す一つの方法です。

出典:東京商工リサーチ「2025年『休廃業・解散企業』動向調査」

M&Aは、企業の合併・買収を指します。譲渡を検討する経営者にとっては、株式や事業の譲渡などにより会社・事業を第三者へ引き継ぐ選択肢になります。本記事では、会社全体を引き継ぐ株式譲渡と、特定の事業を引き継ぐ事業譲渡・会社分割(新設分割・吸収分割)などを中心に、「廃業と比較してどう判断するか」を解説します。
M&Aの意味、目的、手法、流れについては、「M&Aとは」で詳しく解説しています。

廃業とM&A(会社・事業の譲渡)は何が違うのか

「廃業」は法律上の手続名ではなく、一般に事業をやめることを指します。本記事の廃業・清算の説明は主に株式会社を想定しています。自ら事業を終了し、法人格まで消滅させる場合は、通常、解散後に債権の回収、債務の弁済、残余財産の分配などの清算手続を進めます。

廃業・解散・清算・休業・倒産の違い

これらは日常的に混同されることがありますが、意味や手続が異なります。特に廃業と倒産は同義ではありません。

廃業・解散・清算・休業・倒産の違い
用語 本記事での意味・位置付け
廃業 法律上の手続名ではなく、一般に事業をやめることを指す
解散 会社法上の解散原因が生じた段階。合併による解散と、破産手続開始の決定による解散(その破産手続が終了していない場合)を除き、清算手続に移る
清算 債権の回収、債務の弁済、残余財産の分配などを行い、法人格の消滅に向けて整理する手続
休業 事業活動を一時的に休止すること。法人格が直ちに消滅するわけではない
倒産 債務の支払いが困難になり、経営が行き詰まった状態を指す一般的な表現。事業を再建する場合もあり、廃業と同義ではない

債務を完済できない場合は、通常清算だけでは進められません

株式会社の通常清算は、債務を弁済して残余財産を分配する手続です。通常清算の途上で、会社財産が債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は直ちに破産手続開始を申し立てなければなりません。また、清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、清算人に特別清算開始の申立義務があります。特別清算は、清算の遂行に著しい支障を来す事情がある場合にも対象となります。どの手続が適切か、いつ申し立てる必要があるかは、早めに弁護士に相談してください。

廃業・株式譲渡・事業譲渡で何が変わるか

M&Aでは、会社全体を引き継ぐ「株式譲渡」と、特定の事業を引き継ぐ「事業譲渡」で取扱いが異なります。特定の事業を引き継ぐ方法には、会社分割(新設分割・吸収分割)もあります。まず廃業・株式譲渡・事業譲渡の違いを表で整理し、会社分割の注意点を表の下に補足します。

廃業・株式譲渡・事業譲渡の比較
観点 廃業 株式譲渡 事業譲渡
会社・事業 事業を停止。法人を終了する手続は、債務を完済できるかなどにより異なる 法人と事業は原則として存続し、株主が変わる 選んだ事業を移し、売り手企業は原則として残る
雇用契約 退職などへの対応が必要 雇用契約は原則として同じ会社に残る 承継には、原則として対象従業員本人の個別承諾が必要
取引契約・許認可 契約終了、許認可の廃止・返納などに対応 原則として会社に残るが、契約条項等の確認が必要 契約内容・法令に応じ、相手方の承諾や個別手続が必要となることがある
資産・負債 資産の換価・処分と債務の整理を進める 資産・負債は原則として会社に残る 引き継ぐ資産・負債などを個別に定める
対価の受取先 債務や費用を清算した後、残余財産があれば株主へ分配 原則として株主が株式の譲渡対価を受け取る 原則として売り手企業が事業の譲渡対価を受け取る
経営者保証 廃業だけで当然に消滅するものではない 株式譲渡だけで自動的に解除されるものではない 保証・債務の扱いを個別に確認する必要がある

※会社分割(新設分割・吸収分割)では、分割契約・分割計画に定めた権利義務が包括的に承継されます。雇用には労働契約承継法等に基づく協議・通知・異議申出などの手続があり、事業譲渡の個別承諾とは仕組みが異なります。許認可の承継可否は根拠法令ごとに確認します。実際の取扱いは会社形態・契約・法令等により異なるため、専門家に確認してください。

事業の譲渡と廃業は、必ずしも二者択一ではありません

継続可能な事業を第三者へ引き継ぎ、売り手企業は残った資産・負債を整理して廃業する方法もあります。ただし、残る会社で債務を完済できない見込みがある場合は、事業の切出しを先行させず、弁護士に相談してください。譲渡・分割をする会社が、引き継がれない債務の債権者を害すると知りながら事業を移すと、法定の要件の下で、譲受会社・承継会社等が、承継した財産の価額を限度に債務の履行を請求されることがあります。債務の整理を伴う場合は、私的整理・法的整理を含めた検討が必要です。

廃業かM&Aかを判断する5つの基準

判断を価格だけに絞ると、雇用、取引先、経営者保証、事業の将来など、重要な条件を見落とす可能性があります。まず、次の5項目を同じ前提で比較します。

廃業かM&Aかを判断する5つの基準
判断基準 確認する問い
1. 引き継げる価値 顧客、人材、技術、許認可、ブランド、立地など、買い手が引き継げる経営資源があるか
2. 残された時間 資金繰り、経営者の健康、契約期限、キーパーソンの在籍状況を踏まえ、いつまでに判断する必要があるか
3. 関係者への影響 従業員の雇用、取引先への供給、顧客や地域への影響をどう考えるか
4. 経済条件と責任 廃業時の清算結果と、譲渡対価・税金・経営者保証などを同じ前提で比較したか
5. 条件の優先順位 価格、雇用、社名・事業の継続、退任時期など、何を優先し、どこまで調整できるか

1. 買い手に引き継げる経営資源があるか

直近の利益が小さい、あるいは赤字であっても、それだけで譲渡できないとは限りません。継続取引のある顧客、技術や資格を持つ人材、許認可、ブランド、地域での信用、立地、設備などが、買い手にとって価値になる場合があります。反対に、顧客やキーパーソンが離れた後では、引き継げる価値が小さくなる可能性があります。

自社の価値を考える手掛かりとして、企業価値算定サービスも参考になります。

引き継げる強みを整理する際は、M&Aで売れる会社の条件を確認してください。候補先への説明準備には、買い手が確認する審査ポイントも参考になります。

2. 判断までに使える時間はどのくらいか

M&Aの検討期間は、候補先の有無や交渉、買収監査、必要な手続によって変わり、短期間で成立するとは限りません。経営者の健康、資金繰り、契約更新、設備更新、キーパーソンの退職予定を踏まえ、判断期限を決めます。株式会社の通常清算でも、債権者への公告で定める申出期間は2か月以上必要です。これは清算全体が2か月で終わるという意味ではありません。

3. 従業員・取引先・顧客への影響をどう考えるか

廃業では、従業員の退職、取引先との契約終了、顧客への供給停止などが生じます。M&Aであれば事業を継続できる可能性がありますが、雇用や取引の維持が自動的に保証されるわけではありません。残したいものを譲渡条件として整理し、候補先の方針を確認する必要があります。

4. 経営者の手元に残るものと責任を比較したか

廃業時は、資産の換価額から債務、退職・原状回復などに伴う支出、税金などを差し引いた結果を確認します。設備・在庫の処分、賃貸物件の原状回復・解約、従業員への退職金や雇用終了への対応、専門家報酬・登記・公告、借入金やリース契約などの残債務も確認対象です。M&Aでは、譲渡対価だけでなく、税金、経営者保証、退任後の関与、会社に残る債務などを含めて比較する必要があります。

手取りは、「会社に残るお金」と「経営者個人に残るお金」を分けて比較します。下表は、日本の居住者である個人株主が非上場の株式会社を保有する場合の一般的な整理です。譲渡価格だけでなく、取得費、債務、諸費用、法人・個人それぞれの税負担をそろえて試算します。

方法別の対価の受取先と個人の手取りに関わる税・費用
方法 お金を受け取る人 個人の手取りを考える際の主な税・費用
株式譲渡 売り手の株主 譲渡価額から取得費・譲渡費用等を差し引いた譲渡益に、原則20.315%の申告分離課税。売却代金の全額にこの税率を掛けるわけではありません。
事業譲渡後に会社を清算 まず売り手の会社。その後、残余財産があれば株主 会社に生じた譲渡益等への法人課税と、債務・清算費用等を確認。その後の株主への分配にも、みなし配当や株式譲渡損益に関する課税が生じ得ます。
事業を譲渡せず廃業・清算 債務・費用等を精算した後の株主 資産処分に伴う法人課税等を確認。残余財産の分配額のうち、その株式に対応する税務上の資本金等の額を超える部分は原則みなし配当となり、非上場株式では原則総合課税です。みなし配当以外の部分は株式の譲渡収入とみなされ、取得費等を基に譲渡損益を計算します。

事業譲渡後の清算や廃業では、①譲渡・換価で入るお金、②会社が支払う債務・費用・税、③個人が受け取る金額、④個人の費用・税、の順に確認します。株式譲渡の価格を検討する際も、会社の借入金などが考慮されます。株主の受取代金からさらに借入金を差し引く必要があるかは、価格の前提と、借入金を誰がいつ返済するかによって異なります。

消費税について、株式の譲渡は非課税です。事業譲渡では対価を合理的に区分し、建物・設備・のれん(営業権)などの課税資産に対応する部分が課税対象となります。土地の譲渡と、売掛金などの金銭債権の譲渡は非課税です。退任に伴う役員退職金も手取りに影響しますが、実際の退職、金額の相当性、役員勤続年数等により税務上の取扱いが変わります。税理士に、会社・個人それぞれの税負担を踏まえた試算を依頼してください。

退任時の税務を検討する際は、役員退職金を活用する場合の考え方と留意点も確認してください。

税金の計算方法は、株式を売る場合の株式譲渡にかかる税金と、事業を譲る場合の事業譲渡にかかる税金でそれぞれ解説しています。

清算時に納付すべき国税を納めずに財産を分配し、会社からの徴収に不足が生じると認められる場合には、清算人や分配を受けた者に、法律上の限度額の範囲で第二次納税義務が生じることがあります。また、特殊関係者への事業譲渡や、無償・著しい低額での譲渡等でも、国税の徴収不足、譲渡の時期など各規定の要件を満たす場合には、譲受人等に第二次納税義務が生じることがあります。財産を移す前に、未納税額や取引条件を専門家と確認してください。

M&Aの費用・料金体系と発生時期は、支援機関や契約内容によって異なります。ストライクへの依頼を検討する場合は、ストライクの報酬・料金体系で費用と発生時期をご確認ください。

5. 希望条件の優先順位を決めているか

価格、従業員の雇用、取引先との関係、社名・ブランド、事業所、経営者の退任時期など、すべての希望が同時に実現するとは限りません。「必ず守りたい条件」「できれば実現したい条件」「調整できる条件」に分けておくと、廃業とM&Aを現実的に比較できます。

会社全体を譲るか、事業だけを譲るか

M&Aを検討する場合も、「会社を残すのか」「継続可能な事業だけを残すのか」によって手法が変わります。各手法の比較と選び方は、会社を売却(譲渡)する方法でも整理しています。

会社全体を引き継ぐ株式譲渡

株式譲渡では、株主が保有する株式を買い手へ譲渡します。法人格は変わらず、資産・負債・契約・雇用関係などは原則として会社に残ります。会社全体の継続を希望する場合に検討しやすい一方、買い手は簿外債務や偶発債務を含むリスクを確認するため、買収監査を行います。経営者保証の解除も、金融機関を含めた個別調整が必要です。具体的な仕組みと手続は、株式譲渡の解説をご覧ください。

継続可能な事業を選んで引き継ぐ事業譲渡・会社分割

特定の事業を引き継ぐ方法には、事業譲渡のほか、会社分割があります。会社分割には、新たに設立する会社へ事業を承継させる新設分割と、既存の会社へ承継させる吸収分割があります。対象事業を別会社に承継させて、その会社の株式を買い手へ譲渡する方法や、買い手側の会社へ直接承継させる方法などがあります。

事業譲渡では資産・契約・負債などを個別に移転するため、雇用契約の承継には原則として従業員本人の個別承諾が必要です。取引契約も、相手方の承諾が必要になることがあります。会社分割では、分割契約・分割計画に定めた権利義務が包括的に承継されますが、債権者保護や労働契約承継に関する手続が必要です。いずれも、契約・許認可の内容、従業員、税負担、スケジュールなどを踏まえて選びます。

会社分割を用いる場合は、分割後の株式譲渡予定を含めて税制適格性を判定し、資産の譲渡損益への課税や不動産に関する税負担などを税理士に確認します。「会社分割なら税金がかからない」とは限りません。

詳しい違いと手続は、「事業譲渡とは?」で解説しています。

事業を別会社へ承継させる仕組みや手続については、会社分割の解説も確認してください。

廃業とM&Aを並行して検討する進め方

最初からどちらか一方に決める必要はありません。次の順序で情報を整理し、一定の期限を設けて比較すると、判断の先送りを防ぎやすくなります。

  1. 1

    現状を整理する:直近3期程度の決算書、株主構成、借入・経営者保証、主要契約、許認可、従業員構成、保有資産などを確認します。

  2. 2

    廃業した場合を試算する:資産の換価見込み、債務、退職・原状回復などの支出、税金、従業員・取引先への対応を整理します。

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    M&Aの可能性を確認する:第三者が評価し得る経営資源、想定される候補先、株式譲渡・事業譲渡・会社分割などの適否、実現したい条件を整理します。

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    期限を決めて比較・判断する:候補先の有無や提示条件を踏まえ、廃業とM&Aの結果を同じ前提で比較します。事業価値が低下する前に判断することが重要です。

M&Aの検討では、会社名が特定される情報を不用意に開示しないことも重要です。候補先への情報開示は、秘密保持契約や開示範囲を確認しながら段階的に進めます。

買い手の事業計画、資金調達の見通し、過去の買収後の対応、雇用や経営者保証の取扱いも確認します。譲渡価格だけで決めず、説明の裏付けや契約条件について支援機関・弁護士と確認してください。

M&Aを選んだ場合の詳しい手続は、会社売却の具体的な流れをご覧ください。

資金繰りが逼迫している場合

期限どおりに債務を返済できないおそれがある場合は、通常の廃業・M&A比較だけで判断せず、早急に弁護士や取引金融機関へ相談してください。

廃業かM&Aかは、いつ相談すべきか

廃業を決めてからではなく、「後継者が見つからない」「数年以内に引退したい」「設備投資や人員確保が難しい」と感じた段階が、比較を始めるタイミングです。相談したからといって、M&Aを選ぶ必要はありません。まず、廃業とM&Aの双方について必要な情報をそろえます。

M&Aの支援先を選ぶ際は、支援範囲、報酬の発生時期・計算方法、最低手数料、情報管理、利益相反への対応を確認します。M&A支援機関登録制度への登録状況や中小M&Aガイドラインへの対応も確認材料になりますが、登録だけで支援の質や成約が保証されるわけではありません。支援機関ごとの特徴と選び方は、会社売却(譲渡)の相談先で解説しています。

費用の支援策として、事業承継・M&A補助金が利用できる場合があります。ただし、公募回・申請枠ごとに対象経費、着手時期、申請要件が異なり、すべての廃業やM&Aが対象になるわけではありません。仲介手数料等では、登録M&A支援機関への支払いであることなどの条件も確認してください。

最新の公募要領:事業承継・M&A補助金

廃業とM&Aの比較を始めたい方は、ストライクのM&A無料相談をご利用ください。

よくある質問

Q. 赤字や債務超過の会社でもM&Aはできますか?

可能性はありますが、必ず譲渡できるわけではありません。買い手は損益だけでなく、顧客、人材、技術、許認可、資産、事業との相乗効果などを確認します。債務や資金繰りを正確に開示し、債務の減免が必要な場合は、債権者との合意や再生・倒産手続を含めて専門家と検討してください。M&Aだけで債務がなくなるわけではありません。

Q. 廃業を決めた後でも事業を譲渡できますか?

廃業を決めた後でも、営業、雇用、顧客との関係が維持されていれば、会社・事業を譲渡できる可能性があります。解散決議の有無、解散原因、清算の進行状況によって、会社の継続や事業譲渡に必要な手続は異なります。解散後も一律に不可能というわけではありませんが、資産処分や契約終了を進める前に弁護士へ確認してください。

Q. M&Aを検討していることを従業員へ伝えるべきですか?

情報開示の時期と範囲は、秘密保持と、必要な説明・手続の両方を踏まえて決めます。特に事業譲渡で雇用契約を承継する場合、厚生労働省の指針では、従業員本人の真意による承諾を得られるよう、十分な説明と承諾に向けた協議を行うことが適当とされています。会社分割でも労働契約承継法等に基づく協議・通知などを行います。専門家と説明計画を立て、秘密保持を理由に必要な手続を後回しにしないことが大切です。

Q. M&Aをすれば経営者保証は必ず解除されますか?

自動的には解除されません。買い手との合意だけでは金融機関を拘束できないため、取引金融機関と早い段階で協議し、解除の方法・時期を確認します。「経営者保証に関するガイドライン」や事業承継時の特則、廃業時の基本的考え方に沿った対応が可能かも相談してください。適用や免除には要件があり、最終契約・クロージングの条件と金融機関の対応を一致させる必要があります。

参考:全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」

まとめ――廃業を決める前に、会社・事業を残す可能性を比較する

廃業とM&Aのどちらが適切かは、会社の規模や直近の利益だけでは決まりません。引き継げる経営資源、残された時間、従業員・取引先への影響、経営者の手元に残るものと責任、希望条件の優先順位を整理して判断します。

会社全体の譲渡が難しくても、事業の一部を引き継げる場合があります。一方、候補先や条件によっては廃業が現実的な結論となることもあります。資金繰りや必要な手続の期限を踏まえ、選択肢が残っているうちに比較を始めることが大切です。

参考資料

・中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」

・厚生労働省「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」

・国税庁「清算人等の第二次納税義務」

・国税庁「株式等を譲渡したときの課税」

・e-Gov法令検索「会社法」(第23条の2、第484条、第499条、第510条、第759条・第764条等)

・厚生労働省「会社分割・事業譲渡・合併における労働者保護」

・国税庁「事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務」

・国税庁「無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務」

・国税庁「配当金を受け取ったとき(配当所得)」

・国税庁「株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる場合」(No.1536)

・e-Gov法令検索「所得税法」第25条(配当等とみなす金額)

・国税庁「非課税となる取引」

・国税庁「吸収分割契約書・新設分割計画書の範囲」

・国税庁「営業の譲渡をした場合の対価の額」