INTERVIEW

事業承継を成長の起点に 技術と営業力を結ぶ、ハイ・テックとメタルホールディングスのM&A

株式会社ハイ・テック、株式会社メタルホールディングス
譲渡企業様 譲受企業様
企業名 株式会社ハイ・テック 株式会社メタルホールディングス
所在地 群馬県太田市 東京都千代田区(本社)
事業内容 金属加工、多品種少量生産、精密板金・部品板金 製造業を中心とした企業グループ、飲食・不動産事業
M&Aの目的 事業承継、社員・顧客・取引先の保全、成長基盤の確立 技術力の獲得、営業・採用・設備投資によるグループ成長
今後のテーマ 営業力強化、新規顧客開拓、工場の高度化 北関東市場の開拓、拠点間連携、DX・自動化の推進

この記事のハイライト

課題:株式会社ハイ・テックは、濵野代表取締役の持病による長期不在の可能性を見据え、社員や設備、取引先を守りながら会社を将来へ引き継ぐ方法を検討していました。

決断:株式会社メタルホールディングスは、ハイ・テックの多品種少量生産に対応する高い技術力、精密板金と部品板金の両方を手がける設備、人材の力に将来性を評価。営業力や採用・バックオフィス機能を補完できる点も、グループインを決める大きな理由となりました。

成果:成約後は、メタルホールディングスの営業・採用・管理機能と、ハイ・テックの製造現場の強みを組み合わせる取り組みが始動。工場環境の改善や設備投資、案件の相互融通を進め、日本のものづくりを支える製造グループとしての成長を目指しています。

株式会社ハイ・テック 代表取締役 濵野 智一 氏、株式会社メタルホールディングス 代表取締役 CEO 塙 良太郎 氏・取締役 COO 豊田 直樹 氏
左から 豊田氏、濵野氏、塙氏。ハイ・テック社屋横の工場内にて

株式会社ハイ・テックは、創業34年の金属加工会社です。多品種少量生産を得意とし、難加工品や短納期品にも対応してきました。一方、濵野氏は自身の健康問題をきっかけに、会社を将来へ残す方法を考え始めます。株式会社メタルホールディングスは、ハイ・テックの整った工場と幅広い加工技術、社員の力に将来性を見いだしました。成約後は、営業・採用・設計支援、設備投資、グループ会社間の連携が進み、ワンストップで顧客の要望に応える体制づくりが始まっています。

技術力を守るための事業承継

事業承継を考え始めた背景について教えてください。

株式会社ハイ・テック 代表取締役 濵野 智一 氏
株式会社ハイ・テック 代表取締役 濵野 智一 氏

濵野:ハイ・テックは創業34年の金属加工会社です。多品種少量生産を中心に、1個、2個から数十個、数百個までの注文に対応し、他社では難しい加工や短納期の仕事を多く手がけてきました。

5年ほど前に持病の症状が出始め、会社をどう継続するかを考えるようになりました。もし病状が進行し、長期間不在になる可能性を考えると、社員だけで数カ月は運営できても、年単位ではリスクがあります。そこで、そうなる前に方向性を定めたいと考え、2、3年前からM&Aを具体的に検討しました。

濵野様として、単独での経営にどのような課題を感じていましたか。

濵野:技術面には自信がありましたが、営業力や採用、資本力には限界がありました。M&Aには当初、会社を手放すという印象もありましたが、従業員や設備、お客様、取引先を守り、さらに会社を成長させるための選択肢だと捉え直しました。

技術と営業力が出会ったトップ面談

塙様、豊田様は、なぜハイ・テックに注目されたのでしょうか。

ハイ・テック工場内の様子
ハイ・テック工場内の様子

塙:ハイ・テックは工場がきれいに整理され、第一、第二、第三工場に余力がありました。部品板金と精密板金の両方に対応し、設備も人もきちんと稼働しています。私たちには営業部、設計、営業サポート、人事・採用などの機能があります。ハイ・テックが持つ技術と、私たちが持つ仕組みを組み合わせれば、強い会社になると感じました。

豊田:工場を見れば、現場がしっかり運営されているか分かります。ハイ・テックは整理整頓が行き届き、品質への意識も高い。リピート品や継続的な顧客基盤もあり、グループの中で仕事を融通し合える可能性があると考えました。

初めて面談した際のお互いの第一印象を教えてください。

株式会社メタルホールディングス 代表取締役 CEO 塙 良太郎 氏
株式会社メタルホールディングス 代表取締役 CEO 塙 良太郎 氏

濵野:最初のトップ面談では、営業や採用など私たちの課題について質問すると、資料を示しながら丁寧に改善策を説明してくださいました。工場見学の際にも、設備投資や今後提供できる仕事について具体的に話していただき、先々の安心感を持てました。条件だけでなく、人柄や会話の相性も大きな判断材料でしたね。

塙:面談や工場見学を通じて、ハイ・テックの社員の皆さんが会社と仕事を大切にしていることが伝わりました。社員の方々がどのような人かは、成約前にはすべて分かりません。だからこそ、実際に一緒になってからも同じ方向を向いてくれるかを重視しました。結果として、非常に協力的で、素晴らしいチームでした。

最終的にM&Aを決断した最大の決め手は何でしたか。

濵野:会社、社員、設備、お客様、取引先をまとめて引き継いでいただけることが第一条件でした。メタルホールディングスなら、営業力や採用力を補いながら、ハイ・テックの技術を生かせると確信しました。

塙:既存の工場と人材を生かし、足りない機能を加えられることが決め手です。更地から工場を建てて設備を入れるより、すでに実績のある会社と一緒になる方が、投資の効果も早く出ます。ハイ・テックの技術とグループの営業力を合わせ、仕事の平準化と利益率の向上を実現したいと考えました。

社員とともに進めるPMI

社員の皆様には、どのように説明されたのでしょうか。

濵野:最終契約日の午後に全従業員を集めて説明しました。会社が立ち行かなくなったから売るのではなく、成長のために必要なステップなのではないか、という意見も出ました。社員が前向きに受け止めてくれたことに、私も安心しました。

成約後、現場で具体的に変わったことは何ですか。

豊田:まずは一人ひとりと面談し、考えや課題を聞いています。全員に同じ説明をするだけでは伝わりにくいこともありますが、マンツーマンなら理解を深めながら進められます。今後はマネージャー会議を定期開催し、営業、品質、工程、改善活動について話し合います。ハイ・テックの良さを崩さず、働きやすい環境へ整えていきます。

そのほか、工場の暑さ対策にも取り組みました。空調や送風、冷却用品を整え、働く環境を改善しています。小さな対応でも、会社が現場を見てくれているという実感につながります。

ワンストップ化と北関東市場の開拓

今後の事業シナジーと成長イメージについて教えてください。

株式会社メタルホールディングス 取締役 COO 豊田 直樹 氏(株式会社ハイ・テック 代表取締役社長)
株式会社メタルホールディングス 取締役 COO 豊田 直樹 氏(株式会社ハイ・テック 代表取締役社長)

塙:営業部を活用して、特定顧客への依存を緩和し、新しい仕事を獲得します。工場の空きスペースや老朽化した設備も見直し、大型機械や生産管理システムへの投資を進めます。北関東の市場を開拓し、レーザー加工機やベンディングマシンなど、地域の需要に合う設備を検討します。

濵野:最近、グループのお客様から、曲げ加工、溶接、塗装、組み立てまで一括で依頼したいという要望がありました。グループ内の別会社の設備とハイ・テックの技術を組み合わせれば、ワンストップで提案できます。これは単独では難しい案件であり、グループインの効果を実感した出来事でした。

豊田:高度な技術を次世代へ承継することも重要です。ロボットや自動化設備を活用しながら、人が担う技術を標準化し、仕組みに落とし込みます。

事業承継を考える経営者へのメッセージ

後継者不足や将来不安を抱える地方企業の経営者に、伝えたいことはありますか。

濵野:M&Aは、会社を売り渡すだけのものではありません。従業員や取引先を守り、会社を成長させるための選択肢にもなります。親族承継や従業員承継と並べて、早い段階から検討するとよいでしょう。実際に経験すると、これまでのイメージとは違う、前向きな面が見えてきます。

豊田:相手をよく調べ、納得できるまで見極めることが大切です。条件だけでなく、働く人や設備を大切にしている会社かを確認してください。蓋を開けなければ分からない部分もありますが、時間をかけて吟味する価値があります。

塙:会社の出口は終わりではなく、次の入口です。経営を続けるのか、別の人生に進むのかは人それぞれですが、いつか来る出口を考えておく必要があります。大切なのは、社員にとって何がよいかを考え、信頼できる相手に託しながら、ともに会社を育てることです。

ストライクのサービスや担当者はいかがでしたか。

ストライクの小牧、豊田氏、濵野氏、塙氏、ストライクの青木
左から ストライクの小牧、豊田氏、濵野氏、塙氏、ストライクの青木

濵野:担当者は本音で向き合い、どちらか一方に偏らず、客観的な立場で提案してくれました。毎週のように会社へ来てくれたため、初めてのM&Aでも安心して進められました。

塙:最後まで対応していただき、成約までたどり着けたことに感謝しています。

M&Aアドバイザーより一言

ストライク青木 達也

株式会社ストライク 成長戦略部 青木 達也

本件は、群馬県太田市で幅広い産業分野向けの精密板金部品を手掛けるハイ・テック様と、製造業の技術継承を理念に掲げるメタルホールディングス様とのご縁をお繋ぎした案件です。このたび、将来を見据えた最良のパートナーシップが結実いたしました。
トップ面談の場において、両社が丁寧に向き合い、互いを尊重しながら温かなコミュニケーションを重ねられる姿が非常に印象的でした。まさに「人と人との相性の良さ」が深い信頼関係へと繋がり、成約に至ったと感じております。
本件を通じて両社が更なる技術領域の拡大を実現し、今後一層の発展と成長を遂げられますことを心より期待しております。

公開日:2026年10月15日

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