ご成約インタビュー No.165
INTERVIEW
銘菓「瓦せんべい」の150年の伝統を未来へ繋ぐ。
老舗菓子店「宗家くつわ堂」が選んだ
M&Aという成長戦略
| 譲渡企業様 | 譲受企業様 | |
|---|---|---|
| 企業名 | 株式会社宗家くつわ堂 | 株式会社はりま家 |
| 所在地 | 香川県高松市 | 高知県高知市 |
| 事業内容 | 瓦せんべいをはじめとする銘菓の製造・販売(創業約150年) | 食品・土産品の企画・開発・製造・販売、ブランドプロデュース(創業約120年) |
| M&Aの目的 | 後継者不在の解決、伝統ブランドの次世代への継承 | 伝統ブランドの価値翻訳・グループ全体の成長戦略加速 |
| 今後のテーマ | はりま家の企画力・販路を活かした本業のさらなる成長 | 新ブランド立ち上げ・大都市圏/EC展開 |
株式会社宗家くつわ堂
ご成約インタビュー動画
この記事のハイライト
課題:創業150年近い歴史を持つ宗家くつわ堂は、後継者不在という壁に直面。伝統の味と社員の雇用を守りながら、自社単独では難しくなっていた「成長」への道筋をどう描くかが最大の課題だった。
決断:はりま家・千頭代表は、150年の伝統ブランドが持つ本質的な価値を見極め、自社のブランドプロデュース力・企画力・販路との掛け合わせによる相乗効果に大きな可能性を感じ、グループ化を決断。「納得感」を最後の判断軸に、数字だけでは測れない両社の文化・人柄の一致を重視した。
成果:成約後わずか数か月で新商品開発や新ブランド戦略が具体的に始動。はりま家の企画力と販路を活かしながら、大都市圏・EC展開を視野に入れた成長戦略が動き出している。「変わらないために、変わり続ける」という理念のもと、150年の伝統をさらに次の世代へとつなぐ新たな歩みが始まっている。
ストライク 雑賀 憲太(左) 矢野 大地(右)
香川県高松市で明治10年(1877年)に創業し、銘菓「瓦せんべい」で知られる老舗菓子メーカー、株式会社宗家くつわ堂。同社は2027年に創業150周年を迎えるにあたり、高知県を拠点に幅広い事業を展開する株式会社はりま家(高知県高知市)へ株式を譲渡し、M&Aによる事業承継を実現した。はりま家も創業約120年の歴史を持つ老舗であり、今回は「創業100年超の企業同士のM&A」という歴史的な結びつきとなった。後継者不在という課題に直面する中、長年守り続けてきた伝統の味と社員の雇用を守り、さらなる成長を目指すための決断であった。「変わらないために、変わり続ける」という理念のもと、新たなパートナーと共に歩み始めた経緯や今後の展望について、田村 照夫 代表取締役社長に話を伺った。
「変わらないために、変わり続ける」。150年の伝統を支える「白下糖」と事業承継への決意
香川県の銘菓として愛され続ける「瓦せんべい」ですが、まずはその誕生の背景と、長きにわたってお客様の心を掴んで離さない美味しさの秘密についてお聞かせいただけますか。
当社は明治10年に創業し、来年で150周年を迎えます。創業当時、香川県特産の高級砂糖である「和三盆」がそのまま県外へ流出していたため、地元でこの素晴らしい砂糖を使ったお菓子を作れないかと考えたのが始まりでした。高松城(玉藻城)の天守の瓦を模した「瓦せんべい」は、そうして誕生し、現在まで当社の看板商品となっています。
長く愛され続けている最大の理由は、和三盆の原料糖である「白下糖」を使用している点に尽きます。一般的な上白糖やグラニュー糖とは異なり、ミネラル分を豊富に含んでいるため、深いコクと風味が生まれるのです。このお砂糖を使い続けてきたからこそ、お客様に飽きられることなく150年近く続いてきたのだと確信しています。
それほどの歴史と伝統を持つ貴社ですが、後継者不在という壁に直面されました。M&Aという選択肢は、どのような経緯で現実のものとなっていったのでしょうか。
私が還暦を迎えた3年ほど前のことです。親族内に事業を承継できる者がいなかったため、方針発表会で全社員に向けて、そして株主総会で親族である株主に対して、「田村家で事業承継する者がいないため、次のことを考えます」と率直に伝えました。
中小企業として、限られた経営資源をどのように配分していくかが常に大きな課題でした。私自身はコロナ禍を経験したこともあり、会社をいかにして残すかという「存続」に重点を置いた守りの経営を意識していました。
しかし、会社を未来永劫にわたって存続させるためには、守るだけでなく「成長」を目指す新たな戦略が不可欠です。そのため、外部との連携、すなわちM&Aという選択肢を本格的に検討するようになりました。
「一般道から高速道路へ」。はりま家との出会いが生み出す、圧倒的な成長スピードと企画力のシナジー
会社と社員の未来を託すパートナー探しにおいて、譲れなかった条件と、株式会社はりま家様との出会いについて教えてください。
絶対に譲れなかったのは、「会社を残してくれること」「社員を残してくれること」、そして「本業であるお菓子の製造販売をさらに伸ばしてくれること」の3点です。
株式会社はりま家(高知県高知市)は以前から当社の取引先でもあったため、会社自体は存じ上げていました。ただ、社長とお会いするのは初めてでした。千頭社長は私と同い年なのですが、会社を3億円規模から30億円規模まで成長させてこられた実績があり、会社の成長に対する考え方やスピード感が全く違うと感じ、「やり手だな」と深く感銘を受けました。
最終的に株式会社はりま家様をパートナーとして選ばれた決め手と、両社が一つになることで生まれる新たな可能性についてどのようにお考えですか。
「会社の存続」と「雇用の維持」という大前提を満たしていただいた上で、はりま家が持つ優れた企画力や販売網が、当社の本業をさらに成長させてくれるという強い期待感を持てたことが最大の決め手です。
当社に欠けていた「企画力」が加わることが非常に大きいと感じています。これまで新しい商品を作ろうとしても、社内のリソースだけでは実現が難しいことが多々ありました。しかし、はりま家の企画力と合わさることで、その垣根が取り払われる可能性があります。また、はりま家の販売ルートを通じて、香川や四国以外の地域にも商品が広がっていく展開も期待しています。
M&Aという大きな変化に対し、長年苦楽を共にしてきた社員の皆様はどのような反応を示されたのでしょうか。
正式に成約した後に伝えました。はりま家の方で個人面談をしていただいた際、多くの社員が自分たちの処遇よりも「会社が残るのか」を心配してくれていたと聞き、会社への深い愛情を感じて胸が熱くなりました。
はりま家の千頭社長が方針発表会で「今までは一般道を走っていたが、これからは高速道路に乗る。厳しいかもしれないが、みんなついてきてほしい」と力強く語ってくださり、社員たちも「頑張れば業績が上がる」と前向きに捉えてくれています。
多様な働き方を尊重する組織風土。職人の技術を継承しつつ、新たな挑戦へ向かう現場のリアル
貴社は女性社員の管理職登用など、柔軟な組織風土をお持ちです。新体制下において、こうした文化や人材育成はどのように引き継がれていくのでしょうか。
具体的な制度設計はこれからですが、はりま家の評価制度が導入されるかもしれません。これまでは私の個人面談で判断していた部分が多かったため、より客観的な制度に変わっていく可能性があります。ただ、産休を取得する社員への対応など、多様な働き方を尊重し、社員を大切にする当社の文化はぜひ続けてほしいと願っています。
現在、マネージャー以上の役職者の半数近くが女性です。直営店舗や包装を行う商品部は女性が多いため、必然的に女性の管理職が増えていきました。こうした現場の声を活かしやすい風土は、今後の新しい商品開発や店舗運営においても強みになると信じています。
150年守り続けてきた職人の技術や品質管理体制を、今後どのように維持し、あるいは進化させていくお考えですか。
これまで手焼きにこだわってきたというよりは、適した機械がなかったという側面が大きいです。特に夏場の作業場の暑さ対策は急務であり、品質を維持できるのであれば、機械化できる部分は進めていきたいと考えています。これも「変わり続ける」ための重要なステップであり、社員がより働きやすい環境を作るための挑戦でもあります。
「会社と社員を守り抜く」。ストライクとの二人三脚で実現したM&Aと、全国の経営者へ贈るエール
M&Aという大きな決断を経て、現在どのようなメリットを実感されていますか。また、今後の商品展開について描いているビジョンをお聞かせください。
やはり、会社と社員の未来をしっかりと確保できたことへの安心感が一番大きいです。そして、自社単独では描けなかった成長戦略を、強力なパートナーと共に推進できる体制が整ったことは計り知れないメリットだと感じています。
すでにはりま家の直営店舗で当社の商品を扱っていただいており、新商品の提案も受けています。今後は、当社で製造できない商品を仕入れ、くつわ堂のパッケージで販売するOEMのような展開も増えていくのではないかと見込んでいます。
今回、ストライクをパートナーとして選んでいただいた理由と、実際のサポートに対する率直なご感想をお聞かせください。
M&Aの案内は多く届きますが、ストライクを選んだ最大の理由は、地元である高松に事務所があり、直接お会いして密なコミュニケーションが取れる点でした。やはり、会社の命運を左右する重要な決断ですから、顔を合わせて信頼関係を築ける距離感は非常に重要でした。
ディール期間中で最も苦労したのは、社員に一切知られないよう極秘裏に準備を進めなければならなかったことです。当社のような歴史の長い企業特有の膨大な紙の資料を揃える必要があり、日常業務の裏でその整理を行うのは本当に骨の折れる作業でした。
そんな時、ストライクの担当者の方には本当に助けられました。社員が出社する前の早朝に会社を訪れ、一緒に資料の整理や確認作業をサポートしてくださるなど、親身になって対応していただいたおかげで無事に成約できました。心から感謝しています。
最後に、ご自身の経験を踏まえ、事業承継に悩む全国の経営者の方へメッセージをお願いいたします。
現在、後継者不足による倒産や廃業が非常に増えています。もし「会社を残したい」「社員を守りたい」という強い思いがあるのなら、M&Aは極めて有効な選択肢の一つです。まずは専門の会社に相談してみることが、事業承継の問題を解決する糸口になるはずです。決して一人で抱え込まず、一歩を踏み出してみてください。
M&Aアドバイザーより一言
株式会社ストライク 四国営業部 雑賀 憲太
宗家くつわ堂様が手がける瓦せんべいは、香川県民であれば誰もが一度は口にしたことのある銘菓です。
歴史を紡いでいく為にM&Aを決断され、弊社にお任せを頂いた際は身が引き締まる思いでした。
今回、はりま家様と一つのチームとなられたことで新商品の開発も進んでいると伺っております。
今後のご両社の益々のご発展を心より祈念申し上げます。
公開日:2026年8月4日
他のインタビューを読む
本サイトに掲載されていない事例も多数ございます。
是非お気軽にお問い合わせください。







M&Aアドバイザーより一言
株式会社ストライク 四国営業部 矢野 大地
宗家くつわ堂様は瓦せんべいを主力商品として100年以上の歴を紡いでこられ、手焼きにこだわる確かな品質と根強いファン層を持つ一方で、事業承継課題のある企業様でした。
私の娘も大好きな瓦せんべいを製造する地元香川県の老舗企業を残したい、次世代へ繋げたい思いで取り組みました。
はりま家様へご紹介させていただき、千頭社長よりすぐに瓦せんべいを全国区にしたいと言っていただいた時には胸が熱くなったのを覚えています。
明治から続く老舗『宗家くつわ堂』様の伝統と、四国のお土産文化を支える『はりま家』様の流通・企画力が融合した、地域経済にとっても意義のあるM&Aであったと考えております。
「四国の食と文化を次世代へ繋ぐ」という共通の意志のもと、さらなる飛躍を心より応援しております。