INTERVIEW

M&Aを活用して100億円企業を目指す
事業承継の受け皿となり北海道を代表する企業へ

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株式会社クロスティホールディングスの北原 慶光氏、花房 竜介氏

株式会社クロスティホールディングス
代表取締役 林 秀樹氏

札幌市東区にある株式会社クロスティホールディングスは、中核である株式会社エコテックを中心に、電気工事や給排水設備工事といったライフラインに関わる事業を手掛けている。2021年8月に株式会社アスペックコーポレーション(札幌市)を譲り受けるとともに、グループ8社を束ねるホールディングス体制に移行した。M&Aに至った経緯や心境、ホールディングスの未来像について、代表取締役の林秀樹氏にお話を伺った。

M&Aを通して様々な分野に事業を拡大。
ライバルとの差別化を図る

貴社の事業内容や設立経緯について教えてください。

1979年5月に東弘産業株式会社として設立し、長らく暖房設備や電気工事を中心に手掛けてきました。1999年、株式会社エコテックへの社名変更後は子会社の設立やM&Aを通じて事業を拡大し、2023年3月期にはグループ全体で売上高70億円規模まで成長しています。
21年9月には傘下の8社を束ねる株式会社クロスティホールディングスを立ち上げ、資材の調達から設計・施工、アフターメンテナンスを含めたサービスを一気通貫で請け負うことが出来る体制づくりを進めています。

人材採用にも積極的と伺いました。

2018年に竣工した社屋外観
2018年に竣工した社屋外観

グループ全体の従業員数は262人まで増えました。5年前と比べて100名以上増えています。18年に新築した本社屋も今ではかなり手狭です。
特別なことは行っていませんが、毎月本社で行っている会社説明会は基本的に若手主体で企画してもらっています。若い世代が生き生きと活躍している姿を見て入社してきてくれる社員が多い印象です。
高齢化が叫ばれて久しい建設業界にあって、社員の平均年齢は35歳、30代以下の従業員が全体の7割を占めている点は間違いなく弊社の強みです。

ホールディングス設立の経緯や狙いについてお聞かせください。

これまで弊社が得意としてきた領域は戸建て住宅向けの工事が中心でしたが、人口減少や若年層の新築離れを受け、非住宅分野にすそ野を広げていく必要性を感じていました。またグループ会社が増えるにつれて従業員数が急増する半面、関連会社間の連携が取れずに弊社の強みを活かしきれないと感じる機会も増えてきました。
ホールディングス化の狙いはグループ間の垣根をなくして設備工事にかかわる業務をトータルでサポートできる体制を構築すること、そのための人材を育成することに尽きます。これまでのように電気工事や給排水設備単体ではなく、建築工事一式を担うことが出来る。より付加価値の高いサービスを提供することでお客様の満足度を高めつつ、自社の施工能力や提案スキルを高めたい。そんな想いからホールディングス化を実施しました。

アスペックコーポレーションを譲り受けされた経緯や理由を教えてください。

電気工事や水回りの工事を請け負う際、クロスの貼り替えやちょっとしたリフォームの相談を受ける機会がありましたが、自社では対応できないので泣く泣く断っていました。アスペックコーポレーションはクロスや外壁といった内外装工事を得意とし、非常にたくさんの種類のクロスやデザイン性豊かな塗装技術を持っています。ストライクさんから提案を受けた時期は自社のホールディングス化を進めている時期とも重なっていたため、自社との相乗効果が見込まれるだろうとすぐにイメージが沸くとともにとてもワクワクしたことを覚えています。自社から車で5分とかからない距離感だったこともスムーズに検討できた要因です。結果的には約3か月で話がまとまりました。

譲受け企業は対等なビジネスパートナー
目指すは「三方善」

M&A後の組織融和に向けた取り組みや相乗効果についてお聞かせください。

林氏
M&Aによりグループの輪が拡がることで、業績だけでなく現場の社員にも相乗効果が表れている、と話す林氏

2010年に給排水設備工事を行う会社がグループ入りしました。初めてのM&Aということもあり戸惑うことが多く、社風の違う会社が一つになることの難しさを毎日のように痛感していました。
アスペックコーポレーションとのM&Aでは我々が考える「変えたいこと」と「変えないこと」に加え、先方からの「変えないでほしいこと」を尊重したうえで進めることにしました。会社のあり方を短い期間で変えるには限界があります。また外から見ているだけでは分からない会社の良いところや誇りもたくさんあります。初めてのM&Aの際に感じた課題を振り返りながら、ゆっくりと組織融和に努めているところです。

M&Aによる相乗効果も現れてきました。定期的に開催しているグループ会議ではアスペックコーポレーションの社員が積極的に発言し、負けてなるものかとエコテックの社員が発言する。これまで取引のなかった先を互いに紹介し合い、販路を広げていく。経営陣からの押し付けではなく現場からのアイデアでグループの輪が広がるのを見るたびに、M&Aによる相乗効果を実感しています。

M&Aの際のストライクのサポートはいかがでしたか。

2018年に竣工した社屋外観
日ごろからコミュニケーションを取りあえる関係性はクロージング後も変わっていない、と話す林氏(写真右は担当の石崎)

それまでイメージしていた仲介会社の方々はどちらかというとドライで淡々と推し進めるイメージを持っていました。ストライクさんは譲渡企業サイドの意向を汲みながらも、「こういった部分で御社にも喜んでいただけると思います」と弊社の考えも尊重してくれたり、耳の痛いことでも率直に伝えてくれるフランクさがありました。私からも気になることがあれば都度連絡させていただき、不安な点はすぐに解消することで3カ月というスピーディな成約につながったと感じています。
電気工事主体の弊社に内外装工事の会社を提案するという発想はなかなか湧きにくいと思いますが、日ごろからよくコミュニケーションを取り合える関係性を構築したからこそのマッチングだったと思います。この間柄はクロージングから1年半を経過した今も変わっていません。

ホールディングスとしてどのような未来を描いていますか。

「2028年にグループ全体で売上100億円を目指す」という目標を掲げています。道内の建設業界は人手不足が深刻で、外部環境は決して順風満帆とは言えません。我々のお取引先でも従業員の高齢化や後継者不在から廃業を選ぶ会社が増えています。
弊社のM&Aに対するスタンスは「支配」ではなく「パートナーシップ」です。お互いに足りないものを補い合い、知識と技術を共有して次世代につなげていく。将来的には従業員の子供たちが入社する会社にしたい、そう思いながら、我々と協業していただけるお相手とのM&Aを引き続き進めていきます。

本日はありがとうございました。

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