INTERVIEW

M&A戦略で成長を目指す飲食企業が
老舗パン工房を子会社化
シナジーを生み出す新業態に挑む

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株式会社WONDER CREW 代表取締役 渡邊 智紀 氏

株式会社WONDER CREW 代表取締役 渡邊 智紀 氏

「お客様、社員とその家族、取引先様の社員、地域住民を幸せにする」をミッションに、北海道の外食産業のリーディングカンパニーを目指す株式会社WONDER CREW。同社は2021年6月、札幌を中心にパン工房を展開するシロクマ北海食品株式会社の株式を100%取得して子会社化した。創業75年の老舗パン工房の譲り受けにどのような狙いがあったのか?
また今回のM&Aを機に、今後はどんな事業展開を目指すのか?
WONDER CREW代表取締役の渡邊智紀氏に伺った。

コロナ禍だからこそ打って出る
地域のリーディングカンパニーを目指し
新業態への進出に向けたM&Aに取り組む

WONDER CREWの事業内容を教えてください。

サンドイッチ&サムシングの「サムサンド」
お店ごとに内容が変わるサムシング(店舗ごとの何か)と、シロクマ北海食品のオーガニックパンを使用した豊富な種類のテイクアウトサンドイッチが楽しめる。

当社は主に飲食店の経営を行っています。北海道札幌市を中心に、イタリアンや和風の居酒屋、バルなど、直営店、FC店を含め約30店舗を運営しています。

創業は2010年8月で、従業員はアルバイトを含み約220名。メインである飲食店経営のほか、飲食店舗の業態開発や人材育成などのプロデュース・コンサルティング業務、チラシ・パンフレットなどのデザイン・製作、インテリアデザイン・内装設計、ホームページや広告宣伝物の企画制作なども行っています。

飲食店はやはりコロナ禍の影響を大きく受けているのでしょうか。

当社が運営する店舗に限らず、飲食店はこの2年以上どこも厳しく、まん延防止等重点措置等の影響で、お店を開けてもお客様は来店を自粛せざるを得ない状況が続いています。だからといって、ただお客様を待っているだけでは、状況は何も変わりません。こちらから打って出るビジネスが必要だと、私も社員も感じていました。

御社のM&A戦略を教えてください。

株式会社WONDER CREW 代表取締役 渡邊 智紀 氏
コロナ禍の影響は大きいが、「だからこそ、私も社員も打って出るビジネスが必要だと感じている」という。
「2020~2021年にM&Aで3社を譲り受けています。いずれも自社の成長戦略の一つであり、これまで当社にリソースがなかった新業態への進出をねらったものです。業績や資金繰りが厳しい中、M&Aに不安を感じる社員はいましたし、その不安も当然のことだと思いますが、ただお客様を待っているだけでは状況は何も変わりません。新規に投資をするからこそ事業は成長する。チャレンジしないと生き残れないことを私も社員も痛切に感じています」

M&Aを最初に実施したのは、新型コロナ感染症の影響が全国的に広まってきた頃です。これまで3社をM&Aで譲り受けていますが、いずれも自社の成長戦略の一つとして位置付け、取り組んできました。

当社には、札幌から北海道の外食産業・飲食業を元気にしたいという思いがあり、「北海道の外食産業のリーディングカンパニーになる」というビジョンがあります。そのビジョンの実現、また「お客様、社員とその家族、取引先様の社員、地域住民の4者を幸せにする」というミッションを果たすために、これまで当社にリソースがなかった新業態への進出に向けたM&Aを実施してきました。2020年から2021年にかけて2社のM&Aを行い、2021年6月の3社目が、シロクマ北海食品さんという老舗のパン工房です。

地域に愛されてきた老舗
原材料にこだわった確かなパン作りに加え
デザイン性の高いロゴなども魅力だった

今回のM&Aのきっかけを教えてください。

もともとストライク札幌営業部の小林尚希さんと長く懇意にさせていただいて、日頃の付き合いの中で、小林さんから提案をいただいたのがきっかけです。

シロクマ北海食品さんはデザインに気を遣っていて、ロゴなども斬新で可愛い。これまでの札幌のパン工房にはあまりない感性を持った会社だと思いました。創業70年を超える老舗の会社であるということにも価値と魅力を感じました。

「老舗の価値」とは?

同社は1947年に函館で創業し、1970年に札幌に拠点を移して以降、原材料にこだわったパン作りをしてこられた。当初は『シロクマパン』のブランドで親しまれ、スーパーや食料品店などに作ったパンを卸していました。1997年に直営店『シロクマベーカリー』を作ってからは、北海道産小麦100%にこだわってパンを製造しています。そうやって原材料にこだわり、地道に営業展開をされてきて今日がある、ということに価値があると考えています。実際、健康に暮らせる環境と持続可能な農業への寄与、それらを通した確かなパン作りという点で定評がある会社です。

M&Aの交渉において、お相手とどのようなお話をされましたか?

2021年2月に交渉を始めて4ヵ月後の6月にはM&Aの最終契約を締結しましたから、トントン拍子に話が進んだといえます。シロクマ北海食品の社長からは、事業を譲渡する意図だけでなく、パン作りや社員教育などで留意されてきたこと、将来に向けた取り組みの方向性など、いろいろなことを伺いました。同社は新型コロナ禍でも社員に賞与をしっかり出されていました。現場でパン作りを行うパートさんもベテランでしっかりされた方が多く、社員の方々も信頼できました。

シロクマ北海食品の社員の方の反応は?

社員の方々に私から今回の子会社化などをお伝えしたのは、最終契約の後です。伝える前は、「M&A後も社員の方々は本当についてきてくれるのか」といった不安もそれなりにありました。しかし、事前に社長さんが社員の方々にきちんと話してくださっていたので、安心しました。私も社員の方と個別に面談をしてコミュニケーションをとり、今回のM&Aについて納得していただきました。

社長さんが高齢だったこともあり、社員の方々には、社長が経営の第一線に出られないような状況になったとき、自分たちはどうなるか――といった思いもあったようです。また、同社の今後に対する社長さん自身の考え方や思いを社員の方々が十分に理解されていたようです。だからこそ、「事業を引き継いでくださって、ありがとうございます」という声を多くいただくことができました。

チャレンジしないと生き残れない
両社の強みを生かした新業態として
新たなブランド「サムサンド」を立ち上げる

M&A後のシナジーについて教えてください。

渡邊智紀氏とストライク小林
今回のM&Aは、「新業態への進出に向けたM&Aにより会社を成長させていきたい」という渡邊社長の考えをお聞きしていたストライク担当者が「日常食のパン工房という業態は新鮮であり、ご興味があるかもしれない」と考え、ご提案したことが実を結ぶ形となった。
「もともとストライク札幌営業部の小林さんと長く懇意にさせていただいて、日頃の付き合いの中で提案をいただいたことが、今回のM&Aのきっかけになりました」
(写真左はストライク担当の小林)

シナジー効果という点では、今回のM&Aに一番期待しています。当社としても、これまでとは異なるまったく新しい業態への進出、チャレンジになるからです。

シロクマ北海食品には、いわゆる看板商品がないといった課題もあり、2021年6月に子会社化して以降、『シロクマベーカリー』というブランドと商品、そのパッケージや店舗デザインなどを含めて、今後どのように新たに事業展開していくか細部を詰めています。

その中で、2021年11月にカフェスペースを併設したサンドイッチ店「サムサンド(SOMESAND)南3条店」を札幌市中央区南3条にオープンしました。シロクマ北海食品さんのオーガニックパンを使用し、各種の野菜やボリュームのある果物などをサンドしています。

新型コロナ禍で、これまでの居酒屋とは異なる、また飲食店のテイクアウトでもない新業態店を作りたいという思いが強くなり、オープンした店舗です。店舗の内装は、店舗や商品のコンセプトをより明確に打ち出せるように、当社で詳細に作っていきました。

店名の「サムサンド」とは「サムシング(店舗ごとの何か)」と「サンドイッチ」を組み合わせた言葉です。1号店である南3条店では「サムシング」として、すべての具材を小さくカットしたチョップドサラダを販売することにしました。2号店、3号店は立地条件を見ながら、店舗ごとに構成していく考えです。コロナ禍の影響等もあり、出店計画は順調に進んでいるとはいえませんが、「サムサンド」の市場をじっくり育てていきたいと考えています。

今回のM&Aについて、
WONDER CREWの社員の方々の反応は?

居酒屋以外の業態へのチャレンジであるという点で、良い評価をもらっています。業績や資金繰りが厳しい中、M&Aに不安を感じる社員はいましたし、その不安も当然のことだと思います。一方で、新規に投資をするからこそ、事業は成長する。今はお店を開いてもお客様になかなか来ていただけない状況ですから、こちらから打って出るビジネスにチャレンジしていかないと生き残れません。私も当社の社員もそのことを痛切に感じており、チャレンジの重要性をよく理解しています。

今後の事業展開について教えてください。

シロクマ北海食品は、これまでは製造したパンを卸すBtoBがメインの会社でした。一方、当社はBtoCの分野での商品・業態開発を得意としているので、その方向にシフトしていくことを考えています。「サムサンド」はその一環であり、今後は、『シロクマベーカリー』というブランドを生かしたポップアップショップ(短期間のみ出店する期間限定の店舗)、サブブランドでの各種専門店の展開なども考えています。

北海道産小麦100%のシロクマ北海食品のパンは、北海道だけではなく世界で挑戦できるブランドです。しっかりと訴求できるブランド、看板商品を作り上げ、海外への出店にも今後、取り組んでいきます。

本日はありがとうございました。

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