ご成約インタビュー No.167
INTERVIEW
美容業界の未来を変える。
試行錯誤の末、たどり着いた、M&Aとの出会い
| 譲渡企業様 | 譲受企業様 | |
|---|---|---|
| 企業名 | ビューティードア株式会社 | 株式会社BISCO |
| 所在地 | 大阪府富田林市 | 大阪府大阪市 |
| 事業内容 | 化粧品及び医薬部外品の製造、販売及び輸出入等 | 美容室の経営、美容商材の企画・製造・販売等 |
| M&Aの目的 | 推進力のある企業と一緒になり、売上利益を安定させること | 製造の自社化による品質向上・供給安定化。自社製造により利益を生み出し、現場スタッフの給与や福利厚生、教育への投資に使うため。 |
| 今後のテーマ | BISCOグループとして、より品質の高い製品を供給すること | 自社工場を活かし、本質的なものだけを精査して提供すること。美容師が誇りを持てる職業になるための、美容業界の構造改革。 |
株式会社BISCO
ご成約インタビュー動画
この記事のハイライト
課題:美容業界の改革に挑むBISCOは、美容師の現場視点からの商品づくりを行ってきたが、外部メーカーへの委託では自社の要望が常に最優先されず、スピード感に課題があった。自社製造体制が求められたが、ゼロから工場や製造文化を立ち上げるには数年単位の時間がかかることが課題であった。
決断:顧問会計士からの紹介でビューティードア株式会社の工場を知り、実質4〜5カ月という短期間で同社をグループに迎え入れた。この決断の最大の決め手は、相手企業のトップと「従業員一人ひとりの個性や生活を真剣に考える(人を大切にする)」という思想が一致したことであった。
成果:自社製造によるコスト面でのメリット(利益)を生み出す構造ができた。その利益を活用し、工場のパートスタッフの時給を約100円引き上げ、正社員の待遇も刷新した。また、自ら価格設定ができるようになったことで、現場への投資や美容業界の価値向上に向けた循環を生み出している。
大阪を拠点に、美容業界の改革に挑む株式会社BISCO(大阪府大阪市阿倍野区)。代表取締役の川畑賢太氏は、現場の美容師が直面する課題解決をきっかけとして、ヘアケアブランド「髪にドラマを。」を展開。髪質改善をテーマとして、業界内で確固たるポジションを築き上げています。今回、同社は化粧品OEMメーカーであるビューティードア株式会社(大阪府富田林市)をグループに迎え入れ、自社工場を保有するに至りました。業界の未来とM&Aがどう交わるのか?なぜM&Aだったのか?川畑氏の考えに迫ります。
「想い」を形に。理想を一日も早く形にするために。
今回のM&Aにおいて、製造工場をグループに迎え入れた最大の理由は何ですか?
株式会社BISCOは、美容師という現場の視点から、美容業界全体をハッピーにするための挑戦を続けてきました。今回、化粧品OEMメーカーであるビューティードア株式会社をグループに迎え入れたのは、単なる事業拡大や思い付きではありません。自社製造をすることによる様々なメリットにより、自分が思い描いた理想、笑顔が溢れる美容業界に近付くことが出来ると考えたからです。
一言で申し上げれば今回のM&Aは、「時間を買った」ことが非常に大きなポイントです。ゼロから工場を立ち上げ、製造の文化や熟練した技術を築こうとすれば、間違いなく数年単位の歳月がかかります。本来なら長い時間をかけて積み上げるべきその土台を、引き継がせていただくことで、理想の体制への立ち上げを一気に加速させました。
これまでは外部のメーカー様にお力添えをいただいてきましたが、委託という形では、どうしても自分たちの要望が常に最優先されるわけではありません。自社工場を持つことで、外部の事情に左右されず、自分たちの責任で納得のいく品質の商品をいち早く現場へ届けることができる。この「小回りの利くスピード感」こそが、今の現場を支えるために必要だと確信しています。
自社で製造ラインを持つことのメリットと、逆に大変なところはどこでしょうか?
自社製造はコスト面におけるメリットは非常に大きく、そこで生まれた利益を現場のスタッフの給与や福利厚生、教育への投資に使うことで企業として良い循環が出来ています。一方、メリットだけではなく、機械のメンテナンスなど、想像以上にコストがかかることもありますし、何より「人」を扱うわけですから、その大変さは当然あります。
それでも、自社製造の良さはやはり「自分たちのコントロールでものづくりができること」だと思います。トラブルがあった場合でも、自分たちですぐに解決に動けます。そして、そこで得た経験を現場のものづくりに反映させることでより良い商品開発に役立てることが出来ます。
そして、工場で働く社員が作ることに対してプライドを持って取り組み、商品に気持ちを乗せてくれる。そこが、自社製造の一番の強みだと考えています。
「自社工場」という武器を得てどのような変化がありましたか?
一番の変化は、コントロールできる領域が大きく広がり、業界や顧客のための意思決定をより踏み込んで行えるようになったことです。自社で研究・製造を一貫して行う今は、顧客へ提供したい価格を自ら設定ができ、どこで利益が生まれ、それをどこに投資すべきかが明確に見えるようになりました。
M&Aをして初めに、迷わず現場社員へ投資する決断ができました。実際に工場のパートスタッフの時給を約100円引き上げ、正社員の待遇も刷新したのは、単なるコスト計算ではなく「モノ作りができるこの人たちと一緒に業界を変えたい」という私の覚悟です。指針としている近江商人の「三方よし」を、自分の責任で実行できるようになったこと。これこそが自社工場を持つことによって得られた、経営者としての最大の喜びと新たな価値観ですね。
決め手は「人を大切にする」思想の合致
交渉の経緯と、最終的な成約の決め手となったポイントを教えてください。
これまで、製造工場のお話は何件か頂き、実際に具体の話を進めたこともありましたが、買収の決断には至りませんでした。ある時、顧問会計士さんから「ぴったりの案件がある」との話があり、概要を聞くなり、すぐに工場を見たい気持ちに駆られたことを覚えています。実質4〜5ヶ月というスピードで決断できたのは、相手企業のトップと「人を大切にする」という思想が一致していたからです。ビューティードアの前社長は、従業員一人ひとりの個性や生活を本当に真剣に考えておられました。その姿を見て「この方たちが守ってきた現場なら間違いない。私たちが引き継いでさらに良くしたい」と直感しました。また、金融知識のない私に対し、顧問会計士さんの強力なバックアップや、ストライクのアドバイザーが次々と的確なアクションを示してくれたおかげで、迷わずに進めることができたと考えています。振り返れば、案件の端緒はストライクがBISCOの買収ニーズやその意図を確りと汲み取り、広くアンテナを張ってくれていたから、このような出会いがあったのだと感謝しています。
「業界を変える」
今後の美容業界に対する展望をお聞かせください。
現在、当社では約20種類の商材を取り扱っており、代表的な製品である「つるりんちょ。」は全国約3,000店舗で導入されています。しかし、これは私たちが目指す景色の入り口に過ぎません。
私たちの展望は、この自社工場という強力な武器を活かし、美容師の地位が今よりもっと良くなり「誇れる職業」になる未来を創ることです。そのため、売上のためだけに製品数を増やすようなことはしません。「本当に現場のためになるか」を経営陣やスタッフで議論し、本質的なものだけを精査して提供し続けます。
自社製造によって「現場の悩み」を即座に「製品開発」へ展開できるようになった今、私たちは単なるメーカーではなく、美容業界の構造そのものを良くしていく伴走者でありたい。日本中の美容室が活気に溢れ、そこで働くスタッフが自分の仕事に一生の夢を持てる。そんな新しいスタンダードを、当社グループから発信していくつもりです。
これからM&Aを検討される方へ、メッセージをお願いします。
何よりもまず、自身の「目的」を明確にすることです。自分都合の短期的な動機では、本当の意味で事業を成長させ、継続させることは難しいでしょう。
大切なのは、そのM&Aを通じて「業界をどう変えたいのか」、そして「働くスタッフやお客様をどう幸せにするのか」という、利他の視点に立った強い意志です。
私にとってM&Aは、単なる企業の買収ではありませんでした。美容師がもっと楽しく、もっと誇りを持てる「夢のある職業」にするという私の理想を、一日も早く具現化するために必要な「時間を買う」という決断だったのです。
M&Aは明確な目標への達成を加速させる強力な武器になります。今回のM&Aは、私たちが目指す未来へ向けた一つの通過点に過ぎません。これからも、美容に関わるすべての人が輝ける未来を創るために、私たちは挑戦し続けていきます。
公開日:2026年8月19日
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M&Aアドバイザーより一言
株式会社ストライク 法人戦略部 前川 泰毅
本案件はBISCO様、顧問会計士の古橋様、ストライクの三人四脚の関係性となれた点が非常に良かったと感じております。
振り返れば様々な成否のポイントがありましたが、それぞれが自分の役割から忖度無しの意見を出し、打ち合わせた結果、スピーディーな意思決定に繋がったと考えています。
BISCO様は引き続きM&Aを活用して美容業界を変える強い考えを持っています。
私もその考えの実現に貢献出来るよう尽力して参ります。