INTERVIEW

顧問税理士からの助言を受けて、選択肢になかった第三者への承継を検討

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創業者と奥様とストライク岡田

京都府内の人材派遣会社 創業者

京都を中心に、関西圏で看護師・薬剤師など医療福祉専門職の派遣業務を行なうA社。
地場の有力病院・介護施設(社寺仏閣・大学関連)などの優良先を取引先として有するなど、安定した企業成長を果たしてきた。2017年に上場企業へ同社を承継された創業者に、M&Aを決断された経緯や感じられたこと等を伺った。

親族内承継も社内承継も困難に…
顧問税理士からの助言を受けて、選択肢になかった第三者への承継を検討

ご創業の経緯について教えてください。

当社は2005年4月、京都市の創業支援による全面的なバックアップのもと、医療・福祉系人材の派遣・紹介予定派遣・職業紹介を支援する個人事業として、京都リサーチパーク内にて創業しました。私の妻と娘は看護師で、創業当時は今ほど看護師や医療従事者の待遇がよくない時代でした。何とか医療従事者の社会的立場を向上させ、例えば結婚や出産、育児といったさまざまなライフスタイルに合わせた働き方をしてもらいたい―― そんな思いから、「人をたいせつに」という企業理念のもと、京都を中心に地元密着で、医療従事者にとって働きやすい職場の創造に取り組んでまいりました。派遣スタッフとは最初に1時間半の面談を行って、心を開いて本音を聞かせてもらえるようにしています。

会社の譲渡を検討されたきっかけは?

元々、いつまで働くか漠然としていましたが、創業10年を迎える頃、中学時代からの友人が「自分は60歳で定年退職して引退する」と話していたんですね。そのとき私は54歳で、その友人の言葉で自分がいつまで働くか考えるきっかけになりました。

会社を続けるためには、後継者を決めて育てなければなりません。最初は、看護師の娘を会社に入れて継がせようかと考えていたのですが、ちょうど娘が結婚して家庭に入ることとなり、断念せざるを得ませんでした。それならば社内の幹部から、とも考えたのですが、幹部の社員は「社長というポジションは大きなプレッシャーがあり難しい」ということになりました。これはマズイ、後継者と見込んでいた2人が候補でなくなってしまった……。解決の糸口が見つからず、ぼんやりとした不安を抱えていたところ、顧問税理士の先生からストライクさんを紹介され、第三者への承継について相談することにしました。

M&Aについてはどんな印象がありましたか?

後継者問題を解決するのにM&Aという手法があることは知っていました。ただ、その選択肢は自分の中にありませんでした。一つは、自分の身近に、そういうことを言ってきてくれる人がいなかった。もう一つは、京都における独特の感覚だと思うのですが、決算書や通帳といった自社のお金の部分を他社にさらけ出すというのは、絶対に嫌なのです。取引銀行に対しても嫌なのですから、第三者に対して開示するなんて京都では考えられません。ストライクさんや担当の岡田さんのことは信用しているけれど、その向こう側にいる人たちは信用できませんでした。

ただ、岡田さんは一つ一つ「これは先方に開示していいですか?」と確認してくれましたし、「開示できない場合はここまでにしておきましょう」とアドバイスをくれたりしました。ぼんやりした中から、だんだんフォーカスを合わせていく手法で、私としては安心して任せられました。

事業承継は一番社長らしい仕事
社員や派遣スタッフにとっては新たなギアチェンジ&スタートになる

お相手の決め手は何だったのでしょうか?

創業者と奥様とストライク岡田
「財務状況を開示するのは抵抗がありましたが、岡田さんが一つ一つ確認しながら進めてくれたので、安心感がありました」と話す創業者と奥様(写真左はストライク担当の岡田)。

当社を譲り受けていただいた会社は、医師を中心とした人材紹介を行なうM社という上場会社です。先方との面談で感じたのは、「一緒に事業をやりましょう!」というニュアンスがあり、対応も非常に紳士的だということでした。また、先方の経営の根幹には「医師がもっと働きやすいように」という考えがあって、根底にある経営についてのベクトルが当社と一致したことも大きかったですね。

ビジネスにおいても、双方の持っていない部分を補完し合うような関係でした。当社は京都を中心とした関西が営業エリア、看護師が主体で、派遣業が中心です。一方、先方は関東が拠点、医師が主体で、紹介業務が中心です。

当社からすると、医師という新たなラインナップが加わるというのは、営業面で大きなプラスになりましたし、上場会社のグループに入ったことで信用力がグッと上がりました。そういう意味では、非の打ち所のないM&Aではないかと思っています。

事業承継型M&Aについて感じられたことを教えてください。

京都の経営者は、後継者不在に悩んでいても、私が取り組んだようなM&Aはなかなか決断できないのではないでしょうか。たとえどれだけお金を積まれても、信頼関係がなかったら、財務状況を開示できないと思います。こればかりは、顧問税理士の方だとか、周囲の信用できる人から声をかけてもらえたらと思っています。

どんな会社でも創業のときから始まって、10年を超えると、いろいろなことが起きてくるわけです。経営者というのは、それらを全部乗り越えてきた。その乗り越えてやってきたことが、自分がいなくなった後も継続されるのは、とても嬉しいことです。派遣スタッフも変わらずに働けますし、得意先との関係性も継続できる。社員の雇用も守られる。自分が60歳になったらどうするか、といった不安とは関係なく、いろいろなことを乗り越えてきた会社が続いていくことに感謝できます。

 

同じような立場の経営者に対して一言お願いします。

私は、自分が創業からここまでやってきた中で、今回の提携、事業承継が一番社長らしい仕事だと思っています。社員達も、M社という素晴らしい上場企業と一緒になってよかったと言っています。社内の雰囲気も変わりました。閉塞感に穴が開いて、新しい風が入った感じです。

M&Aは、経営者として一つの区切りではありますが、社員や得意先や派遣スタッフにとっては、ギアチェンジをしての新たなスタートになるのだと思います。

本日はありがとうございました。

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