INTERVIEW

佐賀発「ブラックモンブラン」
竹下製菓が描くM&A 地域と未来への挑戦

竹下製菓株式会社 代表取締役社長 竹下 真由氏、ストライク丸岡

竹下製菓株式会社 代表取締役社長 竹下 真由氏

九州で長年愛されているロングセラー商品「ブラックモンブラン」をはじめ、数々のアイスを生み出してきた竹下製菓株式会社(佐賀県小城市)。その舵取りを担う5代目代表取締役社長・竹下真由氏は、伝統を守りながらも、有限会社堀江製パン(佐賀県佐賀市)をグループに迎え入れるなど、M&Aを通じて新たな挑戦を続けている。地域への熱い想いを胸に、竹下氏が描く未来とは。M&A戦略、地域活性化、そして次世代への想いを語っていただきました。

竹下製菓株式会社
ご成約インタビュー動画

創業から130年を超える老舗企業。
竹下製菓の事業概要と看板商品

竹下製菓のブラックモンブラン
竹下製菓のブラックモンブラン

竹下製菓では、アイスクリームやお菓子の製造販売を中心に行っています。看板商品は、アイスクリームの「ブラックモンブラン」です。九州を中心に皆様に愛していただいている商品で、バニラアイスにチョコレートをかけ、クッキークランチで外側をまぶした、今では珍しくない商品ですが、おかげさまで発売から56年を迎えました。本当にロングヒット商品になったと思います。

ブラックモンブランはどのようにして生まれたのでしょうか?

ブラックモンブラン
ブラックモンブラン

バニラアイスをチョコで包み、クッキークランチをまぶしたブラックモンブランは、発売開始の1969年当時、アイスキャンディーといえば着色した砂糖水を凍らせた商品が多い中、高級感あふれる商品として発売直後から大ヒットしました。
ブラックモンブランを世に生んだのは、3代目社長の竹下小太郎氏です。ヨーロッパを視察した際、欧州最高峰のモンブランを見た小太郎氏は「あの真っ白い雪山に、チョコレートをかけて食べたらさぞおいしいだろう」と思ったそうです。佐賀に帰り、すぐに商品開発に取りかかり、当時は珍しいクランチをまぶして売り出しました。

そのおじい様のアイデアから始まったブラックモンブランですが、売り上げは伸び続けているのでしょうか?

販売エリアが九州から徐々に東の方にも広がっているので、少しずつですが伸びています。九州では知らない人はいないと言っていただけると嬉しいですね。

ブラックモンブラン以外にも、様々な商品を展開されていますよね。

2番手は「ミルクック」というミルクセーキをイメージしたアイスで、発売から47年。3番手は「トラキチ君」というバニラアイスにチョコレートでトラの模様をつけたアイスで、こちらも発売から39年経っています。長い間お客様に愛していただいている商品が、竹下製菓を支えていると思います。

ロングセラー商品を数多く生み出されていますが、商品の多角化にも取り組んでいらっしゃる?

佐賀県鹿島市で創業した頃の竹下製菓
佐賀県鹿島市で創業した頃の竹下製菓

竹下製菓は元々お菓子の会社で、菓子作りをして130年ほどになります。昔は今のように冷暖房が完備されていなかったので、夏場はお菓子が売れなくなる状態がありました。その対策として「夏を何とかしないと、社員の生活を支えられない」と考え、アイスキャンディー作りを始めたのが約60年前です。その時に作った第一号商品が「小豆のアイスキャンディー」でした。元々お菓子作りをしてきたので、餡を炊く技術があり、美味しい小豆を冷やし固めてアイスクリームにするのは自然な流れでした。竹下製菓は、生き残るために、お客様に求められる美味しい商品と、自社の技術、そして外部から学んで取り入れた技術を組み合わせて商品作りをしてきました。時代に合わせた商品構成にしていく必要があるので、常に検討し、進めています。

M&Aもその一環なのでしょうか?

そうですね。M&Aは、後継者不足の企業さんとのご縁から始まりました。中小企業だからこそ、お互いに技術を持ち寄り、知恵を出し合って良いものを作り上げることができると考えています。内部だけで積み上げてきたものと、外部から新しい技術を導入するという2つの形があり、M&Aは企業同士のパートナーシップだと思っています。お互いに高め合える企業さんであれば、一緒にやっていきたいですね。

地元企業との連携で地域経済を活性化。
有限会社堀江製パン(佐賀県佐賀市)譲受の背景

今回、堀江製パンの譲り受けを決断された背景について教えてください。

地元企業だったことが大きいですね。給食ビジネスは、子供の数が減っていく中で難しいと思います。しかし、私も小学生の子供がいますが、毎日学校で美味しいご飯が食べられるのは、地域を支えてくださっている食材を提供していただいている皆様のおかげです。ビジネスとしては厳しいかもしれませんが、頑張っている企業さんと一緒に地域経済を支える取り組みができたらと思いました。

地元に根ざした企業であることは、重要なポイントなのでしょうか?

そうですね。地元に対する思い入れは強く、簡単に故郷を見捨てることはできないです。業績が悪くなったからといってすぐに諦めて売り払うのではなく、地域の子供たちのために、地域の未来のために、最後まで頑張れる気持ちがあるのは、地元にいる私たちだからこそだと思います。竹下製菓が一緒にやらせていただくことは意味があると思いました。

堀江製パンの第一印象はいかがでしたか?

堀江製パンの名前は知っていましたし、配送車をよく見かけていました。いつも「今日もどこかの小学校に届けられているんだろうな」と思いながら見ていました。一緒にやってみて、地域経済を支え、子供たちの食生活を支えてくださっている会社として誇りを持ってお仕事に取り組まれていると感じています。一方で、社員の方々のことを考えると、給食以外の柱も育てていかなければいけないと考えています。グループ全体で取り組めることを一緒に考え、柱を作っていきたいですね。

給食ビジネスだけでなく、次の柱が必要だと感じていらっしゃるのですね。

佐賀県小城市にある竹下製菓の自社工場
佐賀県小城市にある竹下製菓の自社工場

そうですね。グループ会社で、元々給食をやっていた会社がありますが、夏休みの期間の仕事がないため、その期間に売れるものを考え、商品開発に力を入れています。そういった事例を参考にしながら、その時々に求められる商品を作ることに注力したいです。

企業風土を重視し、地域への貢献を目指す。
竹下製菓のM&A戦略

竹下さんがM&Aを進めていく上で、重視しているポイントはありますか?

企業風土ですね。一緒になった時に、環境があまりにも違うと社員さんが大変だと思います。前オーナーの方とお話させていただいた時に、方向性に大きなずれがないかなどを確認し、企業風土を推し量るようにしています。

佐賀県全体の貢献という点では、どのように考えていらっしゃいますか?

働きたくなる職場として、佐賀の人たちにとって魅力ある職場作りをしていきたいです。そして、ブラックモンブランが佐賀発の商品であることを全国に発信することで、佐賀の人たちに誇りを感じていただけたら嬉しいです。佐賀には良い食材がたくさんあるので、それらと組み合わせて、アイスクリームやお菓子を作り、地域の農産物の売り上げにも貢献したいです。様々な形で、地域と一緒に楽しんでいくことが貢献につながると思います。

佐賀全体のこと、地域貢献を考えていらっしゃるのですね。

佐賀県小城市
佐賀県小城市

佐賀が大好きなんです。何もないと言われることもありますが、住めば最高です。佐賀の人口が減っていくのは寂しいですが、佐賀に自信を持って、「佐賀に来ればこういうことができる、こういうものがある、食べられる、働ける」と言えるようにしたいです。本当に些細なことかもしれませんが、一企業としてできることをしたいと思っています。

今後、企業として、M&A戦略として、どのような構想をお持ちですか?

地域に良い企業、特に食に関わる中小零細企業がたくさんありますが、全てをお受けできるわけではありません。しかし、良いものが失われていく前に、一緒になって盛り立てていければ、多くの人に喜んでもらえるはずですし、美味しいものが消えずに済むことは価値があると思っています。都市部だけでなく、周辺部から手を組んで盛り上げていくことをしたいですね。

M&Aで大事にしていることはありますか?

企業の良さは絶対に消したくないですし、そこで働いてくださった方の誇りを傷つけるようなことももちろんしたくはないです。一方で、共通化するなど、同じ仕組みでやった方が、効率のいい部分も出てくると思うので、そこを整理し、グループ全体として組織作りをしていかなければいけないと考えています。

今後もM&Aを検討されていますか?

竹下製菓株式会社 代表取締役社長 竹下 真由氏
竹下製菓株式会社 代表取締役社長 竹下 真由氏

具体的な領域や企業は決まっていませんが、ご縁があれば、一緒に楽しい商品を作れそうな企業さんと一緒にやりたいですね。地域は問いません。

竹下さんにとって、M&Aとはどのような存在ですか?

竹下製菓株式会社 代表取締役社長 竹下 真由氏
竹下製菓株式会社 代表取締役社長 竹下 真由氏

自社が生き残るために、様々なことを考えていく戦略の一つですね。技術は自社で習得したり育てたりする必要がありますが、立ち上がっているところと一緒にやるのは分かりやすいです。

M&Aを検討している経営者へのアドバイスと、未来への展望

今後M&Aを検討されている経営者の方に向けて、アドバイスはありますか?

グリルタケシタ店舗前
グリルタケシタ店舗前

M&Aを検討する側の企業として、オプションの一つとして早めに動かれた方が良いと思います。ギリギリになってからでは、引き継ぎ期間や高齢のオーナーの方への対応が難しくなります。経営者にとって、次世代をどうするかは常に考えていく必要があります。M&Aも、社内や外部から経営者を招いて次世代にバトンタッチしないのであれば、同時並行で考えるべき選択肢のひとつになります。何事も早めに動いた方が、双方にとってより良い結果になるのではないでしょうか。

会社を経営する上で、大切にしていることはありますか?

人を幸せにする会社でありたいです。商品を買ってくださるお客様、働いてくださる社員、取引先、全ての人を幸せにしたいです。社員が自分の子供を入れたいと思える会社、子供たちが親を見て憧れる会社を目標としています。次の世代のためにそういう会社作りを目指しています。

今後の展望についてお聞かせください。

竹下製菓株式会社 代表取締役社長 竹下 真由氏
「次の世代へ繋げていきたい」と語る竹下真由氏

先祖代々の経営者が繋いできたものを絶やさずに、会社を大きくし、さらに次の世代へ繋げていきたいです。

本日はありがとうございました。

M&Aアドバイザーより一言(丸岡 信哉・法人戦略部 アドバイザー談)

ストライク丸岡信哉

少子化や学校給食の調達方法の変化により、給食事業からの撤退や廃業を余儀なくされる事業者は増加傾向にあります。
そのような状況の中、堀江製パン様は佐賀市内の小学校を中心に、おいしい給食パンを届け続け、厚い信頼を築かれてきた企業です。
今後の事業継続を見据え、竹下製菓様とのご提携により、多様な商品展開力と販売チャネルを組み合わせることで、給食パンのみならず幅広い業態への展開が一層加速していくと考えております。
給食事業者は、規模が縮小したとしても地域にとって欠かすことのできない存在です。そうした企業様に対し、一つの選択肢としてM&Aをご提案できたことは、非常に意義深いことと感じております。
本件のご提携が、堀江製パン様と竹下製菓様双方のさらなる発展につながり、ひいては地域の皆さまに長く愛される事業基盤となることを心より願っております。

2026年1月公開

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