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M&Aインタビュー No.07

相模屋食料株式会社
代表取締役社長 鳥越 淳司 氏

「従来、できものと豆腐屋は大きくなると潰れると言われていました」と話すのは、相模屋食料株式会社(群馬県前橋市)を豆腐業界のトップ企業に成長させた代表取締役社長・鳥越淳司氏だ。大胆な設備投資を行なう一方で、2012年5月には株式会社デイリートップ東日本を買収。社長就任からわずか6年余りで売上高は4 倍、年商は140億円を超えるまでに急成長を遂げている。今回は鳥越社長に豆腐業界の現状やM&Aについて、ストライク代表取締役の荒井が伺った。

おいしさの追求と生産技術の革新を両立させ業績の天井を突破し、成長を遂げる

豆腐業界の現状について教えてください。

おとうふを作る事業所数は大きく減少しています。町には70 ~ 80歳代になっても元気に頑張っているおとうふ屋さんがいますが、業界全体でみると事業承継の時期に差し掛かっており、廃業するケースも多いようです。豆腐業界の市場規模は微減で済んでおりますが、このまま廃業する事業者の増加が増えると市場規模の減少は避けられません。

ただ、弊社が豆腐業界最大手だといっても、国内シェアの2%強しかありません。他の業種、例えば自動車業界であればトヨタ、ニッサン、ホンダのトップ3 が市場の大部分を押さえていますよね。それに比べると、豆腐業界は産業の集約化が進んでいません。

おとうふは日持ちがせず、大量生産・大量配送にそぐわないため業績の天井があったのですが、弊社はおいしさの追求と生産技術の革新を実現させることで、その天井を突破し、成長しているところです。

デイリートップ東日本を買収した経緯は?

デイリートップ東日本は、神奈川県川崎市を拠点とする豆腐メーカーです。1996年にダイエーさんの物流センター内に作られた子会社で、2006年に協同乳業さんと丸紅さんが引き継がれたものの、業績は苦戦されたようで、2012年に弊社の100%子会社となりました。

弊社の工場がある群馬県は交通の要衝で、関東甲信越、東北など各地域への主要道路が整っています。ただ、その日のうちにお届けしなければならないため、渋滞が多い首都圏を通ることは物流上のネックであり、特に神奈川や静岡は近くて遠いエリアでした。そこで生産拠点を神奈川に持ちたいという思いがあり、今回のお話につながりました。ちょうどその少し前にストライクの荒井社長と出会い、M&Aの専門家としてさまざまなアドバイスをいただきました。

買収後のデイリートップ東日本は?

東京都千代田区にある同社の東京オフィスにて、ストライク代表取締役の荒井(写真右)がお話を伺った

立ち上がりはとても順調です。相模屋の既存工場のノウハウをもとに、全ラインを一新し、既存工場で確立していた運用方法を活かしています。むしろ重視したのは、相模屋食料の思想や姿勢を伝えることでした。

デイリートップ東日本でも、もちろんおとうふのおいしさなどを考えてはいたでしょうが、物流の効率化を目的に設立された会社であり、効率化やコスト削減の実現が思想の根底にありました。私どもはおとうふ屋ですから、毎日、いかにおいしいおとうふを作り、お届けするかを第一にしています。その考え方、姿勢を伝えることで、おとうふ作りに意義や喜びを感じてもらえるようになったのが良かったのだと思います。

M&Aなどの経営手法も取り入れながらトップ企業として業界の未来を切り拓きたい

M&Aについての今の考えをお聞かせください。

おかげさまで豆腐業界のトップ企業となり、業界の行く末を自分たちで考え、提示し、担っていかねばならない立場であることを意識しつつあります。ですから、同業他社から助けてほしいという声がかかれば、これからもお応えしていきたい。豆腐業界全体のために、ご相談をいただいたら、できる限り手を差し伸べられるよう検討したいです。

今後の展望を教えてください。

「焼いておいしい絹厚揚げ」(写真上)は食品ヒット大賞優秀ヒット賞(日本食糧新聞社)を受賞。人気アニメとコラボした「ザクとうふ」は、その斬新なアイデアで大きな話題を呼んだ。

まずは国内市場で、よりおいしいおとうふを作り、届けられるように努力していきたいですね。私どもの主力製品は昔からある木綿とうふと絹とうふですが、それでも技術や手法の“常識”を打破することで売上を伸ばすことができました。近年はアニメ「機動戦士ガンダム」とコラボした「ザクとうふ」などで、注目を集めることも実現しています。おとうふは誰もが知っているものではありますが、誰が作っても同じではないし、企業側の働きかけや企画しだいで、より多くの方々に目を向けていただくことができます。おとうふのポテンシャルはまだまだあると考えています。

本日はありがとうございました。