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M&Aインタビュー No.06

経営コンサルタント
株式会社ビジネスラポール 代表取締役 鈴木 丈織 氏

規模の大小に関わらず、企業経営において一般的な経営戦略となったM&A。多くの財務情報を扱うM&Aにおいて、経営者の傍らで財務アドバイスを行いやすいのは顧問税理士である。企業や会計事務所向けのコンサルティングを行い、またM&Aでご自身の企業を譲渡された経験のある鈴木丈織氏に、会計事務所における顧問先企業のM&Aへの対応のあり方について聞いた。

競争を勝ち抜くにはプラスαの業務ができる「付加価値」が求められる

会計事務所にどのようなアドバイスをされているのかお聞かせください。

会計事務所を取り巻く環境は、ここ10年で大きく変わりましたよね。税理士登録者数の増大により顧客獲得競争が激化し、企業には使いやすい会計ソフトが導入されてきました。顧問先企業が会計事務所に求めることも、これまでの税務業務や数値の報告といった基本業務だけではなくなってきています。

そのため、会計事務所には次の3つのポイントをお伝えしています。

[1]企業の数値を見て、単純に良い悪いだけではなく、現状を把握し独自の予測を立て経営者と話し合うこと。

[2]すぐには財務数値に現れない企業の地道な活動についても知る努力をすること。

[3]海外や国内の社会情勢や法令改正など、経営を取り巻く話題について経営談義を行なうこと。

もちろん税理士は税務の代行や税務相談が主業務であり、それがおろそかになってはいけませんが、プラスαの業務がメインと同じくらい大きくなってもかまわないでしょう。会計事務所独自の“人による付加価値”がなければ、最新の会計ソフトや別の会計事務所に取って代わられかねないのです。私は「経営参謀」という言葉を使うのですが、経営者が判断できる情報を提供し、時には苦言も呈し、決断に悩む経営者を支える。そのような役割を会計事務所には担ってもらいたいと思っています。

「経営参謀」として決断に悩む経営者に的確な情報提供を

顧問先企業からのM&Aの相談について、会計事務所はどう対応すべきでしょうか。

   
譲り受け(買い手)企業 譲渡(売り手)企業
メリットデメリット メリット デメリット
新規事業や商圏拡大を自前で行なうよりも、ノウハウ作りや顧客獲得の時間がかからない。
すでに実績のる事業を取り込むので、リスクが低い。
買収する事業に応じた買収資金が必要。
企業文化の違いにより、買収後の統合に時間がかかる場合がある。
譲渡益が得られる。創業者利潤の獲得ができる。
事業や雇用の継続が果たせる。
社風や従業員の待遇など買い手企業との融合が課題となる場合がある。
事業との関わりを絶たなければならなくなる。

経営者にとって、今やM&A は当たり前の経営戦略となっています。例えば後継者不在でM&Aを考えたら、当然ながら自社の数値を把握している会計事務所にも相談するでしょう。

ただ、経営者が会計事務所にM&Aの相談をしても「今まで頑張ってきた社長の会社を他人に委ねていいのですか」「もっと親戚を探したらどうですか」などと言われてしまった、という話も聞きます。もちろん、こういったケースは一部だとは思いますが、顧問先数が減るので退陣を翻意させたと語る会計事務所の職員もいましたし、専門外のM&Aについては相談を受けられないと恐縮しながら話す税理士もいました。

これらの会計事務所の対応は間違いです。経営参謀たる会計事務所の役割は、自分の主観や価値観を顧問先企業に伝えることではなく、まずは経営者が適切な判断をできるよう客観的な情報を提供すること。M&Aについて顧問先企業に聞かれたら、最低限、その場でM&Aのメリットとデメリットくらいはお伝えすべきです(表)。

さらなる判断材料やアドバイスを求められるならば、従来の税務業務とは別なのですから、情報収集や労力の対価としての個別報酬を堂々ともらえばよいのです。また、譲渡の場合、経営者は「良い会社が見つけられるだろうか」と不安になるものですが、この「良い会社」は人によって判断基準が異なりますので、ぜひ経営者にとっての「良い会社」を定義する支援をしてほしい。会計事務所にとっては面倒で困難な買い手企業探索は、ストライクのようなM&A専門会社に任せてしまえばよいのですから。

会計事務所の方へメッセージをお願いします。

顧問先企業からのM&Aの相談について、会計事務所はどう対応すべきでしょうか。

今後、顧問先企業からのM&Aの相談は確実に増加するでしょう。M&Aは広範な専門知識が必要ですので、会計事務所内の知識だけでは足りなければ外部の協力者を活用すべきです。相談するなら信頼できるM&A専門会社を選んでください。私が会社を譲渡した際はストライクに依頼しましたけれど、もともとは税理士の先生の紹介で知り合いました。

ぜひ経営参謀の矜持を持って、顧問先企業のM&Aニーズを受け止め、応えていただきたいと思います。

本日はありがとうございました。