INTERVIEW

成長戦略としてのM&Aを成功させる秘訣は?

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下平 雄二 氏

株式会社土木管理総合試験所 代表取締役社長 下平 雄二 氏

今年で30周年を迎える株式会社土木管理総合試験所(DK)は、長野県を地盤に地質調査や物理探査などのサービスを展開する土木試験・管理事業者。その高い技術で公共事業をサポートしているが、約10年前からM&Aを経営戦略として取り入れ、これまでに5件の買収を実行、成熟した業界において目覚ましい成長を遂げている。今回は、創業者である代表取締役社長の下平雄二氏に、経営戦略としてのM&A活用のメリットや買収後の経営のポイントなどについてお話を伺った。

M&Aによりエリアを拡大
全国各地に拠点を設け土木・建築事業をサポート

これまでに測量設計、非破壊検査などの企業を買収、成功されていますが、
M&Aを事業戦略として検討するようになったきっかけを教えてください。

エリア拡大という経営課題を解決するため、十数年前からM&Aの活用を検討するようになりました。弊社のお客様の多くは全国展開している大手のゼネコン、建設会社であり、そのお付き合いで長野県外の仕事の依頼をいただくことがありましたが、弊社は県内にしか拠点がなく、対応することができませんでした。

そこで、拠点のないエリアにおいて、弊社と近い業種の企業と手を結び我々のノウハウを伝えれば、県外でもお客様をサポートできるようになると考えたのです。

非破壊検査などは新規事業への進出ですね。

新しい技術ではありますが、非破壊検査は弊社がもともと行ってきた地質調査と非常に近い。異業種に見えるかもしれませんが、新規事業というよりも、診断・検査の手法の引き出しが増えたという感じです。

弊社にとっては、やはりM&Aの最大の目的はエリア拡大であり、滋賀や神奈川など拠点のない地域でのM&Aを積極的に考えてきました。私は、全くノウハウのない異業種の会社を、簡単に買ったり売ったりしようとは思っていません。相乗効果があり相手企業の社員のモチベーションを今まで以上に上げ、成長させていけるという見通しがあって初めて、M&Aは成功するのではないでしょうか。

買収した会社を数年後には吸収合併しています。

ロードスキャンビーグル
DKの調査・試験は多岐にわたる。写真は高速走行で道路規制をせずに、地中内部をビジュアル化するロードスキャンビーグル。

最初から、いつになったら合併するというふうに考えているわけではありません。成長を見守りながら判断しています。経営方針や体制は状況に応じて変える必要がありますので、M&Aの際にはお相手の経営者の方に、例えば「ずっと社名は残します」というような甘い口約束はしないようにしています。「我々と一緒に成長するために必要になれば社名を変更する可能性もある」というように率直にお話しすれば、理解していただけるものだと信じています。

M&A後、売上は4倍、利益は5倍と素晴らしい成長を遂げています。

DKの売上高推移
M&Aの効果は数字にも現れていますが、広い地域で従来はなかったサービスも利用できるという認識をお客様に持っていただけるようになったことが最も大きいと思っています。

背景や文化の異なる企業が一緒になるのには苦労を伴うが、
だからこそやりがいがあって面白い

企業文化の統合、労働条件・人事諸制度の統一など、買収後の経営において苦労されたことはありますか?

背景や文化の異なる企業が一緒になるのですから、苦労はつきものですし、時間もかかります。私自身が足しげく通って、辛抱強く社員と膝をつきあわせて話し合い、一緒に成長していきたいという気持ちを伝えました。特殊な技術やノウハウを持つ人材が多く、技術共有はなかなか難しいのですが、弊社から若手を派遣して修得させたりしています。

給与体系や福利厚生制度に関しては、1年以内には当社の制度に近い形に変更していますが、改善する方向で見直していますので、特に問題は生じていません。

一番大事なのは、我々と同じ方向を向いて一緒にやっていこうと言い続けることではないでしょうか。私は、「今までのやりかたを変えたくない」といった意見は、容認しないようにしています。具体的に数字なども見せながら透明性を持たせ、成長するために何が必要かをきちんと説明していけば、いずれ納得してもらえます。苦労はありますが、それをやり遂げるからこそ会社として次のステージに上がれると思いますし、私自身もやりがいがあって面白いです。

成長戦略としてのM&Aを成功させる秘訣は?

大切なのはタイミングです。自社に戦略的、財務的な余力があり、気持ちにも余裕があるようなときでなければ、適切な判断を下すのは難しい。苦しいから何とか成長させたいとか、とにかく売上を伸ばしたいというような気持ちで無理にM&Aを進めると、自社も火の粉をかぶる危険があるのではないでしょうか。余裕がある中で成長戦略のひとつとしてM&Aが視野に入っていて、良いタイミングで良縁が来るとベストですね。

弊社は若い社員も多く、今は教育の時期だと考えています。教育にじっくり取り組み力を蓄え、全体をバランスよくまとめたところで、また次のM&Aを考えるタイミングがやってくるのではないかと思います。

本日はありがとうございました。

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