ご成約インタビュー No.163
INTERVIEW
株式会社No.1 取締役 常務執行役員 グループ成長戦略推進本部長 久松 千尋 氏
地域に根差した顧客基盤を、いかに次の成長につなげていくか。中小企業向けIT・情報セキュリティ事業を展開する「株式会社No.1」(東京都千代田区)は、同業M&Aを成長戦略の中核に据え、エリア拡大と事業価値の向上を進めている。滋賀・宮城を拠点とする老舗OA機器販売店・進々堂商光株式会社(滋賀県彦根市)のグループ化は、その象徴的な取り組みの一つだ。本記事では、株式会社No.1 取締役 常務執行役員 グループ成長戦略推進本部長の久松千尋氏に、同業M&Aに込めた狙いや、地域企業と共に成長するための考え方を聞いた。
顧客基盤と情報セキュリティの融合が生む新たな価値
株式会社No.1の事業内容・特徴・強みについて教えてください
当社の主な事業では、中小企業向けに情報セキュリティ機器の開発、製造、販売、そして保守までを一貫して手掛けています。もともとはコピー機などのOA機器の販売と保守から始まった会社ですが、2017年に上場して以降、情報セキュリティ分野に力を入れています。
2020年に情報セキュリティ会社の株式会社アレクソンを買収したことで、開発から製造、販売、保守までを自社で完結できる体制が整いました。私たちのようなディーラーで、これほど一貫した体制を持つ企業は他にないと自負しています。これにより、お客様のニーズに合わせた情報セキュリティ機器をスピーディーに開発・製造し、提供できることが、他社との大きな差別化ポイントであり、当社の強みとなっています。
なぜ進々堂商光株式会社を子会社として迎えることを決めたのでしょうか?
決定の理由は大きく二つあります。一つは、進々堂商光様が滋賀県という、当社にとって空白地帯であったエリアで、強固な顧客基盤を築かれていたことです。もう一つは、同社の事業がコピー機の販売とメンテナンスが中心であったため、当社の強みである情報セキュリティ機器を組み合わせることで、必ず成長させられるという確信があったからです。大阪と名古屋の拠点をつなぐ滋賀という戦略的にも重要な地域で、新たな事業展開ができると考え、グループインをお願いしました。
同業M&Aを成長戦略の中核に置く理由
このM&A取引の背後にある戦略的な動機は何ですか?
自社だけの力で成長していくオーガニックな成長だけでは、厳しい競争環境を勝ち抜くことは難しいのが実情です。そのため、M&Aは不可欠な戦略だと考えています。
幸い、当社の事業はキャッシュフローが非常に良く、財務内容も健全です。新たな地域に進出する際の設備投資も比較的少なく済むため、M&Aを積極的に活用して成長を加速させていく方針を明確に打ち出しています。
最初にトップ面談で荒木様とお会いした際の印象はいかがでしたか?
トップ面談では、会社の事業内容以上に、経営者の方の会社や従業員、お客様に対する「想い」を最も重要視しています。荒木様は、ご自身が会社を離れた後も、会社と従業員の皆さんの将来を真摯に考えていらっしゃいました。
最後の挨拶の場で会社の将来を語るうちに感極まって涙ぐまれる場面もあり、普段は社員に見せないであろうその姿に、会社に対する深い愛情を感じ、この方が育てた会社であれば一緒に未来を創っていけると確信しました。荒木様のその想いは社員の方々にも浸透しており、私たちが後任の社長を送った後も、全員が一丸となって会社を良くしようと努力してくれています。その素晴らしい社風こそ、荒木様が築き上げられた最大の財産だと感じています。
地域に根差し、全国へ。No.1が描く未来図
今後、両社がどのように協働し、どのような相乗効果を発揮していく計画ですか?
当社のノウハウを投入し、新しい風を吹き込むことで、進々堂商光様のポテンシャルを最大限に引き出せると考えています。例えば、これまでアナログだった顧客管理をシステム化することで、営業効率は格段に向上し、新たなビジネスチャンスが生まれるでしょう。グループ内のシステム開発会社と連携すれば、安価かつスピーディーに最適なシステムを構築することも可能です。
子会社化によって、顧客に提供できる価値はどのように変化しますか?
近年、ランサムウェアなどのサイバー攻撃は中小企業にとっても深刻な脅威となっています。パソコンがウイルスに感染し、事業が停止してしまうケースも少なくありません。
進々堂商光様のお客様に、当社の情報セキュリティ機器を導入いただくことで、事業継続のリスクを低減し、本業に専念できる環境を提供できます。地方では、OA機器は普及していても、情報セキュリティ対策はまだ十分とは言えません。地域に密着した進々堂商光様を通じて、最新の情報セキュリティソリューションを提供できることは、お客様にとって大きな価値になると確信しています。
今後のM&A戦略における基準に変化はありますか?
今回の成功事例を踏まえ、M&Aは非常に確実性の高い成長戦略であると再認識しました。今後も、東名阪などの大都市圏の強化はもちろん、当社がまだ進出していない北海道や仙台、新潟、広島といった地域への展開を、M&Aを通じて加速させていきたいと考えています。
もちろん、同業だけでなく、IT分野などの新たな領域への挑戦も視野に入れてもいます。
ストライクと共に、未来を創るパートナーとして
担当者はいかがでしたか?
非常にしっかり対応していただきました。荒木様はITツールを一切使われない方だったので、担当の栗原さん・吉田さんは何度も滋賀まで足を運んでくださいました。契約直前には、吉田さんが荒木様と深夜まで膝を突き合わせて交渉し、最終的に合意を取り付けてくれたと聞いています。本当に大変だったと思いますが、その粘り強い交渉のおかげで、この素晴らしいご縁が生まれました。
現在も、同業他社のリストを共有し、次のM&Aに向けて一緒に開拓を進めていただいています。ストライクさんは、単なる仲介会社ではなく、私たちの成長戦略に欠かせない重要なパートナーです。
今後、M&Aを検討されている経営者へメッセージをお願いします。
M&Aはもはや特別な経営手法ではありません。会社を成長させ、従業員の未来を守るための有効な選択肢の一つです。信頼できるパートナーと巡り会うことができれば、M&Aは会社にとっても、従業員にとっても、そして経営者ご自身にとっても、必ずや明るい未来を切り拓くきっかけとなります。ストライクのような専門家の力を借りながら、会社の未来のために一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。私たち株式会社No.1は、M&Aを「買った・買われた」の関係ではなく、共に成長していくパートナーシップだと考えています。お客様と従業員を何よりも大切にする、私たちのチームワークにぜひご期待ください。
本日はありがとうございました。
M&Aアドバイザーより一言(栗原 拓実・株式会社ストライク 事業法人部 アドバイザー談)
本件は、進々堂商光様が長年にわたり築いてこられた顧客からの信頼と、複合機レンタル事業における強固な顧客基盤、ならびに株式会社No.1様の強みである情報セキュリティ商材の販売力が相互に補完し合う、成長戦略型のM&Aであったと考えております。両社の強みを掛け合わせることで、既存顧客への付加価値提供の高度化や新たな収益機会の創出が期待できる点が、本件の大きな意義です。今後、シナジーを最大限に発揮し、持続的な成長につながることを心より期待しております。
2026年7月公開
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