ご成約インタビュー No.155
INTERVIEW
熊本石油株式会社 顧問(前社長) 岡 英生 氏
熊本石油株式会社 代表取締役社長(三愛オブリ) 栗林 慶太 氏
1948年の創業以来、熊本県全域のエネルギーインフラを支え続けてきた熊本石油株式会社(熊本県熊本市)。需要構造の変化や後継者不在という課題に直面する中、同社は三愛オブリ株式会社(東京都千代田区)グループとの資本提携という道を選択しました。熊本地震からまもなく10年という大きな節目を前に、万が一の際にも地域インフラを絶やさない体制を築くべく下された決断です。成約までの期間は2年4ヶ月。土壌汚染という難題を乗り越え、老舗ブランドと全社員の雇用を守り抜きました。現在は三愛オブリ出身の栗林慶太氏が新社長に就任し、伝統の継承と「ライフパートナービジネス」への進化という新たな挑戦が始まっています。
熊本石油株式会社
ご成約インタビュー動画
70余年の歴史が育んだ信頼のネットワークと「フラッグシップ」への想い
1948年の創業以来、長きにわたり地域エネルギーを守ってこられました。貴社の強みはどのようなところにありますか。
岡 英生 顧問(以下、岡):もともと当社は卸を主体としてスタートした会社ですので、県内全域を網羅する販売店ネットワークを持っていることが一番の強みです。三菱液化ガスの特約店として長く歩んできた歴史があり、現在も100弱の販売店様にご協力をいただいています。この広範なエリアカバー率こそが、当社の基盤となっています。
象徴的な施設である「宇土充填所」に込められた想いを教えてください。
岡:宇土充填所は、これから先も50年、100年と当社を支え続ける「フラッグシップ」として、心血を注いで建設しました。佐賀の同業他社の先進的な事例を視察し、効率化のための工夫を随所に取り入れています。例えば、ボンベの積み込み場所にスプリンクラーを設置したことで、夕方に充填した車両を安全に駐め、翌朝そのまま出発できる運用を可能にしました。地盤沈下に悩まされていた旧拠点の課題を克服し、能力に余力を持たせた設計にしています。
異例の「2年4ヶ月」におよぶ交渉。土壌汚染という壁を乗り越えた「三愛品質」へのこだわり
今回、M&Aという選択肢を選ばれた背景にはどのような事情があったのでしょうか。
岡:事業環境が年々厳しさを増し、LPガスやガソリンの売り上げが右肩下がりとなる中で、自力での立て直しや雇用の維持に限界を感じ始めていました。私には後継者がおらず、会社を永続させるためには資本提携が最善の選択だと判断したのです。2023年に銀行から「資本提携を希望している会社(三愛オブリ株式会社)がある」と紹介を受けたのがきっかけでした。
三愛オブリ側として、熊本石油のどのような点を評価されましたか。
栗林 慶太 社長(以下、栗林):知名度の高い老舗ブランドであることはもちろんですが、資産の配置が絶妙でした。残存するサービスステーション(SS)は非常にポテンシャルが高く、熊本市を中心に東西南北へ展開しやすいレイアウトになっています。また、LPガスの直販件数も一定規模あり、既存のグループ会社と統合すれば県内有数の規模になると確信しました。
成約まで2年4ヶ月という長い月日を要した最大の理由は何だったのでしょうか。
栗林:「最大のハードルは「事業所の土壌汚染」でした。三愛オブリはプライム上場企業として「コンプライアンスリスクのある資産は購入しない」という厳格な方針を徹底しています。熊本石油は老舗ゆえに、残念ながら多くの拠点で土壌汚染が判明しました。その調査や資料作成、そして岡顧問側での土地の売却処理に膨大な時間を要しました。
岡:一時は「これは無理かもしれない」と破談を覚悟したことも何度かありました。しかし、三愛オブリの皆様の真摯な姿勢と、仲介いただいたストライクの鵜沼さん、有野さんの粘り強い伴走があり、最終的な解決策を見出すことができました。
シナジーの創出と「ライフパートナービジネス」への進化。地域インフラを支える新たな体制
グループ化によって、具体的にどのようなシナジーを見込んでいますか。
栗林:まずは配送網の最適化です。北側を三愛オブリガス西日本(旧三愛オブリガス九州エリア)、南側を熊本石油が担うといった拠点分担を進めることで、更なる配送効率化に繋がるものと考えています。また、サービス面では「ライフパートナービジネス」への転換を掲げています。これはガス供給だけでなく、家庭のあらゆるお困りごとを解決するサービスです。
「ライフパートナー」とは、具体的にどのような取り組みでしょうか。
栗林:ガス事業者の強みは、点検などを通じてお客様の宅内に高い信頼性を持って入れることです。この強みを活かし、グループ内で先行しているハウスクリーニングなどのサービスを熊本石油でも展開し、お客様の暮らし全般を支える存在を目指します。
岡:熊本地震からまもなく10年という大きな節目を迎えますが、 当時、プロパンガスは復旧の早さで地域に大きく貢献しました 。三愛グループに入ることで、九州全域から100人単位の支援動員が可能になる体制は、震災から10年を経て改めて防災意識が高まる中、 非常に大きな顧客価値、安心感に繋がると期待しています 。
経営者が向き合うべき「企業の終活」。従業員と家族の幸せを最優先する意思決定の形
クロージング後の社内の反応や、今後の目標についてお聞かせください。
栗林:社員には「経営が安定した」という安心感や期待感が広がっています。管理部門からの資料要求など、新しい仕組みへの戸惑いはあるものの、皆非常に協力的です。当面の目標は黒字化の確実な達成です。仕入コストの低減や価格の適正化を積み上げ、2027年度には確固たる利益基盤を築きます。将来的には宇土充填所への本社移転も計画しており、拠点を集約してブランド力をさらに強化する方針です。
最後に、M&Aを検討されている経営者の方々へメッセージをお願いします。
岡:後継者の有無に関わらず、従業員や取引先、家族という全てのステークホルダーにとっての最適解を模索すべきです。M&Aは「会社を売る」というネガティブなものではなく、会社を永続させるための有力な選択肢です。
栗林:私は「企業の終活」という言葉を提唱したいと考えています。自分が今引退したら周囲にどのような影響があるのかを可視化し、計画的に準備を進めることが大切です。熊本石油と三愛オブリが、社風の親和性を重視して手を取り合ったように、信頼できるパートナーを見つけることが成功の鍵となります。
本日はありがとうございました。
M&Aアドバイザーより一言(鵜沼 大仁・事業法人部 シニアアドバイザー談)

熊本石油様は、地場でも有数の老舗企業様で営業基盤の確立された企業様です。将来的な事業承継問題やコスト増、需要減少、競合環境などの経営課題に対し、会社一丸となって自助努力を続けてこられました。
三愛オブリ様は、九州にもグループ会社をお持ちの企業様ですが、全国ネットながらも各地域への貢献を実現していくことで企業成長を積極的に実現されている企業様になります。
この度の資本提携により新たな事業シナジーの創出が期待され、ご両社の従業員様、お取引先様、地域が享受し得るメリットは、1+1が3以上になる期待効果を内包しており、今後のご両社のご発展を願ってなりません。
経営課題の解決、企業成長、ビジネスチャンスの創出などM&Aによる期待効果は、様々ございます。
企業様、株主様ごとに実現したいこと、実現すべきことがあると考えておりますので、今後もその一役が担えるよう尽力して参ります。
M&Aアドバイザーより一言(有野 良一・企業情報部 アドバイザー談)

三愛オブリ様は中期経営計画においてLPガス関連事業を成長事業と捉え、
積極的な投資を検討されている中で数年前より弊社と連携をさせて頂いておりました。
そんな中グループ祖業の地である九州で熊本石油様とのご縁に恵まれました。
熊本石油様にとっても、従業員の雇用の安定化や熊本県における取扱いシェアの拡大、
配送の効率化、仕入力の強化等のシナジーが見込まれております。
いくつかの大きなハードルもございましたが関係各社が同じ方向を向いて課題の解決に向けて取り組めたことで、最終的に両社の想いを形にすることが出来ました。
今後も両社の発展を祈念しております。
2026年3月公開
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