INTERVIEW

代表社員1人、アパートメントホテルが、JR北海道グループ入り:
BASE JAPAN元代表社員 山中利浩氏 × あすか税理士法人 九里圭耶氏 インタビュー

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合同会社BASE JAPAN 元代表社員 山中利浩氏、あすか税理士法人 九里圭耶氏、ストライク中辻

合同会社BASE JAPAN 元代表社員 山中利浩氏
あすか税理士法人 九里圭耶氏

札幌市すすきのに拠点を置くホテル「THE BASE SAPPORO SUSUKINO」を運営する合同会社BASE JAPAN(札幌市中央区)が、M&Aにより北海道旅客鉄道(JR北海道)のグループに入った。本インタビューでは、BASE JAPAN元代表社員 山中利浩氏と、顧問税理士を務めたあすか税理士法人 九里圭耶氏に、M&Aの経緯や今後の展望について語っていただいた。

起業の経緯と事業の多角化

貴社の事業内容と設立の経緯についてお聞かせください。

合同会社BASE JAPAN 元代表社員 山中利浩氏、あすか税理士法人 九里圭耶氏
部屋の中には二段ベッド。合同会社BASE JAPAN 元代表社員 山中利浩氏(左)、あすか税理士法人 九里圭耶氏(右)

山中:合同会社BASE JAPANの代表社員を務めておりました山中です。BASE JAPANを設立する前は、大手の不動産会社に勤務しており、その傍ら、不動産賃貸業を個人で始めました。所有物件で民泊を試したところ、稼働率が良く利益も出たため、本格的にホテル事業を始めることを決意しました。いい土地を探していたところ、現在の「THE BASE SAPPORO SUSUKINO」がある土地とご縁があり、365日営業できるホテルを購入し、運営会社としてBASE JAPANを設立しました。私自身がワンオペレーションで運営できるコンパクトなホテルを目指し、開業に至りました。

ホテル設立から現在までの道のりを教えてください

THE BASE SAPPORO SUSUKINO
「THE BASE SAPPORO SUSUKINO」

山中:2018年10月に設立し、今年で7年目を迎えます。当初は、夏休みや冬休みなどの長期休暇には国内のファミリー層が多く、それ以外の期間はインバウンドのお客様が中心でした。しかし、最近はインバウンドのお客様の割合が増える傾向にあり、現在では全体の約7割を占めるまでになっています。客室は全て同じタイプで、二段ベッドを備え、最大6名まで宿泊可能です。大人数で旅行されるインバウンドのお客様に好評をいただいています。

M&Aを検討した背景と理由

M&Aを検討された理由についてお聞かせください。

山中:ホテルをワンオペレーションで運営していたため、休みがほとんどなく、体力的にも限界を感じ始めていました。コロナ禍や自身の体調不良など、様々な要因が重なり、お客様に迷惑をかける事態を避けるため、大きな組織に引き継いでいただくのが最善だと考えるようになりました。

M&Aを検討するにあたり、顧問税理士の九里様にご相談されたそうですね。

山中:はい。毎月定期的にコンサルティングを受けている九里さんに、M&Aを検討していることを相談したところ、ストライクさんをご紹介いただきました。

JR北海道グループとの出会いと決断

JR北海道グループ(北海道ジェイ・アール都市開発株式会社)の名前を聞いた時の印象はいかがでしたか?

山中:まさかJR北海道さんのような大きな企業が候補に挙がるとは思ってもいなかったので、驚きました。もし前向きに検討していただけるのであれば、ぜひお願いしたいという気持ちでした。

他の候補先もあったのでしょうか?

山中:具体的な名前が挙がっていた会社も他にありましたが、JR北海道さんが興味を示してくださったことで、これまでの苦労が報われるような気持ちになりました。JR北海道さんに認めていただけたということが、何よりも嬉しかったです。

ストライクの中辻にご依頼された経緯についてお聞かせください。

合同会社BASE JAPAN 元代表社員 山中利浩氏
合同会社BASE JAPAN 元代表社員 山中利浩氏

九里:弊社とストライクさんで業務提携を結び、ストライクさんの企業説明会に参加したことがきっかけです。その際、中辻さんと名刺交換をさせていただき、ご連絡したという流れです。

M&Aの過程と苦労

M&Aの過程で大変だったことはありますか?

山中:私は特に大変なことはなく、九里さんが色々な業績や財務的なデータなどを準備してくださったので、感謝しています。デューデリジェンスの際には、様々な資料を準備する必要がありましたが、九里さんがテキパキと対応してくださったので、安心して任せることができました。最終的に合意に至るまでは、話がうまく進むかどうか不安な気持ちもありましたが、九里さんとストライクさんが丁寧に報告してくださったので、不安感はありませんでした。

JR北海道グループとの面談はいかがでしたか?

山中:私は一人で経営している会社なので、JR北海道グループの方々が大勢いらっしゃったのを見て、すごいと感じました。そのような経験はなかなかできないので、今後の展開が楽しみな印象を持ちました。

M&A後の展望と無人運営への移行

今後の運営について、どのようにお考えでしょうか?

山中:契約締結後、JR北海道さんに、顧問として運営についてアドバイスをさせていただいています。当面は私が現状のまま運営を続け、徐々にJR北海道さんの運営スタイルに移管していく予定です。最終的には無人運営に移行されるとのことですので、そのための橋渡し役として、様々なノウハウや課題点などを共有しています。

無人運営とは、具体的にどのような形になるのでしょうか?

山中:これまでは、お客様を直接お迎えして対応していましたが、今後はIT技術を活用し、フロント業務を無人化していく予定です。JR北海道さんが導入されている鍵のシステムと、現在ホテルで使用しているシステムを連携させるなど、様々な取り組みを進めています。

ストライクの評価とM&A成功の要因

ストライクの担当者の印象はいかがでしたか?

山中:最初の打ち合わせから親身になって話を聞いてくださり、話しやすかったです。ホテル業界の中でも、私のビジネスモデルは特殊であるため、理解してもらうのが難しいと思っていましたが、ストライクさんは丁寧に質問してくださり、きちんと把握しようという姿勢が感じられました。安心して任せられると感じました。

M&A成功後の反響と今後の展望

JR北海道グループ入り後の反響はいかがでしたか?

山中:取引先や関係各所に挨拶状を送ったところ、大きな反響がありました。「どういうこと?」「JR北海道と提携したの?」など、驚きの声が多く、北海道新聞にも掲載されたことで、久しぶりに連絡をくれた方もいました。ビジネスを理解している仲間からは、「頑張ったね」「よかったね」など、好意的な言葉をかけてもらいました。

今後の運営について、改めてご説明いただけますでしょうか?

合同会社BASE JAPAN 元代表社員 山中利浩氏、あすか税理士法人 九里圭耶氏
合同会社BASE JAPAN 元代表社員 山中利浩氏(左)、あすか税理士法人 九里圭耶氏(右)

山中:今後は顧問として運営にアドバイスという形で、JR北海道さんの無人運営に向けて、課題点や運営上のノウハウなどを共有していきます。新しい運営方法に向けて、調整を進めているところです。

あすか税理士法人 九里氏から見たM&A

本案件をご紹介いただいた経緯について教えてください。

九里:先ほど山中社長がお話されたように、実質お一人で運営されており休みがほとんどないことや体力的なご不安から、将来の運営についてのお悩みをお聞きした時期に、M&Aが最善の出口戦略だと考え、山中社長にご提案しました。当初は別の仲介会社をご紹介しましたが、コロナ明けで業績が好調な中、引き続きご自身で運営をしていくか、大きな組織にお任せするかといった葛藤などもあってお話が進まず、ちょうどその頃ストライクさんと提携したタイミングで、改めてご紹介させていただきました。

BASE JAPAN様がJR北海道グループ入りをした率直な感想をおねがいいたします。

九里:BASE JAPAN様がJR北海道グループ入りをされたことは大変喜ばしいことだと思います。地域経済の活性化にもつながることを期待しております。

ストライク担当者の印象、仕事ぶりはいかがですか。

合同会社BASE JAPAN 元代表社員 山中利浩氏、あすか税理士法人 九里圭耶氏、ストライク中辻
宿泊客を出迎えるフロントの招き猫、合同会社BASE JAPAN元代表社員山中利浩氏(中)、あすか税理士法人 九里圭耶氏(右)、株式会社ストライク 北海道営業部 中辻智哉(左)

九里:ストライクの担当者の方は、非常に熱心で丁寧な対応をしていただきました。M&Aの知識や経験も豊富で、安心して相談することができました。

本日はありがとうございました。

M&Aアドバイザーより一言(中辻 智哉・北海道営業部 シニアアドバイザー談)

ストライク中辻 智哉

あすか税理士法人九里様からのご紹介で山中様と初めてご面談した際に、お悩みをお聞きし、ご誠実なお人柄を前に、必ずやご満足いただける提携を実現させると決心したことを昨日のことのように思い出します。
最終的にベストなお相手とのご縁に至ったのは、JR北海道グループのご英断はもちろん、山中様とあすか税理士法人様との信頼関係や財務税務を中心とした情報の信頼性や透明性が背景にあったからこそと考えております。
一般的に、宿泊業(旅館・ホテル)は設備投資及び借入が大きく個人保証の承継がハードルとなるケースもありますが、M&Aは解決策となる可能性があり、グループ経営による仕入コスト低減などのスケールメリットや人材採用で優位に作用する可能性も想定されますので、事業承継にお悩みの方は一つの選択肢としてM&Aをご検討されてはいかがでしょうか。

2025年6月公開

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