ご成約インタビュー No.158
INTERVIEW
株式会社kotoshino 代表取締役 服部 雄太 氏
医療法人社団京愛会 院長 田中 京子 氏
東京都で整形外科・リハビリ科診療所を運営してきた医療法人社団京愛会は、調剤薬局の創業・売却経験を持つ服部雄太氏が代表を務める株式会社kotoshinoへ、そのバトンを渡した。約20年にわたり地域医療を支えてきた田中京子院長は、自身の体力の限界を感じ、患者と職員のためにクリニックの存続を決意。一方、譲受先となった服部氏は、医療・介護・薬局の連携によるエコシステムの構築をめざし、その第一歩として京愛会を迎え入れた。異なるバックグラウンドを持つお二人が、互いに共感し、未来を託すに至った経緯とは。kotoshinoグループの一員になった背景と、地域医療への想い、そして今後の展望について、お二人に話を伺った。
体力の限界と地域への想い。20年続けたクリニックの未来を託す決断
両社のご紹介とご自身の経歴について、簡単な自己紹介をお願いいたします。
田中:大学を卒業後、慶應義塾大学の医局に入り、関連病院を回りました。その後、江戸川病院や先輩が運営するリハビリテーション病院に勤務し、ご縁があってこの地で約20年前に開業いたしました。
服部:私は薬剤師の免許を取得後、九州で医療機器の営業を経験しました。その後、地元の愛知県一宮市で調剤薬局を創業し、8年間で約40店舗まで展開しました。会社の将来を考え、2年ほど前に上場企業のグループへ会社を譲渡した経緯があります。 私自身、今後も医療・福祉分野で社会に貢献していきたいという想いが強くありました。薬局を経営する中で、日本の医療の中心はやはり医療機関であると痛感し、次の挑戦として医療機関の運営を志しました。その中でストライクと出会い、田中先生が大切に運営されてきた京愛会をご紹介いただいたのです。田中先生のお人柄や東京という立地、すべてが大変ありがたいお話だと感じ、このご縁を大切にしたいと思い、引き継がせていただくことを決意しました。
事業承継はいつ頃からお考えになられたのでしょうか。
田中:具体的に考え始めたのは、それほど昔ではありません。仲介会社さんにお話をさせていただいたのが成約から半年前か、せいぜい1年くらい前だったと記憶しています。検討を始めてから、思った以上に早く話が進んだという印象です。 一番のきっかけは、自分自身の体力の低下です。いずれは辞めなければならないと考えたときに、閉院するのか、あるいは誰かに引き継いでいただくのかという選択肢がありました。非常勤の先生方や患者さんのことを考えると、クリニックを存続させたいという気持ちが強く、幸いにも引き受けてくださる方を見つけていただくことができました。
「創業者への敬意」を胸に、歴史を引き継ぎ進化させる
京愛会様のどのような点に将来性や魅力を感じられましたか。
服部:まず、医療法人をグループに迎え入れるためには、「持分あり医療法人」であることが必須条件でした。その条件に合致したことに加え、エリア、そして何より田中先生との相性が決め手でした。トップ面談でお会いし、お互いに違和感なく話を進められるかどうかが重要だと考えていました。
トップ面談ではどのようなお話をされ、お互いのどのような部分に共感されましたか。
田中:服部さんは多くの事業を手掛けてこられた方ですが、お会いしてみると穏やかで優しい印象でした。利益追求に走るような雰囲気は全くなく、真摯に医療に取り組んでくださりそうだと感じ、安心してお任せできると思いました。
服部:私は、グループに加わる前後で期待値に乖離が生まれないよう、自分がやりたいことや想いをすべて正直にお伝えすることを心がけました。具体的には、この医療法人を基盤に「広域医療法人」をめざしたいという展望です。私が展開している介護事業や、今後再び手掛ける薬局事業と連携させ、医療・介護・薬局が一体となったグループ内のエコサイクルを構築したいと考えています。そのために、介護施設があるエリアへの訪問診療クリニックの展開や、これまでの経験を活かした新規事業の立ち上げなどを通じて、京愛会の経営基盤をより強固なものにしていきたいという想いをお伝えしました。
田中:服部さんのお話をお伺いし、非常に期待が持てると感じました。当院は経営的に厳しい状況にあり、これからの時代、小規模なクリニックは服部さんがおっしゃるような新しい方向性を取り入れなければ立ち行かなくなると感じていました。それを助けていただける形で引き継いでくださるのは、本当にありがたいことだと思います。
保険診療を基盤に、新たな価値を創造し地域医療に貢献する
今後の事業展開についてお聞かせください。
服部:まずは、これまで通り保険診療を基盤とし、既存の患者さんとスタッフの雇用をしっかりと守っていくことが大前提です。その上で、自費診療の分野など、新しい事業を立ち上げていきます。これは、京愛会という医療法人を活用した、新たな挑戦です。
今回の承継を通じて、地域医療にどのように貢献していきたいとお考えでしょうか。
服部:地域医療を守るベースは、やはり保険診療だと考えています。国の診療報酬の方針に則り、日本の医療に貢献していくことが基本です。しかし、それだけでは医療機関の経営が厳しくなっているのも事実です。そこで、先進的な医療ベンチャーなど、元気のある企業と協力し、プラスアルファの価値を生み出すことで、京愛会の経営を安定させていきたいと考えています。
譲渡企業と良好な関係を築くために、譲受企業として大切にしていることは何ですか。
服部:創業者への敬意です。今回で言えば、田中先生が京愛会というクリニックの創業者です。その歴史を築き上げてこられた創業者に対する尊敬と敬意がない事業承継は、絶対に失敗すると考えています。その歴史を軽く考えず、しっかりと背負う責任があります。 ただし、歴史を引き継ぐといっても、すべてをそのまま続けるわけではありません。創業者の歴史を深く理解した上で、新しい経営者として、時代に合わせて「変化」ではなく「進化」させていくことが重要です。180度すべてを変えてしまっては、従業員や患者さんも不安になります。歴史を尊重しつつ、より良い形へ進化させていく。それが私の責任だと考えています。
今後、事業承継を検討される経営者の方にメッセージをお願いします。
田中:私と同じように、後継者不在で閉院を考える先生方も多くいらっしゃると思います。閉院すれば、通ってくださっていた患者さんは行き場を失ってしまいます。できれば、どのような形であれ、良い方に譲ることができれば、それが一番良いのではないでしょうか。これは本当に「出会い」と「相性」だと思います。
ストライクのサービスや担当者はいかがでしたか?印象的なエピソードなどあれば、教えてください。
服部:クリニックの事業承継は初めての経験でしたが、法的な手続きやPMI(買収後の統合プロセス)におけるタスク管理、スケジュールの仕切りなど、専門部隊がいるからこその知識と手腕は本当に秀逸で、安心して任せることができました。また、仲介会社の役務はM&Aが完了した日で終わるのが通常だと思いますが、担当の高橋さんはその後も親身にフォローしてくださり、会社としても、個人としても、本当に素晴らしいと感じました。
田中:お相手を探していただく過程で、候補先のリストを見せていただいたのですが、膨大な数の企業にアプローチしてくださっていることがわかり、「これだけの中から見つけてくださるんだ」と感動したのを覚えています。どんな仕事も、最後は「人」なのだと改めて思います。M&Aは法律的なことも絡みますし、個人間でのやり取りはトラブルの元になりかねません。しっかりとした仲介会社に入っていただくことが、安全に進める上で不可欠だと感じます。
本日はありがとうございました。
M&Aアドバイザーより一言(高橋 歩武・株式会社ストライク ヘルスケアアドバイザリー部 アドバイザー談)
医療法人社団京愛会様は、長年にわたり地域の皆様のニーズに応えながら医療を提供されており、患者様の生活になくてはならない医療機関です。当地での開業後、田中先生のお人柄もあり、とても愛されているクリニックです。高円寺という立地の良さ、加えて広いリハビリ室を保有している事から、外来だけでなくリハビリにも定評があります。
今回、複数の候補先の中からKotoshino様とご成約に至りました。服部様は、創業者である田中先生の医療に対する思いを理解しリスペクトを深く持ち、単に承継するだけではなく、医療のフロントに立ち、更なる発展を成し遂げるための取り組みをされております。
M&Aを検討する理由や背景はそれぞれ異なりますが、譲渡をご検討される医療法人様は増えてきております。最後の手段としてではなく、早いタイミングからご相談を頂く事で、選択肢を増やすことにも繋がるかと思います。第三者承継という手法を通じ、一件でも多くの医療機関の課題解決に寄与できれば幸いです。
2026年4月公開
本サイトに掲載されていない事例も多数ございます。
是非お気軽にお問い合わせください。
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