M&A Story #01
大手メディア × 老舗出版社
チームリーダー・マネージャー
2021年入社
前職:損害保険会社・法人営業
山野 建

誰かが諦めれば終わっていたM&Aを、
つなぎとめたモノ。
大手メディア
国内外で事業を展開し、情報メディア、出版、広告、イベント、文化事業など、あらゆるビジネスを手掛ける総合メディアグループ。近年は多様な業種とのM&Aを事業戦略に取り入れ、さらなるグループ拡大を進めている。
老舗出版社
長い歴史を有しており、質の高い作品づくりで読者の熱い支持を獲得。しかし近年の出版不況のあおりなどから経営不振に。立て直しを図りIPOなども検討する中、M&Aに希望を見出す。
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周囲の専門家を巻き込みながら、ディール成功を目指す。
プロジェクトが停止中の1年間、山野は前職の法人営業時代に培った柔軟な対応力や調整力を存分に活かし、複数の大手企業と関係性を構築。そのうちの一社は、誰もが知る大手メディアグループでした。
買い手の希望は、M&Aで強いIPを持つ企業を迎え、グループシナジーを高めること。その話を聞き、山野の頭に最初に浮かんだのが、根強いファンを多数抱えるあの老舗出版社でした。
山野「早速双方に打診をしてみると、売り手のオーナー様からは『あの著名なメディアならば、譲渡先として満足です』と承諾をいただき、買い手企業からも『ぜひ前向きに進めたいです』と熱のこもった回答をいただきました。そこですぐに双方の経営者によるトップ面談を実施したんです」
両社ともに好感触のファーストコンタクトを経て、M&Aの準備と交渉が本格化します。売り手企業のオーナー様の希望価格は一定の大きな目線がありました。しかし、出版業界全体の縮小傾向があります。買い手企業によるビジネスデューデリジェンスはもちろん、仲介を担う山野も客観的な視点から適正な企業価値を算定する必要があります。そこで直属の上司はもちろん、公認会計士の資格を持つコーポレートアドバイザリー部長にも協力を仰ぎ、評価を進めていきました。
山野「この案件は全社をあげて取り組むべきだと考えていたので、積極的に周囲を巻き込んでいきました。実際、財務部長には面談への同席から出版業界の特性を踏まえた事業評価まで、さまざまシーンで協力していただきました。きめ細かな指導を通して私自身の経験値も高まり、本当にありがたかったですね」
そして数度の面談を経て、買い手企業が最初に提示した金額は、希望価格から一定割合減額されたものでした。山野はこの提示額を「最大限の配慮が成された金額だ」と感じましたが、オーナー様にも金額へのこだわりがあります。交渉の場に緊張感が走る中、オーナー様は少し考えた末、「その金額で進めてください」と承諾。プロジェクトの再始動から約半年。ついに双方仮合意の上、独占交渉(買収監査)へ進んだ瞬間でした。
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大切なのは、契約完了の瞬間まで全力を注ぐこと。
契約交渉が佳境を迎える中、山野は「ここからが正念場だ」と気持ちを入れ直しました。大切なのは、すべての関係者の温度感を落とさないこと。これまで以上にレスポンスのスピード感やタイムリーな情報共有を徹底し、密にコミュニケーションを重ねていきました。
しかし、買収金額に関する懸念は依然くすぶっていました。本締結に向けて買い手企業による綿密なビジネスデューデリジェンスが進む中、売り手企業の業績が下降気味に。山野が感じた不安は現実となり、最終的な提示額は前回の金額からさらに調整が入り、減額提示となってしまいます。
山野「その数字を聞いた瞬間は正直、『ブレイクという言葉がよぎりました』…。しかし、買い手企業の担当者様が少しでも金額を上げようと社内交渉に悪戦苦闘する姿も見続けてきましたし、売り手企業のオーナー様の『この大手メディアグループに入るべきだ』という意志も強く感じていました。ですから、ここで自分が諦めてはいけないなと」
ビジネスライクに金額だけを伝えれば、きっとその瞬間に交渉は決裂してしまう。そのリスクを回避するために、自分に何ができるのか、山野は頭をフル回転させ、双方がひざを突き合わせて話し合い、お互いの想いを伝えあってもらうべきだという結論に至ります。そこですぐにトップ面談をストライク本社で行うことを提案。買い手企業から老舗出版社に対するリスペクトや今後への期待、そのうえで減額提示に至った背景などを、包み隠さず話してもらいました。
山野「売り手企業のオーナー様は、その話に真摯に耳を傾けたうえで、『ありがとうございました。いったん検討させてください』と持ち帰られました。私としては気が気じゃなかったのですが、数日後にオーナー様から『この金額でぜひお願いします』と連絡をいただいたときは心底ホッとしました」
初回面談の実施から約2年。危機的な状況を乗り越え、ついに本契約が締結。双方が望んでいた老舗出版社の大手メディアグループ入りが実現したのです。
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「人の想い」の大切さを、チームメンバーにも伝えていきたい。
当時の厳しい条件交渉を振り返り、「誰かひとりが“やめる”と言えば、終わっていたディールだと思います」と話す山野。だからこそ、無事にM&Aが完了した後も「本当に納得していただけたのか」と一抹の不安を感じていました。
そこで山野は、売り手企業のオーナー様との会食の際に、思い切って真意を訪ねてみました。すると、「本当にありがとうございました。こんな素晴らしい企業に長きに渡って代表取締役として見守ってきた会社を買収していただけたこと、この金額で株式譲渡できたことに心から満足しているんです」と晴れやかな表情で語っていたそうです。
山野「交渉中は、会社や従業員に対するプライドから言葉にできないこともあったんだと思います。そうした経営者の内面まで含めて、人と人との想いを最大限尊重し、我々が間に立ってつなぐことの大切さを、身を持って学ばせてもらいました」
また、買い手企業からも、「M&Aの優良事例」として過去1番と言えるほどの高評価を獲得したことも大きな自信につながりました。山野はこのプロジェクトで得た経験と学びを活かし、ストライク初となる映画業界のM&Aを成功に導くなど、さらなる活躍を実現。入社4年目を迎えた現在はトップセールスへと成長し、メディア・エンタメ業界に特化したチームのチームリーダーを務めています。
山野「この案件で得た経験があるからこそ、チームのメンバーに伝えられることがたくさんあると思っています。ですから、今後はメンバー育成に心血を注ぎ、全員がトップセールスになるぐらいの実力をつけていきたい。そしてチーム全体でストライクの発展に貢献することが、これからの目標です」
M&A Story
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M&A Story #02
イノベーション支援室
スタートアップを支援する
イノベーション支援室から、
未来の産業を創っていく。
お客様の想いを大切にする、という理念からマッチングを“保留”することに。
お客様の想いを大切にする、という理念からマッチングを“保留”することに。
入社1年目の秋、上司のもとでM&Aの経験を積んだ山野は、新たな市場としてメディア・エンタメ業界の開拓に注力していました。山野にとっては、「実は学生時代、就職活動の第一希望がメディア業界でした」というほど思い入れのある分野でしたが、当時ストライクではこの分野に取り組む社員はごくわずか。M&Aの実績も数えるほどでした。
山野「だからといって不安は感じませんでした。むしろ、前例が少ないからこそ大きなチャンスが眠っているはずだと。自分には先見の明があると信じて、業界研究と情報収集に励み、M&Aニーズを秘めた企業へのDM作成に没頭しました」
ほどなくして、ある老舗出版社のオーナー様から「詳しい話を聞きたい」と反響がありました。早速面談を行うと、業界紙や経済誌などでは分からない事情が見えてきました。
山野「オーナー様は、先代社長である父の時代に業績不振と不祥事が重なり、立て直しのために自分がバトンを受け取ったこと、それまでのキャリアを捨てて『この会社を救うのが自分の義務だ』と身を粉にして頑張ってきたこと、ドラスティックな経営改革で足元の業績が回復し、次の施策を考えていることなどを熱心に話してくれました」
オーナー様は株式上場も検討しており、「事業譲渡は、経営基盤のしっかりした大手メディア企業と縁があった場合のみ」という条件を提示されました。山野はこうした思いを受け、マッチング活動の“一時保留”を決断し、お客様にはIPOの準備を進めることを提案します。
山野「私は、目先の利益のために強引にディールを進めることは絶対にしないと決めています。それに事前準備を徹底していたので面談の質にも自信がありましたし、いつかタイミングが来れば私という存在を思い出していただけるはずだと。それまでは買い手企業のリサーチに励もうと決めたんです」
この判断がお客様の印象に残り、最後の面談から約1年を経て、このプロジェクトは再び動き出すことになります。