解決策と課題

解決策と課題

IPO(新規上場)

多大なコストと時間、
エネルギーが必要

選択肢のひとつとして挙げておきましたが、上場するために必要なコストと時間、エネルギーを考えると、後継者問題に直面している企業にとって、上場は、かなりハードルが高い方策です。
帝国データバンク発表のデータによると、2012年~2014年に新規上場(IPO)した177社の社長の上場時の年齢は40歳代が最も多く(34%)、次いで60歳代(25%)で、60歳以上が33%となっています。60歳以上が3割を超えてはいるものの、母数が177社ですから、やはり引退を考えるような年齢になって上場するのは、ごくまれなケースといえるでしょう。

当たり前のことですが、上場すれば株主を選ぶことはできなくなります。投資家の厳しい目に業績を常にチェックされ大きなプレッシャーがかかるうえ、敵対的買収を仕掛けられる心配もしなくてはなりません。会計監査なども非常に厳しくなってしまいます。
経営陣が株を売りにくくなるというデメリットもあります。ロックアップ規制(※)がかけられることも多いですし、ロックアップが解除された後でも経営陣、特にオーナーが株を手放したりすると“売り逃げ”したと思われかねませんから、実際には売らずに持ち続けなければならないことがほとんどです。

ほかに何らかの事業戦略があるなら別ですが、主に後継者問題を解決するためだけにIPOをするのは、やはり現実的ではないだろうと思います。

※ロックアップ/株価の極端な変動を抑えるため、IPOの際、創業社長や会社役員などIPO前からの株主がIPO後の一定期間、市場で持株を売却しないよう契約を交わす制度