飲食店・飲食チェーン業界の動向

(更新日:2019年1月)

業界定義
食事をする空間とともに食事を提供する形態の業種を指す。食堂、レストラン、ファーストフードや喫茶店(カフェ)など一般に「飲食店」と称する業種
業界シェア
業界トップは、ゼンショーホールディングスで売上高は5,791億円、第2位はすかいらーくで3,594億円、第3位は日本マクドナルドホールディングスで2,536億円となっている。

市場規模 約25.6兆円

一般社団法人 日本フードサービス協会『平成 29 年外食産業市場規模推計について』

成長率0.8%

一般社団法人 日本フードサービス協会『平成 29 年外食産業市場規模推計について』

関連法規
食品衛生法、環境衛生営業法

業界分析

外食業界は、業態によって市場環境が異なる。着実に成長しているのは、ファストフードと高級レストランの分野である。一方、パブ・居酒屋では、2008年から前年割れが続いていたが、2017年以降前年比99%(売上ベース)前後で推移しており、下げ止まり傾向にある。また、ファミリーレストランはここ数年前年比100%(同)前後と横ばいだが、同業態でも焼き肉は2018年で前年比105%(同)と伸びている。

近年のトレンドとして挙げられるのは、セントラルキッチンの導入と海外展開だ。

前者は、チェーン事業を拡大する際のコスト削減に有効とされている。現場調理の場合、店ごとに味が異なったり、多くの人員や投資が必要であったり、無駄なコストが発生するが、セントラルキッチンを導入することで、現場の調理が簡素になり、人員カットなどのメリットが生まれる。また、味付けなど重要な調理工程を集約することで、各店舗で料理の味が異なる問題を回避できる。

海外展開は、大手企業で特に盛んである。自社のブランドを立ち上げる際も、M&Aで企業を買収する場合も、将来的に海外で受け入れられるブランドに育つかを重視する企業が増えている。うどんや寿司などの和食以外でも、ラーメンや餃子といった日本で独自に発展してきた業態が人気となっており、この新需要を捉えるべく多くの企業が進出している。その背景には、国内市場の成熟があると推察される。

人手不足は業界全体が抱える深刻な問題である。飲食店の84.1%が非正規における人材不足を訴えており自体は深刻だ。タッチパネル式注文システムをはじめとした、ITによる課題解決はここ数年でかなり浸透したものの、社会構造的な観点で見ると抜本的な解決策とはいえない。国は、外国人労働者の受け入れ拡大を解決策として推進しているが、サービスや質を売りとする業態では、外国人登用に慎重な企業も多い。一方、ファストフードなど、安さと早さを売りにする業態は外国人労働者をスムーズに受け入れており、今後の成長を後押しする施策になると期待されている。

売上金額前年比

M&A動向

外食業界では、大手企業による中小外食チェーンの買収と、海外進出にM&Aが活用されるケースがみられる。

東証マザーズ上場で、大手ラーメンチェーンのギフト(東京都町田市)は、同じくラーメン店経営のラーメン天華(栃木県那須郡)と、中華麺、餃子等の製造販売のケイアイケイフーズ(栃木県那須塩原市)を買収した。これを機に北関東での営業基盤強化を図る。

大手焼き肉チェーンのあみやき亭(愛知県)は、飲食店経営のマイフードサービス(愛知県)からしゃぶしゃぶ店2店を買収した。これを機にしゃぶしゃぶ店の運営への新規参入や牛一頭丸ごと仕入れることによるコスト削減を図る。

海外進出の事例では、「丸亀製麺」を運営するトリドールホールディングス(兵庫県)の事例がある。同社はイギリスでラーメン店「昇龍」を8店舗運営するSHORYU HOLDINGSの株の40%を取得し資本参加した。トリドールホールディングスは、海外展開を加速させ、2023年末までに同ラーメンブランドを100店舗の体制の完成を目指すとしている。同じくトリドールホールディングスは、ハワイのローカルフードの「ポケ」の業態チェーン「ポケワークス」を運営するBeyond Restrant Group,LLC(米カリフォルニア州)に資本参加する。同社は、米国8週とカナダで計19店舗を展開する。トリドールホールディングスのノウハウやグローバルネットワークを活かして、同業態の高速出店をサポートする。

ゼンショーホールディングス(東京都)は、2018年10月16日に米Advanced Fresh Concepts Corpを買収した。同社はアメリカでお持ち帰り寿司店舗を米国カナダ豪州合わせて約4000店舗を運営するトップ企業である。ゼンショーは、これを機に海外における中食事業を展開する。

企業価値の目安

上場企業のEV/EBITDA倍率の平均は17.0倍となっている。

大手外食のチェーン展開の場合、店舗の不動産は賃貸しているケースが多く、減価償却費等が抑えられるため、倍率は大きくなりやすい傾向にある。

外食業界は、スケールメリットが効くため事業買収の効果が生まれやすい。だが、M&Aの際に注意しなければならない業界特有のポイントもある。従業員の労働環境が悪ければ、改善のためのコストや人手不足に陥るリスクが高まる可能性が高い。店舗オペレーションのマニュアル化状況もチェックしておくとよい。また、飲食店経営は仕入れがブランド力を形成している可能性もあるため、会社を引き継いだ後も継続して仕入れられるような環境を整えることが重要だ。

企業価値