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M&A業界動向 警備業

警備業業界基本情報

市場規模 成長率
3.3兆円 4.4%増
業界定義 他人の委託に基づき、事故などの発生を警戒し、防止する業務を行う
(警備業法)
市場規模 3兆2675億円
(警察庁「平成23年における警備業の概況」)
成長率 4.4%増
(警察庁「平成23年における警備業の概況」)
業界シェア 売上高を見ると、業界大手のセコムと綜合警備保障(ALSOK)が全体の約2割を占める。全国で約9058社ある警備業者のうち、約89%は警備員数100人未満の中小零細企業が占める。

警備業業界分析

日本に警備業が誕生したのは1962年とまだ歴史が浅い。だが、1990年には売上高1兆円を突破し、97年には2兆円、2003年には3兆円と急速に拡大してきた。2007年に3兆5600億円でピークを迎えた後、翌2008年のリーマンショック以降は減少傾向が続いていたが、2011年には3兆2600円に回復。家庭における防犯意識の高まりを背景に、堅調に推移している。

警備業者の業務はオフィスビルの守衛から交通誘導、建物にセンサーを設置し、異変を察知したら警備員が駆けつける「機械警備」など幅広い。警備業者の9割以上は常駐・巡回警備や交通誘導を手がける。一方、機械警備を行う業者は741社と全体の一割にも満たない。だが、機械警備の対象施設は過去10年間に渡って増え続けており、現在は262万8574件。じつに2002年(116万4542件)の約2.3倍という急成長ぶりである。

大規模災害の発生や犯罪の凶悪化など、社会不安も危機管理に対するニーズを喚起する一因となっている。機械警備の対象は会社から店舗、工場、病院、学校、個人宅に至るまで多種多様。ATMを導入するコンビニエンスストアの増加に伴い、現金運搬業務の需要も拡大している。大規模イベントの雑踏警備、空港や原子力発電所などの重要設備の警備、一般家庭向けのホームセキュリティなど警備業のすそ野は広がる一方だ。

異業種から警備業に参入する大企業も続出している。現金輸送の警備を主力とするアサヒセキュリティはもともとダイエーの店舗売上金を運搬する子会社として設立。MBOによる独立を経て、豊田自動織機の全額出資子会社となり、手広くビジネスを展開する。異業種から参入の大半は雇用対策の一環。しかし、親会社への依存を脱却し、グループ外の契約獲得を目指し、積極的な事業拡大を図る企業も見受けられる。

警備業界では、セコムや綜合警備保障といった業界大手・準大手がM&Aや業務提携を通じて、異業種に乗り出す動きも盛んだ。セコムは1998年に中堅損害保険会社を買収し、保険事業に進出。他にもメディカル事業から防災、不動産に至るまで全方位的に家庭生活全般を支援する複合サービスを展開。一方、綜合警備保障は2013年2月、在宅介護や有料老人ホーム事業などを展開するツクイとの業務提携を発表。同年4月より介護とセキュリティのノウハウを融合した救急対応サービスを始める。

さらに、海外企業との合弁会社を設立するなど、海外進出も活発化している。セコムは台湾、韓国、中国、タイ、マレーシア、シンガポールなど11の国と地域でセキュリティビジネスを展開。綜合警備保障もタイ、中国、マレーシアに続き、2013年にはインドネシアに進出する。人件費の高騰から日本企業が生産拠点などを他のアジア新興国に分散させる動きを背景に、アジア新興国における警備需要は今後ますます高まるものと予測される。

警備業業界のM&A動向

警備業界はM&Aが活発な業界のひとつである。業界最大手のセコムはもともと、M&Aに積極的な企業として知られ、合併・吸収を通じて事業領域を拡大してきた。とりわけ、インフラ整備など大がかりな設備投資が求められ、スケールメリットを享受しやすい「機械警備」が主流になるにつれ、M&Aに乗り出す企業が続出している。

2012年にはセコムが防災品メーカーのニッタンを子会社化し、防災事業を展開。同年、綜合警備保障は防災機器大手であるホーチキへの出資比率を引き上げ、関係を強化すると共に、商品の共同開発などを手がける。防犯意識の高まりなど心理的ニーズが増える一方で、事業法人向けの伸びは鈍化するなど懸念もあり、グループ化による経営基盤の強化は重要課題とされる。

中小企業にとって、多大な初期投資が必要な「機械警備」は手を出しづらく、後継者不足などから廃業を余儀なくされるケースも後を絶たない。こうした企業を大手企業がM&Aを通じて、傘下におさめる事例も多い。経営の安定はもちろん、経験豊かな人材を確保できるという魅力も捨てがたい。今後、M&Aによる大企業の多角化、中小企業の統廃合はますます進むだろう。

警備業業界における企業価値の目安

警備業のニーズの高まりにより、対象としている8社の営業利益はすべて黒字となっている。加えて、機械警備のための設備投資により減価償却費の金額も多額であり、さらに8社中7社が現預金が借入金を上回っていることから、各社のEBITDA倍率は総じて低くなっている。

警備業の特色として、人件費の割合が高いことが挙げられる。機械警備により建物等に常駐する人員は減少しているが、現場に駆けつけるための人員が一定数必要であるので、人件費を大幅に削減することができないのが現状である。固定費の割合が高いことで売上が減少した際に業績がより悪化するリスクがあるため注意が必要である。

「警備業業界分析」に記載の通り、機械警備を行っている会社は全体のごく一部であるが機械警備の需要は増加しており今後も成長が見込まれる。機械警備では警報を受けてから25分以内に現場に着くことが警備業法で定められており、機械警備を新たに始める場合や新たな地域へ進出する場合には、人員が一定時間内に到着するための体制を一から整備する必要がある。拠点網拡充のためのM&Aが今後は増加すると予想される。

関連情報

関連法規

  • 警備業法