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M&A業界動向 出版・書店

出版・書店業界基本情報

市場規模 成長率
1.6兆円 3.3%減
業界定義 出版業とは、主として書籍、教科書、辞典、パンフレット、雑誌、定期刊行物などの出版を行う事業所。書店(書籍・文房具小売業)とは、主として書籍及び雑誌を小売する事業所。
(総務省日本標準産業分類より)
市場規模 1兆6,823億円
(出版科学研究所「出版月報」より)
成長率 3.3%減
(出版科学研究所「出版月報」より)
業界シェア 出版業界トップは、集英社で売上高1,253億円、第2位は講談社で売上高1,202億円、第3位は小学館で売上高1,065億円。書店業界トップは、紀伊国屋書店で売上高1,067億円、第2位はジュンク堂書店で717億円、第3位は有隣堂で502億円。(2014年3月期)

出版・書店業界分析

2013年の出版販売金額は、前年比3.3%減の1兆6,823億円だった。この数字は、ピークだった1996年と比較して約63%に過ぎず、9年連続で販売額が減少し続けている。販売部数で見ると、雑誌の落ち込みが大きく、特に週刊誌はピーク時の1/3まで減っている(※1)。

出版業界の主要プレイヤーは、小学館・集英社を中心とする一ツ橋グループ、講談社と光文社を中心とする音羽グループ、コングロマリット化を進めるKADOKAWA、文芸系出版の老舗である新潮社、岩波書店、文芸春秋社、それに加えて情報・教育出版のベネッセ・ホールディングス、学研ホールディングス、リクルートなどが名を連ねる。それに加えて国内には約3,500を超える出版社が存在するが、その大半は従業員数10人以下の中小零細企業である。

出版社の主な収益源は、雑誌の広告収入と本の販売収入だが、近年は広告収入が大幅に減少している。そのため、大手出版社は「ヒット作品が出るか否か」に売上が左右される経営状態に陥っている。ちなみに、講談社は2013年11月期の決算で19年ぶりの増収増益を記録したが、これもマンガ「進撃の巨人」と小説「海賊と呼ばれた男」がヒットしたおかげであり、雑誌部門に限れば売上は前年比5%以上落ち込んでいる。

こうした苦境の中、各社は電子書籍が新たな収益源になると期待しているが、市場規模はまだ1,013億円(※2)に過ぎず、市場回復の牽引役とまではいえない状況だ。

出版社よりさらに厳しいのが、書店業界である。日販の調査によれば、1999年から2014年までの16年間に全国で8,353軒の書店が姿を消したことがわかっている(※3)。商店数減少の要因は、経営者の高齢化や後継者不足による転廃業に加えて、競合の激化、資金繰りの悪化などである。閉鎖した店舗は、主に中小書店、零細書店や古くからある町の書店だ。しかし、店舗数が減少する一方で、売場面積は増加傾向にある。つまり、競争力、採算性が劣る中小零細書店の閉店する一方で、座り読みができるような設備や、カフェを併設したり、品揃えやサービスを拡充して販売力を強めた大型書店が増え、売上シェア拡大してきたといえる。とはいえ、業界トップ3の紀伊国屋書店、ジュンク堂書店、有隣堂でさえ、売上高は軒並み前年を下回っているのだから、経営環境は厳しいと言わざるを得ない。書店が生き残っていくには、さらなる大型化・多角化を進めて出版社や取次との交渉力を強化し、収益を高めていく戦略が必要になるだろう。

(※1)出典:出版科学研究所「出版月報」
(※2)出典:インターネットメディア総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2014」
(※3)出典:日本出版販売「出版物販売額の実態」

出版・書店業界のM&A動向

厳しい経営環境に追い込まれた出版社や書店は、M&Aを最大限に活用して古い体質からの脱却を図っている。 業界で最も活発な動きを見せているのは、KADOKAWAである。同社は、2009年にビジネス書・実用書・語学書を出版する中経出版(東京)、2012年にリクルートから雑誌・書籍・ゲーム事業を展開するメディアファクトリー(東京)、2013年には連結子会社9社(角川書店、アスキーメディアワークス、角川マガジンズ、メディアファクトリー、エンターブレイン、中経出版、富士見書房、角川学芸出版、角川プロダクション)を吸収合併し、社名をKADOKAWAに変更。同年12月に汐文社(東京)、2014年4月に中堅ゲーム会社のフロム・ソフトウェア(東京)を買収、5月には動画共有サービス「niconico」を運営するドワンゴ(東京)と経営統合し、巨大なメディアコングロマリットとなった。

「TSUTAYA」や「蔦谷書店」を展開するカルチャーコンビニエンスクラブ(CCC)は、2014年6月に電子書籍サービスを手掛けるBookLive(東京)、7月に「Pen」「ニューズウィーク日本版」「フィガロジャポン」を発行する阪急コミュニケーションズ(東京)の出版部門を買収した。CCCは、以前にもエスクァイアマガジン・ジャパン(東京)、ネコ・パブリッシング(東京)といった出版社を買収している。同社は、自社で出版事業を手掛け、自社販路で販売する書籍のSPA化を狙っているのではないかと推察される。5,000万人近い会員数を誇る「Tカード」のビッグデータを活用すれば、適正需要を割り出し、自社販路での販売により返本率を下げ、生産・管理コストを下げることも可能になるだろう。

紀伊国屋書店は、2013年4月に文具の製作販売、文具店経営のエヌ・ビー・シー(東京)を買収。新たな企画商品・新規仕入先の開発に取り組み、書店内の重要アイテムである文房具販売の活性化と拡大を目指している。

ゲオホールディングスは、2013年11月に書籍販売、DVD・CDレンタル複合チェーンのファミリーブック(群馬)を買収した。同社は、DVD・CDレンタルからゲーム・書籍などの新品販売・中古買取販売を手掛ける「GEOショップ」を中心としたメディア事業の強化に注力している。

このように各社、紙の出版や書籍販売という枠を超えてネットメディアを取り込んだり、新たな収益源の確保に向けて周辺事業の拡張、売り場面積の拡大などを目指して積極的にM&Aを展開している。

出版・書店業界業界における企業価値の目安

規模の大きい出版社ほど、印税・原稿料に加え、広告宣伝費やその他営業費の割合が大きく、利益が出にくい構造になっている。書店経営は、売上高に対する流動負債の割合が大きいため、常に経営が自転車操業に陥りやすい。近年、大手書店チェーンでは、書籍・文房具だけに頼らず、雑貨販売やカフェ経営などに乗り出す店舗が増えており、こうした新規事業の成否が今後の企業価値を左右する要因となる可能性が高い。

EV/EBITDA倍率は平均で6.14倍で、2~10倍台で約64%を占めている。

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