2018年業界ニュース

2018/08
ビルメン虎の穴:Vol.8
ビルメンとロボット。誰も経験したことのない未知の領域の可能性は無限。

前回までの本稿が、ビルメンでのロボット導入を推奨するような内容であったとご覧になられた方も多いと思います。矛盾することを言うようですが、私はビルメンロボットに可能性を感じていますが、導入が「必須」であるとは考えていません。

大切なのは、企業が「社会や時代の変化に、適切に対応できる」ことだと考えています。社会や時代の変化(政治、経済、技術の進歩、国民の嗜好、国際情勢、等々)は、企業や業界団体が変えることは、実質、不可能です。変えることのできない変化に対し、企業が適切に対応し、どう順応していくかが求められます。

極論すれば、まだ日本の人口が増加傾向で、かつ技術レベルが「ロボットは遠い未来の創造の産物」でしかない状況であれば、ロボットの導入を考える必要はありません。しかし実際に人口が減少し、ロボットの活躍が現実味を帯びているなかで、この状況を放置することは業界にとってリスクが非常に高いと言えます。

設備管理業務分野では、清掃分野に先じてIOT、AIを活用したサービスが始動しつつあります。空調機器などの個別の設備機器にセンサーや制御装置、通信装置が取り付けられ、無人で適切な運転をするとともに、故障等の異変の前兆が事前に察知され、通信によってメーカーに自動的に伝わり、不具合が発生する前に保守されるサービスが本格化しつつあります。こうした変化に対し、私たちビルメンがどう対応し、順応していくかを考えることが大切ではないでしょうか。

なにやらマイナスなことばかり言うようですが、私はここに新たなチャンスも眠っているのではないかと想像しています。変化とは、往々にして誰にとっても未知の領域であることが多いと思います。変化を敏感にくみ取り、これをプラスにする工夫をしてサービスを提供できれば、まだ誰も考えついていない「新たな価値」を提供できるチャンスと言い換えることもできましょう。

まだ本格的に普及していないロボットを使った「新たな価値」も、今後の工夫によって創造は十分に可能と考えており、前回までの本稿でご紹介したとおりです。

繰り返しになりますが、ロボットは「新たな道具の一つ」でしかありません。この新たな道具を使い、ビルメンのお客様(ビルオーナー、施設管理者)のベネフィットをどう掘り起こし、満たしていくか。誰も経験したことのない未知の領域だからこそ、可能性は無限に広がっていますし、挑戦のしがいもあるのではないでしょうか。

全国協会では、引き続き日本ビルメンロボット協議会(旧ビルメンテナンスロボット普及促進コンソーシアム)等と連携し、業界の声(ニーズ)をメーカーに届けるとともに、皆様に最新のロボット情報を提供して参ります。

(月刊ビルメン「ビルメン虎の穴」8月号より)

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