2018年業界ニュース

2018/07
ビルメン虎の穴:Vol.7
ビルメンロボットの本格活用に際して超えなければいけない、3つのハードル

ビルメンテナンス業界がロボットを本格的に活用していくためには、もちろん超えなければならない、いくつかのハードルがあります。 大きく分けると、3つのハードルがあると考えます。(1)ロボットそのものの性能(作業性能、使いやすさ、安全性など)の課題、(2)ロボットを配置する施設所有者(ビルオーナーなど)の理解、(3)ロボット使う側のビルメンテナンス事業者(経営者、従事者)の意識です。

(1)については、前回の本稿で触れたように、いまメーカー等によって規格化(JIS化)が動き始めました。また、近く予定されている5G(第5世代移動通信システム)の本格提供や、自動運転車のレベル4(限定地域での無人自動運転移動サービス)の市場化期待時期が2020年に設定(※)されるなど、技術の進歩は加速する一方です。ロボットメーカーも、ビルメン側のロボットに対するニーズの吸収に積極的なため、遠くない将来、ビルメン・ニーズにマッチした高性能ロボットが実現することは想像に難くありません。※「官民 ITS 構想・ロードマップ 2017」による。

(2)については、施設所有者が一番気にする「安全性」については、技術の進歩や規格化によってクリアされると思われます。それより重要なのは、いまのビルメン・サービスの提供形態に鑑みると、清掃業務のロボット化は「従事者数の減少」と捉えられ、人工計算に基づく受託金額の低下が心配されることです。

しかし、ビルメン以外のサービスを見てみると、例えば公共交通機関で無人運転されているもの(東京の「ゆりかもめ」など)が多数ありますが、人が運転しないからといって、他の交通機関より運賃が安いということはありませんし、安くしろという声があがることもありません。これは、乗客が「移動すること」というベネフィットに対価を払っていることを認識している、つまり「自分の意図どおりに移動できれば、人が運転しようが自動で運転されていようが構わない」と納得しているからでしょう。

同様に考えるならば、ビルメン・サービスも提供者が人であれロボットであれ、清掃した「結果」、例えば清潔、快適、資産価値向上等のベネフィットに対して対価をいただける仕組みに変えていく努力が、業界には求められます。

そのために、まず(3)ビルメン事業者の意識の改革が必要です。ビルメン事業者が旧来の意識のまま「ロボットは使えない」「金額が下がる」と、できない理由を並べて手をこまねいているうちに、他産業等の第三者がロボットを使った新たな清掃サービスを展開しはじめてしまった場合、ビルメンの代替リスクが現実味を帯びるものと考えます。

(月刊ビルメン「ビルメン虎の穴」7月号より)

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