2018年業界ニュース

2018/06
ビルメン虎の穴:Vol.6
ビルメンロボットの登場によって、ビルメンテナンス業の将来はどんな進路に進むのだろうか。

 国の後押しもあって、いまあらゆる分野でロボットや自動運転技術の活用が盛んになっています。ビルメンテナンスにおいも、自動床洗浄機、バキューム、窓拭き機など、さまざまな業務用清掃ロボットがラインナップされています。ロボットメーカー等で構成される「ビルメンテナンスロボット普及促進コンソーシアム」の活動も活発化しており、今後ますますビルメンロボットは高性能に、使いやすく、安全に進化していくと思われます。全国協会でもコンソーシアムや日本環境管理学会と連携し、ビルメンロボットの規格化や評価基準づくりを支援することとしています。

 さて、皆さんはビルメンロボットについて、どのような感想をお持ちでしょうか。私が聞いたものでも、「人がやった方が効率的で、とても使いものにならない」「人口が減っているのだから、生産性向上のためには絶対に必要」「ロボットに仕事を奪われるのではないか」などなど、賛否さまざまなご意見がありました。

 先月の本稿で、将来的なビルメンテナンスの代替リスクについて触れました。私は当面、ビルメンテナンスがロボットに代替されるとは考えていませんが、ビルメンロボットが高性能に、操作が簡単になれば、例えばビルオーナーが導入して、ビルメンテナンスのお払い箱リスクが高まる、と考える方は少なくないようです。実際、大手不動産会社がメーカーとロボットを共同開発したという報道もありました。技術の進化や人口の減少を止めることはできませんので、このような動きは今後も進むことが予想されます。しかし、ではビルメンテナンス事業者は完全にロボットに代替されてしまうのか?と問われれば、私は「否」と考えます。

 ロボットというと、SF映画のように「人間に替わって、全自動で完璧に作業をこなす」というイメージがついて回りますが、ロボットは道具の一つです。ロボットが完全に人間の作業を代替することはできませんので、ロボットと人が協働することが前提になります。つまりロボット単体ではなく、ロボットを使った清掃作業全体で捉え、最も効果的・効率的に成果を出すために「人間が」運用計画を立て、準備をし、ロボットを運用し、成果を測ることが必要です。他の機械でも、同じ性能であっても使う人によって成果がまったく異なるのと同様、ロボットの最高のポテンシャルを引き出すのはビルメンテナンス事業者にしかできません。ロボットの「運用技術」を持つことで代替リスクを避けるどころか、ビルメンテナンス事業者がいなければ、ロボットは成果を発揮できなくなります。

 冒頭でお伝えした、コンソーシアムが進めているビルメンロボットの規格化は、ビルメンテナンス事業者がロボットを使い、ビルオーナーやビル利用者に貢献することを前提として進められています。

(月刊ビルメン「ビルメン虎の穴」6月号より)

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