2018年業界ニュース

2018/04
ビルメン虎の穴:Vol.4
何がオーナー、テナントのためになるのかを考え、オーナーに寄り添い、問題を解決する頼れる存在になること。

 本連載の1回目で触れたように、いままでのビルメンテナンスの価値は「ユーザーが自社の中核業務でないところの雇用を外部に求め、人事管理面での負担を軽減する」こと、つまり「労務の煩わしさから解放され、しかも安価」ということは、多くの方が認識されているところだと思います。もちろん「いままでの」と言っても「過去のもの」ではなく、現在でも多くのユーザーから求められている価値であることは間違いのないところです。

 一方で、現在はビルメンテナンス技術が円熟化し、高度な教育によって技術者が均質化し、ビルメンテナンス資機材が高度化したことで、業界全体で、高品質で安定したサービスが提供できるようになりました。ユーザーにとっては「いつでも高品質のサービスが受けられる」わけですが、裏を返せば各事業者のサービスや品質に特筆すべき差異がなく、サービスがコモディティ化していると言うこともできます。

 ビルメンテナンスの価値が「労務の煩わしさから解放され、しかも安価」のままで、各事業者のサービス品質がほぼ同じならば、ユーザーが「安ければどの事業者でも良い」、さらに言えば「ビルメンテナンス事業者でなくても構わない」と考えるのは、ごく自然なことです。事業者選択因子が「価格のみ」であるのは誰も望みませんから、だからこそいま、新たなビルメンテナンスの価値を創出する必要があると、全国協会は考えています。

 前回の本稿で触れましたが、牧野知弘氏(オラガ総研)は講演のなかで、今後のビルメンテナンスの価値は「何がオーナーのためになるのか、何がテナントのためになるのかを考え、オーナーに寄り添い、問題を解決してくれる頼れる存在になること」と提言されました。ユーザーが「労務の煩わしさから解放され」るだけではない、新たなビルメンテナンスの価値を生み出し、提供し、コモディティ化を脱することを考えたとき、そこには新たな技術も必要になるでしょうし、ビルメンテナンスの品質は「どれくらいユーザーの経営に貢献したか」「どのようにエンドユーザーに喜ばれたか」といったものになり、従来のビルメンテナンスが(例えば清掃で)品質の指標としてきた「清潔度、汚染度、光沢度」などではなくなることも想像されます。

 全国協会が進めている新たなビルメンテナンスの価値の創出は、一人でも多くのビルメンテナンス経営者の皆さまとともに、叡智を結集しなければ実現できないと考えています。いま、そのための仕掛けを構築中ですので、ご案内の際には、ぜひお力添えいただければ幸いです。

(月刊ビルメン「ビルメン虎の穴」4月号より)

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