2018年業界ニュース

2018/01
ビルメン虎の穴:Vol.1
ユーザーとビル経営上の課題を共有し、ともに建物に求められる社会的需要を満たす!

 突然ですが、ビルメンテナンスの「価値」とは何でしょうか。ビルメンテナンスに限らず、物品でもサービスでも、お客様がそこに何らかの価値を見いだし、対価を支払って受け取ることで売買は成立します。では、ビルメンテナンスのお客様(以降「ユーザー」といいます)は何に価値を見いだして、サービスを買っているのでしょうか。

 ビルメンテナンスのユーザーは、ほとんどが建物資産を用いて経済活動を行なう不動産経営者(ビルオーナー)や管理者等、いずれも一般消費者ではないため、基本的にはBtoBということになります。いまほど個人ニーズが多様化し、BtoCビジネスが複雑になっている時代もないと思いますが、法人のニーズはBtoCほど複雑ではなく、端的に言えば「自社の経済活動に貢献してくれる何か」であることは間違いないと思われます。

 そういう意味で、これまでのビルメンテナンスの価値は「ユーザーが自社の中核業務でないところの雇用を外部に求め、人事管理面での負担を軽減する」こと、つまり「労務の煩わしさから解放され、しかも安価」ということだと言われてきました。このニーズが、その後の新設ビルの増加、ストック量の累積も背景として、ビルメンテナンスの急速な伸張を支えてきたと言うことができます。

 こうしてビルメンテナンスは成熟期を迎えましたが、一転、日本経済が停滞し、既存のサービス商品の量的拡大が止まると、サービス内容の差別化の困難さも相まって、価格競争の負のスパイラルが顕著に表れてしまいます。ビルメンテナンスに求められる新たなニーズを見いだせないまま、事業環境の悪化が刻々と進んでしまっているのが現状だと思われます。

 一方でユーザーは、顧客はテナントであり、ビル利用者個人であるため、BtoBもBtoCも含めた建物に対するあらゆる社会的需要の変化を敏感に汲み取り、これに応えることで経済活動を行っています。そのユーザーの「自社の経済活動に貢献してくれる何か」というニーズを満たすには、ビルメンテナンスもユーザーと同じように変化を敏感に汲み取り、応えることが求められます。言い換えれば「ユーザーとビル経営上の課題を共有し、ともに建物に求められる社会的需要を満たす」ことが、新たなビルメンテナンスの価値ではないかと考えます。ユーザーのお客様(テナント、ビル利用者等)に一番近い位置にいるビルメンテナンスこそが、それができる強みを持っているのではないでしょうか。

 全国ビルメンテナンス協会が進めている「ビルメンテナンス・サービスの新しい仕組みの開発」事業は、まさにこれを具現化しようとするものです。開発はまだ途上であり、今後さまざまな分野の英知を結集させ、ユーザー、テナント・ビル利用者、ビルメンテナンスの三者がWin-Winの関係となれる仕組みの完成を目指していくこととしています。

(月刊ビルメン「ビルメン虎の穴」1月号より)

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