2017年業界ニュース

2017/12
環境省が検討開始:環境配慮計画
建築物の維持管理も追加へ

環境省の「環境配慮契約法基本方針検討会」(座長=山本良一・東京大学名誉教授)は、環境配慮契約法の基本方針を改正して建築物の維持管理業務を環境配慮契約の対象に追加する検討を開始した。建築物を運用する維持管理業務で温室効果ガスの排出削減を図る。

「環境配慮契約法」は、国などが物品や役務の委託契約を結ぶ際に温室効果ガスの排出削減など環境保全に優れた契約を選定する仕組みをつくるもので、2007年11月に施行された。

同様の目的で運用されている「グリーン購入法」が物品や役務の「環境性能」を規定して購入を促進するのに対し、「環境配慮契約法」は「契約の方法」を規定する。契約では、価格中心の「一般競争入札」ではなく、価格に加えて受託希望者が提案した企画内容を総合的に評価する「プロポーザル入札」が採用される。

対象などは同法の「基本方針」で定められており、現行の基本方針では「電気の購入」「自動車の購入と賃貸借」「船舶の購入」「省エネルギー改修(ESCO事業)」「建築物設計」「産業廃棄物の処理」の6分野について環境配慮の内容や手続きを定めている。

今回は、建築物の運用段階で対策を講じる維持管理で温室効果ガスの排出削減などの環境保全対策を図ることになり、環境配慮契約の対象に追加するのを検討することになった。

検討会は2017年度に建築物の維持管理に関する情報を収集するとともに、維持管理業者へのヒアリングなどを行ったうえで建築物の規模や用途による導入可能性を検討する。対象となる業務範囲や具体的な契約類型に関する検討を進め、12月にも追加の方針を固める。2018年度に閣議決定する予定の新たな環境配慮契約法の基本方針に追加することをめざす。

なお、建築物の維持管理業務における環境保全対策はビルメンテナンス業界が貢献できる分野となる。(公社)全国ビルメンテナンス協会が展開する「エコチューニング事業」では同様の取り組みがすでに行われている。

また、環境配慮型プロポーザル入札の導入は入札契約制度の改善をめざすビルメン業界への波及効果が大きいとみられ、環境配慮契約への維持管理業務追加はビルメン業界の追い風となりそうだ。

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