2017年業界ニュース

2017/07
入札制度改革:東京都
予定価格、事後公表に切り替え

東京都は、建設工事に適用する入札契約制度の2017年度実施方針を決定した。それによると、発注部局や工事規模・業種を問わず、すべての案件で予定価格の事前公表を事後公表に切り替えるとともに、参加要件のうちJVの結成義務を撤廃するというもの。一方、財務局の発注案件においては、参加希望者が1者しかなかった入札(1者入札)の原則取りやめ、低入札価格調査制度の全面導入にも踏み切る。

今回の一連の取り組みは、1年間の試行という位置付けで、財務局案件は2017年6月、他の部局案件では10月をめどにそれぞれ適用が開始される。試行から半年後に外部有識者らと組織する都政改革本部で中間報告をまとめ、改善を検討する。

予定価格の事前公表はこれまで、不正な情報漏洩の防止などに対して効果を発揮してきたが、都政改革本部の提言を踏まえ、競争性確保の観点から事後公表を原則とすることとなった。例外的措置として、施工者が決まらない入札不調が複数回発生している工事では事前公表を行なう。

また、予定価格の漏洩防止のため、「予定価格決定過程の見直し」「情報の厳格な管理」「不正行為の報告制度の活用」などに取り組む。 さらに、一部の財務局発注案件に導入されているJV結成義務も廃止し、すべての入札で単体企業の参加を認める。JV結成の場合の構成員数は原則3者以内とする。WTO政府調達協定が適用されない財務局案件では、中小企業を含むJVでの参加者に評価点を与える総合評価方式を併用することで、中小企業の受注機会を確保する。

今回の入札改革は、大規模工事における予定価格に対する落札額の割合(落札率)の高止まりがきっかけとなったもので、豊洲市場(江東区)や2020年東京五輪の競技会場などで落札率が99%を超す例が続出し、小池都知事が「高価格体質」と問題視したことや、「税金の賢い使い方」につなげるため改革案が検討されてきた。

これを受け建設業界からは、「赤字覚悟の価格競争が頻発しかねない」「予定価格が事前公表でなくなればひそかに価格を探る動きが出る。談合の疑念を持たれかねない」と現行制度維持を求める声も出ている。

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