2017年業界ニュース

2017/02
事業承継マニュアル:中小企業庁
後継者の育成解説

中小企業庁は、中小企業経営者のための「事業承継マニュアル」を作成した。中企業にとって喫緊の課題である事業承継について後継者の教育方法などの課題と対策をわかりやすく解説している。

60歳以上の中小企業経営者の半数が廃業を予定しているという。引退する年齢は平均すると67~70歳程度となる。理由は後継者難をあげる経営者が28.6%に達し、背景には息子や娘の職業選択の自由をより尊重する考え方の広がりや、事業承継にともなうリスクに対する不安の増大があると指摘されている。

このため中企庁は2016年12月に、中小企業者が円滑に事業承継を実現する「事業承継ガイドライン」を10年ぶりに改訂した。今回は事業継承にともなう課題と対策をわかりやすく解説する「事業継承マニュアル」を作成した。

マニュアルは、「事業継承計画の策定方法」「後継者の選び方と教育方法」「事業継承にともなう税負担と対策」「資金調達」「個人事業主の事業継承」などで構成している。また、国の「事業引き継ぎ支援センター」「よろず支援拠点」のほか、商工会議所、弁護士などの支援体制を解説するとともに、自社の事業承継に向けた取り組み状況が把握できる「自己診断チェックシート」を掲載している。

事業承継計画は、会社、経営者、後継者それぞれの具体的な行動を明らかにするもので、経営者が1人で考えるのではなく後継者、親族、取引先、従業員、金融機関などとの関係を考慮しながら策定するのが重要だとしている。

単に「計画書」をつくることが目的ではなく、経営者と後継者が事業承継という共通の目的意識を持って計画を策定するプロセスも事業承継を着実に進めるための土台となると指摘している。

後継者については、経営者に発言権や決定権のあるうちに決定することが理想的だとしたうえで、事業承継をスムースに実行するためには後継者本人が意欲的に経営に関する知識、実務経験の習得に取り組むことが欠かせないとしている。

「事業承継マニュアル」は紙媒体での配布はせず、中企庁のホームページからダウンロードできる。

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