M&Aの業界動向 自動車業界

2015年 業界動向(その他)

業界定義
自動車及び部品の卸売・販売する事業所、自動車の整備修理を行う事業所、動車を賃貸する事業等
業界シェア
中古車販売の業界トップは、ガリバーインターナショナルで売上高は1434億円、カー用品販売の業界トップはオートバックスセブンで売上高2301億円、オートリース業界の業界トップはオリックスで売上高1兆656億円(自動車以外のリース事業含む)となっている。(2013年3月期)。
市場規模
7.7兆円

(自動車用品小売業協会、到底サービス産業動態統計調査、日本自動車整備振興会連合会、業界動向SEARCH.comの資料より当社推計)

成長率
1.0%増

(自動車用品小売業協会、到底サービス産業動態統計調査、日本自動車整備振興会連合会、業界動向SEARCH.comの資料より当社推計)

(社)日本自動車販売協会連合会の統計によると、2013年の国内の中古車登録販売台数は389万台で前年比3.1%の減少となり、2012年を除き2006年から軒並み前年割れとなっている。

近年の中古車業界は、ガリバーインターナショナルを筆頭にユー・エス・エス、アップルインターナショナル、カーチスホールディングスなど買取・オークション型の企業が業界をけん引してきたが、リーマンショック以降、販売台数が減少するとともに、オークション相場も下落し厳しい時代が続く。2012年には、販売台数が前年比106.4%と増加に転じたが、これはエコカー補助金による買い替えが進み、比較的良質な中古車が市場へ流れたことによる一時的な現象と見られている。

今後も少子高齢化や若者の車離れといった構造的要因により、市場は縮小傾向にある。一方で、景気の冷え込みを背景に、近年、新車にこだわらず中古車を購入の選択肢とする消費者が増えていることは明るい兆しか。今後は国内で仕入れた中古車を海外へ輸出販売する流れが拡大すると予想される。

■中古車登録台数
出典:「(社)日本自動車販売協会連合会 (社)全国軽自動車協会連合会」

カー用品業界も若者の車離れや、景気低迷による消費者の節約志向の影響が見られる。品目ごとの売上構成比をみると、近年タイヤが比較的好調だが、これは低燃費タイヤがラインナップされ、消費者に受け入れられたからだと推察される。今後も市場が縮小傾向にあり、カー用品販売だけでは厳しいため、大手のカー用品チェーンは、車検整備などのサービスや、中古車販売、さらには海外進出などによる事業拡大を進めている。

■カー用品売上構成比(2013年)
出典:自動車用品小売業協会

自動車整備業界の最大の収益源は車検である。業界では、車検ビジネスをいかに拡大するかが生き残りのカギとなる。業界では、新車販売を展開するディーラー系販社が高いシェアを誇っているが、ローン終了後の3年、5年、7年経った車の車検は、中小の整備工場、カー用品販売店、ガソリンスタンドなどに流れることも多い。この需要をいかに取り込むかが、今後も重要になる。その厳しい競争の中で最近目立つのが、コバックやカーコンビニ倶楽部のような安価な車検を売りにするFC形態の全国チェーンだ。

■自動車整備総売上高推移
出典:日本自動車整備振興会連合会

カーリース・レンタカー業界では、カーシェアリングサービスの人気が急速に高まっている。会員数は2014年1月時点で前年比61%増の46万人を超え、車両台数は同40%増、車両ステーション数も同34%増と、市場が急拡大している。これは、景気低迷により自家用車の管理費用を削減したい消費者や、環境意識の高いエコな消費者、法人カーリースの安価な代替手段として受け入れられたことが原因と考えられる。カーシェアリングには、時間貸駐車場「タイムズ」を手掛けるパーク24など新規参入組も加わり、市場が活性化している。

■我が国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移
出典:(財)交通エコロジー・モビリティ財団

中古車販売業界のM&Aで目立つのは、愛知県のVTホールディングスだ。同社は、東海地方を商圏とするホンダ系ディーラーだが、他メーカー系販社を買収し販路を拡大してきた。2012年3月に日産サティオ埼玉、2014年3月に日産サティオ奈良を買収し、関東や近畿の販路を確保。さらに、2012年3月には英国三菱自動車の販社 THE COLT CAR COMPANY LIMITEDの株式を取得しロンドン及びイングランド南西部へ事業を拡大、2014年9月にはオーストラリアのホンダ系ディーラーを運営するScotts Motors Artarmon Pty Ltdを子会社化し、海外進出を加速している。
買取・オークション型事業の最大手ガリバーインターナショナルも、タイのビリアグループと合弁会社V-Gulliver Company Limitedを設立し、3月に海外1号店をオープン、2015年4月までにタイ国内だけで10店舗を展開する計画だ。同業のカーチスホールディングスも、2014年7月に中古車輸出事業を手掛けるアガスタ(東京)の株式を50%取得し、海外事業を強化している。

カー用品業界では、オートバックスセブンが経営効率化を進めるべく事業譲渡や事業譲受を積極的に進めている。2013年2月に直営2店舗を連結子会社の北摂オートバックスへ譲渡、四国エリアの連結子会社プリンスオートと南予オートサービス、オートバックス高知と大洋(兵庫)をそれぞれ合併。2014年5月には、連結子会社オートバックス和泉の店舗を、北摂オートバックスへ4店舗、トータルエース(大阪)へ4店舗、譲渡。同年8月には、ブックエース(茨城)が運営する水戸・日立エリアの4店舗を譲受、同じく10月にも連結子会社オートバックス秋田が太平部品(秋田)が運営していた3店舗を譲受した。一方で、2013年9月には、JX日鉱日石トレーディングと、マレーシアでカー用品販売を行っているMALAYSIAN HARVEST Sdn.Bhdと業務提携および資本参加を行い、海外へ販路を拡大している。同業のイエローハットは、2014年5月に関東圏で「バイカーズステーションSOX」25店舗を展開するウィル(埼玉)を簡易株式交換により完全子会社化した。世界各国からの直接仕入れという武器を持つウィルとのシナジー効果を発揮し、さらなる販路拡大を目指している。

自動車整備業界では、全国の事業場(工場)数、ならびに整備要員(工員)数が過去3年間連続して減少する一方、整備要員一人あたりの年間整備売上高ならびに年間給与は、過去3年間連続して増加している。これは人材不足により1人当たりの作業量が増えたことと、整備要員確保のために給与アップをはかったことが原因だと考えられる。かように自動車整備業界は、人材不足にあえいでおり、今後は、資本力の高い会社が、経営の苦しい整備工場を整備要員ごと買収する案件が増えると予想される。

カーリース・レンタカー業界では、2009年にパーク24が、マツダレンタカーを買収し業界の話題となった。その後、同社は「タイムズカーシェアリング」を開始し、カーシェアリング市場をリードする存在となった。
東京センチュリーリースは、2013年5月にニッポンレンタカーサービスの株式を追加取得して連結子会社化。オートリース事業とレンタカー事業の親和性を活かし、多様なニーズを満たす事業を展開している。
海外に目を向けると、2011年にオリックスが、インドのINFRASTRUCTURE LEASING & FINANCIAL SERVICES LIMITEDを買収し、現地で自動車リースやレンタカー事業を展開。2014年10月には住友商事が、同じくインドでカーズオンレント社からカーリース事業を買収。5か所の営業拠点と計2000台の車両を譲り受け、日系企業向けサービスを展開する予定だ。今後も、M&Aにより、新興国のカーリース・レンタカー市場に参入する企業が増加すると予想される。

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