M&Aの業界動向 ビルメンテナンス

2013年 業界動向

業界定義
ビルを対象として清掃、保守、機器の運転を一括して請け負い、これらのサービスを提供する業(ビルメンテナンス業)および主としてビルなどの建物を対象にして清掃、保守、機器の運転、その他維持管理についてサービスを提供する業(その他の建物サービス業)
(総務省日本標準産業分類より)
業界シェア
小規模企業が多いため、業界トップの企業でも市場シェアは数%程度。
市場規模
3.6兆円

(平成20度社団法人全国ビルメンテナンス協会調査)

成長率
6.8%増

毎年増加しているものの、増加率は停滞している。

関連法規
ビル衛生管理法、水道法、浄化槽法、廃棄物処理法、労働基準法、労働安全衛生法、労働者派遣法、
建築基準法、区分所有法、マンション管理適正化法、駐車場法、電気事業法、電気工事士法、
高圧ガス取締法、省エネルギー法、警備業法、消防法

業界構造を見ると、資本金2千万円未満、従業員数100名以下の中小企業が過半数を占め、業界トップ企業のシェアは数%未満である。安定したストックビジネスの代表格として知られるとともに、多額の初期投資を必要とせず資金面での参入障壁が低いのも特徴で、M&A等により新規参入を志向する企業も多い。

ただ、国内における建物のストックが急激に減少することはないという好条件がある一方で、新規の建物が極端には増えないというジレンマも抱える。ビルメンテナンス市場の需要の停滞により、いったん料金を値下げすると、その後値上げをするのが難しくなる点が、懸念材料として挙げられている。

持続的な成長を遂げるには従来の事業領域に加えて、新たな事業の柱を育成することが重要となる。建物保全などのサービス分野、周辺業務としての各種ファシリティサービスやマネジメントサービスの他、様々な方向で新規事業に取り組む動きがある。このような状況を考えると、新たな市場とパートナーを開拓すべく、M&Aや事業の統廃合、提携は活発化するものと考えられる。

また、ビルメンテナンス業は、オーナー社長の高齢化が進んでおり、後継者問題が深刻化している点にも着目すべきである。ストライクが関与したM&Aのうち、後継者不在を理由としたM&Aが全体で5割となっている中、ビルメンテナンス業で算出すると実に9割となっており、その傾向が顕著である。更に、ビルオーナーのコスト意識から受注単価は未だ改善されず、生き残りをかけた規模拡大が求められる。後継者問題の解消や規模拡大のためのM&Aが、今後加速していく事が想定される。

ビルメンテナンス業は成長産業のイメージがないため、時価総額が純資産を下回る企業は10 社中7 社(70%)となっており、4 社(40%) にいたっては純資産の半分以下の評価しか得られていない(図参照)。このようにビルメンテナンス業は、アベノミスクによる株価上昇の恩恵が少ない業界といえる。

上場ビルメンテナンス会社の株価純資産倍率(時価総額÷純資産) 図:株価純資産倍率

逆にM&A市場では少数の売り案件に対して買い手が殺到する「売り手市場」となっているため、のれん付きでの売買( 純資産を上回る価額での売買) が多い。ストライクが2013 年12 月に関与したビルメンテナンス業のM&Aにおいては、純資産の約1.4 倍の価額で売買が行われた。

未上場のビルメンテナンス会社の経営者が、創業利潤を実現する方法としては株式公開(IPO) よりもM&Aでの売却のほうが圧倒的に有利である。

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