M&Aの業界動向 ビルメンテナンス

2011年 業界動向

業界定義
ビルを対象として清掃、保守、機器の運転を一括して請け負い、これらのサービスを提供する業(ビルメンテナンス業)および主としてビルなどの建物を対象にして清掃、保守、機器の運転、その他維持管理についてサービスを提供する業(その他の建物サービス業)
(総務省日本標準産業分類より)
業界シェア
小規模企業が多いため、業界トップの企業でも市場シェアは数%程度。
市場規模
3.6兆円

(平成20度社団法人全国ビルメンテナンス協会調査)

成長率
6.8%増

毎年増加しているものの、増加率は停滞している。

関連法規
ビル衛生管理法、水道法、浄化槽法、廃棄物処理法、労働基準法、労働安全衛生法、労働者派遣法、
建築基準法、区分所有法、マンション管理適正化法、駐車場法、電気事業法、電気工事士法、
高圧ガス取締法、省エネルギー法、警備業法、消防法

東京圏と近畿圏の2地域で全体の5割を超える都市型産業である。

資本金2千万円未満、従業員数100名以下の小企業企業が5割を超え、業界トップ企業のシェアは数%未満である。

人件費関連費用が総費用に占める割合の高い労働集約型産業である。また、従業員はパートタイマーや臨時アルバイトなど非正規割合が高い。

厳しい経済情勢の影響でビルオーナー等の顧客のコスト意識が高まり、受注単価の下落傾向が続いている。また団塊世代の大量定年によるオフィス人口の減少予測などがあり、景気回復後も市場と需要環境の著しい好転は見込めない。

特定建築物棟数

新規物件の受託が困難であることや、人材の確保が困難であることから、シェア拡大のためのM&Aが行われており、今後も継続していくと想定される。

主要企業による近年のM&Aとしては、ビルメンテナンス業界売上高首位のイオンディライトが環境整備、ドゥサービスの株式を取得している。

他方、ビルメンテナンス業界は従来までの清掃、保守を中心とした業務だけでは成長は困難になると考えられることから、保有する施設・設備を単に維持保全するだけでなく、改善することによる資産価値の向上を目指ことにより収益性を高める為のサービスを提供するために、新規分野への進出を目的としたM&Aも行われていくことも想定される。2008年に日本管財は資生堂開発の株式を譲り受けるとともにファシリティマネジメント業務全般の業務受託を行っている。イオンディライトは2010年9月にバックオフィスサポート業を営むチェルトと合併することにより、総合ファシリティマネジメントサービス業を目指すとしている。

ビルメンテナンス業は成長産業のイメージがないため、株式市場では低位に放置されがちである。そのため保有現金の価値が時価総額を上回っている企業が集計対象12社中3社ある(2010年6月23日現在)。

EV/EBITDA倍率

上場ビルメンテナンス企業のEV/EBITDA倍率は3~6倍の間で77.8%となっている(n=9)が、3倍後半~5倍前半というのが平均的な印象である。ビルメンテナンス業は上場していることに対する評価はおしなべて低く、PBR1倍割れも珍しくないが、M&A市場では逆にのれん付きでの売買(純資産を上回る価額での売買)が多い。未上場のビルメンテナンス会社の経営者にとっては、IPO(株式公開)をめざすよりもM&Aでの売却の方がキャピタルゲインが得られ易いだろう。

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