M&Aでステップアップを実現

(実録) 1週間で30件の問い合わせ。売り時を見極めた若手経営者
携帯電話の最先端技術を活用したソリューション提案事業を営むベンチャー企業のオーナーであるS社長は、弱冠29歳 (当時)。起業して4年目のことである。
きっかけは、当社のメールマガジンに試しに掲載してみよう、という軽い気持ちだった。
S社長は「他の事業を行いたいので、M&Aを検討している」と当社に1通のメールを送った。
S社長の営む企業は、携帯電話の大手キャリアとのパイプがあり、事業内容も他のモバイル事業会社とは一線を画していた。
(これは買い手が殺到するかもしれない。) 初期相談に対応した当社の会計士である井原は、とっさに感じた。
財務内容はどうだろうか。企業評価を行ってみたが、財務内容も安定している。早速、井原はS社長と具体的な条件を確認後、ストライクが運営するインターネットM&A市場SMART™に掲載した。
当時、モバイルシステムの会社は引く手あまたであった。着メロ、着うたを始め、業界は波にのっていた。そんな買収希望ニーズが多い事業分野であったため、案の定、わずか1週間の掲載で30社以上から問合せが殺到した。
IT企業からの問い合わせが大半であったが、中には新規事業立ち上げに是非欲しい、といったものまで買収ニーズは様々であった。
多くの候補先の中でもとりわけ買収意欲が高く、積極的だった携帯電話関連業を営むX社を中心に交渉をスタートする。両社長が年齢も近く、公私にわたって意気投合したところから交渉はとんとん拍子に進んだ。
ところが交渉過程において、S社長が経営から離れることで会社の価値が大幅に下がることが懸念材料となった。なんといってもキーパーソンはS社長である。
(このままではM&A自体が不成立になってしまう…) と感じたS社長は、条件を歩み寄り、新事業も含めX社グループの傘下に入ることを了承、基本合意 (仮契約) を締結する。
基本合意後、買収監査 (デュー・ディリジェンス) を行う。中小企業につきものの会社資産と個人資産の明確化などに多少の時間を要したが、無事に買収監査も終わり、最終契約を締結した。
1通のメールを送ってから約半年。S社長はモバイル事業を営む大手の傘下に入った。
ところでS社長は業界が絶好調の中、なぜ会社の売却を決意したのだろうか?
それはS社長が「携帯事業は転換期を迎える。その時に小さな資本では生き残れない」と読んでいたからにほかならない。まさに売り時を冷静に見極めた経営者といえる。
あれから2年が経過した。時代の最先端を読み取る感覚を持つS社長は、現在、親会社の取締役も務め、ますます忙しい毎日を送っている。



