M&A事例ライブラリ4
M&A市場SMART™掲載企業〔情報ID: SS0036〕空調工事設備工事の株式譲渡が成約致しました。
2002年3月
後継者不在と業界の先行き不安から売却を決意
設備管理を主力とする中堅ビルメンテナンス会社である関東ファシリティー (仮名) は空調・配管工事を営む中西空調工業 (仮名) の経営権を取得した。
中西空調工業は数年前に元請の一社である中堅ゼネコンが倒産し、一時は連鎖倒産の危機に陥ったものの、血の滲むような経営努力の結果、会社の建て直しに成 功した。しかし井崎社長は建設業界に対する将来的な不安と後継者不在を理由として経営の引継先を探していた。
関東ファシリティーは中西空調工業をグループ化することによって弱点としていた工事部門が強化でき、中西空調工業も改修・営繕工事業務を拡大することが可 能となった。
このM&Aは互いの弱点を補完するという理想的なM&Aとなった。
成約に至るまでの概略を以下に掲載しております。
M&A市場SMART™の株式譲渡完了までの一連の流れをドキュメンタリー形式で紹介いたします (人名・会社名についてはすべて仮名です)。
平成12年7月初旬
弊社ルートを通じて中西空調工業の井崎社長から相談を受ける。
『当社は数年前に元請の1社が倒産して大打撃を受けたが、何とか会社を建て直して今日までやってきた。しかし、再建が一段落したところで社内を見回してみると適切な後継者が育っていないことに気がついた。また、建設業界は将来的な展望もそう明るくはないし、会社を拡大していく気力もあまりない。そこで後の経営を任せられる会社を探してほしい。』
当社とアドバイザリー契約。
M&A市場SMART?に売却希望情報を匿名にて掲載。
同時に当社ネットワークを通じ同業種を中心に候補先をリストアップし、打診を開始する。
平成12年8月下旬
金融機関ルートより同業で業績好調な港北設備サービスを紹介される。
港北設備サービスの三井社長は関心を示し、早速中西空調工業買収検討を開始する。
平成12年9月中旬
港北設備サービスより回答。
『当社 (港北設備サービス) では中西空調工業はまだ再建途上の段階だと判断している。したがって買収は見送りたい。』
この回答を井崎社長に伝えたところ、見解の相違に肩を落とす。
平成12年9月下旬~
同業種の企業を中心に再度打診する。
しかし、この建設不況の中、他の企業を買収するほどの余力がある企業は見つからず候補先探しが暗礁に乗り上げる。
平成13年3月上旬
当社から井崎社長に関連業種の一つであるビルメンテナンス業界を中心に打診することを提案。
井崎社長はこの方針に理解を示す。
平成13年3月中旬~平成13年4月下旬
ここでも候補先の探索に難航する。
建設業界の不況を目の当たりにして関心を示す企業はなかなか現れなかった。
しかし、そんな中、関東ファシリティーが興味を示した。
関東ファシリティーは中堅ながら無借金で堅実経営を行う優良企業であるものの、工事部門に優秀な技術者が少ないのが弱点であった。
総合ビルメンテナンス業として修繕工事も積極的に自社で取り組んで生きたいと考えていた同社にとって、中西空調工業の技術者集団は非常に魅力的であった。
当社と秘密保持契約を締結、資料開示を行う。
平成13年5月中旬
関東ファシリティー・出川社長と面談。
『まずは中西空調工業の井崎社長の人物を把握したいのでお会いしたい。』
この意向を受け、当社でトップミーティングの設定をする。
平成13年5月下旬
トップミーティング。
事業的には近接業種であるものの、お互いの事業の細部までは理解できていなかったこともあり、自己紹介をし合う程度のミーティングとなった。
平成13年5月~平成13年12月
数度のトップミーティングを重ねる。
スーツを着ながらの堅苦しいミーティングばかりでなく、趣味のゴルフも何度か一緒に行くなどしてざっくばらんな意見交換を重ねる。
この半年間で両社長の距離はかなり縮まっていった。
後半になると、事業内容を理解し合うばかりでなく、人的な信頼関係も生まれ始めていた。
平成13年12月上旬
関東ファシリティー・出川社長より買収する際の前提条件が提示される。
- 出資比率については過半数とさせていただく。残りは引き続き井崎社長と中西空調工業の現役職員が引き続き保有して欲しい。
- 井崎社長が引き続き中西空調工業の代表取締役として残って関東ファシリティーグループの発展に尽力して欲しい。
- 現役職員の処遇は現状のままと確約する。
- 買収価額についてはあまり高額なものは期待しないで欲しい。
回数を重ねたトップミーティングの中で感じ取っていたのか、井崎社長は了解する。
平成13年12月中旬~平成14年3月
基本合意締結、買収監査を経て株式譲渡契約を締結。
当初井崎社長は中西空調工業の譲渡後1~2年で引退する意向であったが、出川社長の人徳に惚れたこともあり、もうしばらく中西空調工業社長として社業にあたることになった。
優良企業のグループに入ったとはいえ、当初井崎社長が望んでいた売却条件にはならなかった。
その点を尋ねると、井崎社長は答えた。
『人生なんて思うようにならないさ。もうしばらくがんばってみるよ。』
井崎社長の顔からは最初に相談に来たころの思いつめた表情が消え、自信が漲っていた。
60歳の井崎社長の新たな門出である。
あとがき
当社とのアドバイザリー契約締結から譲渡完了まで約1年半の長期間を要しました。
建設業界は明るい話題が少なく、悲観していらっしゃる建設関係の経営者も多いことでしょうが、魅力ある企業であればM&Aの相手は見つかるものです。
中西空調工業のケースでは優秀な技術者を抱えていたことが決め手となりました。
井崎社長も当初は後継者探しを目的として買手候補を探し始めましたが、買い手の出川社長と面談を重ねていくうちに井崎社長の気持ちが変わり、社長として引き続き経営にあたることになりました。
今回のM&Aでは、株式を手放しても引き続き社長として残る、という珍しい形のM&Aとなりました。
参考
| 譲渡会社の概要 | |
|---|---|
| 事業内容 | 空調工事 |
| 所在地 | 東京都 |
| 買収会社の概要 | |
|---|---|
| 事業内容 | ビルメンテナンス |
| 所在地 | 東京都 |
本件M&A事例についてのお問い合わせは担当: 荒井 まで
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