取材・執筆記事

「時論」~増加する調剤薬局のM&A~

Japan Medicine 2003年4月14日

買収や売却はタイミングが肝要

近年、調剤薬局のM&A(企業の合併・買収)が相次いでいる。調剤報酬の引き下げや薬価の下落など、調剤薬局を取り巻く経営環境が着実に厳しくなるなか、買収側各社はM&Aによって業務を拡大し、スケールメリットの追求で、調剤薬局事業のいっそうの効率化を図ろうとしているようだ。

調剤薬局のM&Aは、昨年も大手を中心に相次いだ。総合メディカル(福岡県)は愛知県の調剤薬局3社を買収し、二十数店舗を傘下に収めた。クラフト(東京都)も、調剤薬局を経営している幹(宮城県)の全株式を取得し、子会社化した。アインファーマシーズ(北海道)は関東を中心とする今川薬品(茨城県)を合併している。

今年も相次ぐ買収事例

今年に入っても、日本医療事務センターの子会社で調剤薬局を展開するファーコス(東京都)が首都圏に7店舗をもつアメニティ(東京都)の発行済株式100%を取得し、完全子会社化した。アイランド(東京都)も、昨年12月に5店舗、今月3店舗と相次いで愛知県の店舗を買収している。  M&Aに至った例は、これらのほかにも複数ある。全国を対象にM&Aの仲介を行うオヤマ経営(宮城県)は昨春、あるチェーンがもつ調剤薬局のうち1店舗を同業大手に譲渡する案件の成約にこぎつけた。

M&Aの仲介業務を手がけるストライク(東京都)も2月に、調剤薬局の営業譲渡を仲介している。

譲渡の対象となったのは首都圏の2店舗で、買い手は上場企業を親会社にもつ調剤薬局チェーン。買い手は買収による店舗網の拡大を推進中で、一方、売り手は成長している別の事業に力を注ぐため、調剤薬局チェーンの売却を模索していた。

今後も売却を模索する動き

水面下では、今後の売却を模索する調剤薬局の姿もみられる。中部地方の調剤薬局は、複数の店舗のうち1店を売り出すことを検討中で、利益の出ている今のうちに売却したい考えだ。やはり複数の店舗を展開する中国地方の薬局は、後継者がいないこともあって、売却を視野に入れている。

調剤薬局の経営者の中には今後、M&Aがさらに本格化するとみる向きが少なくない。仲介会社でも調剤薬局のM&Aは増えると予想しており、「10店舗未満の薬局で効率の悪いところはM&Aの対象になる」との見方もある。国内にはこうしたクラスの調剤薬局が多く、その潜在需要は大きいといえそうだ。

こうした潜在需要の掘り起こしには、仲介各社とも力を入れ始めており、アイメディカルシステムズは2月、社内にM&Aを担当する専門部署の「事業開発室」を新設、積極的に取り組む姿勢をみせている。また、社名を伏せたうえで、さまざまな企業のM&Aの希望をインターネット上に掲載しているストライクのサイトでも、調剤薬局をもつめる企業が複数見受けられる。

仲介会社や調剤薬局経営者らは今後、大手が中小を買収するケースのほか、ドラッグストアが調剤薬局を傘下に収めるケースも予想する。中堅調剤薬局同士の合併も考えられ、すでに経営者同士で将来の合併を視野に入れているところもある。

M&Aを通して、調剤薬局を手がける会社が少しずつ集約される可能性も高い。ある経営者は「買収されるのはまだ良いほう。悲惨なのはだれも買ってくれなかったときだ。そのあとはつぶれるしかない」という。

調剤薬局の廃業はその従業員だけでなく、かかりつけ薬局を失うことになる患者にとっても不幸な出来事だ。調剤薬局の経営者は今後、その気のあるなしにかかわらず、こうした買収や売却に関する知識や情報に耳を傾ける必要があるのではないか。

もし手がける場合はタイミングを見誤らないことが肝要だ。買収するにしろ、売却するにしろ、後手に回れば、それだけ選択肢が狭まり、お互いの得るものは少ないといえよう。

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